鬼は外、福は内
今日は節分の日、豆まきですね。鬼は外、福は内。
まだ家庭を持っている頃、鬼役をガチでやりすぎて、
元奥さんに怒られたのを思い出します。いい思い出ですね。
でも、鬼ってただ鬼なだけで豆をぶつけられる…。
何だか理不尽で可哀想だなと思いませんか?
今日はとあるツイートを見て、10代の頃書いた大昔のお話を思い出したので、
奇跡的に残ってたフォルダの奥から引っ張り出してきます。
元々上げる予定だった奴は、後回しです(笑)
むかしむかし、あるところに鬼がいました。
鬼は体がとても大きくて、怖い顔に目はギョロギョロ。
声は山中に響くし、力は岩を砕くほど。
でも、お花や鳥が大好きな、心優しい鬼でした。
だけど、そんな鬼が人里に下りる度、村のみんなは怖がりました。
泣き出す子供、家の戸を固く閉ざす村人達、中には石を投げる者まで。
みんなが鬼を嫌いました。
みんなは1度だって鬼と話したこともないのに。
鬼はただみんなと仲良くしたかっただけなのに。
鬼がかなしくなって泣くと、それは雄叫びに聞こえました、
村のみんなは、そんな鬼がもっと怖くなりました。
僕はどうしたらいいんだろう?
鬼は山に帰って、大好きなお花達に聞いてみました。
お花達は答えました。
私達を摘んで、村のみんなに配ってみたら?
きっとみんな、あなたの優しさに気づいてくれるから。
私達は大丈夫。またこの場所で咲いて、一緒に居れるから。
鬼は何度も何度も、ありがとうと言いながら、
お花達を籠に入れ、意を決して山を下り始めました。
太い指で頑張って作った、不細工な籠でした。
また石を投げられたら…もっと嫌われたら…。
鬼は体が重くなるほど不安になりました。
でも、背中の籠からは、お花達の励ましが聞こえます。
大丈夫だよ。今日からは、みんなと仲良しだよ。
鬼は、そうかと勇気づけられて、また歩く力が湧いてきました。
ついに鬼は村にたどり着きました。
よし、みんなにこんにちはを言って、お花を配ろう。
どんな話をしよう?何かお手伝い出来ないかな?
早速村の女の子を見つけた鬼は、お花を差し出して言いました。
こんにちは。
鬼が目を覚ますと、体がひどく冷えていました。
体を打つ冷たいものと、耳の中で騒ぐ騒音。
ああ、雨か…。
濡れた泥の匂いに混ざって、
緩やかに感じる、錆びた鉄の味と匂い。
起こそうとする体に、力は入らない。
ぼやけて見える視界には、地面に突き刺さった鍬や鎌、鉈。
ぐちゃぐちゃに形を変えた花。
鬼は段々と、己の身に何が起こったのかを思い出していく。
同時に、聞こえだした周囲の罵声で、意識が鮮明になって行く。
ああ、そうか。
彼は氷のように冷静だった。
いや、もっと乾いた冷ややかさで、ただ静かに悟った。
程なくして、哀しみとも怒りともつかない、
形容し難い感情が、彼の中で血潮の様に噴き出した。
俺を鬼と蔑み続けるお前達が、本当の鬼だ。
其れならば、俺はお前達が望む鬼に。
そうして、村も人も、鬼自身も、一夜にして消え去った。
いやぁ、若かりし頃とは言え、駄文過ぎて自分でも引きますね。
果たして彼は、最後笑っていたのでしょうか?
泣いていたのでしょうか?はたまた、無表情かも。
誰かが鬼に優しくしてれば…そんな結末も、実はside Bとして書いていました。
自分は、元々鬼は誰の心の中にも住んでいると思います。
そして、優しさや愛に触れている限り、そのツノは取れていくものだとも
信じています。逆の波動を受ければ、誰もが鬼に…。人は鏡ですね。
さて、今日は豆まき楽しかったですか?
ではでは
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