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いも掘りをするイモねーちゃん

イモと名のつくものは、どうしてあんなに美味しいのか。

ジャガイモ、サツマイモ、里芋。
どれも毎日食べても飽きないくらい大好きだ。

 
どの野菜も畑で育てているから
旬の時期は毎日食卓に並ぶ。
毎日毎日美味しい、美味しいと食べる。

それなのに、だ。
友達や誰かと外食に行く際も
イモを使った何かをメニューで見掛けると
目が輝いて、ヨダレが込み上げて
ついつい注文してしまう。

コンビニやスーパー等でイモ商品も買うし
なんなら旅行先でもイモを摂取する。

 
私はおそらく、個人年間イモ消費量が平均量より高い方だと思う。
そんな私は自他共に認めるイモねーちゃんである。

イモが好きすぎる女性

の意味合いで使っている。

 
 
 
今日はサツマイモと私の思い出を振り返る。

 
 
 
私が小学生の頃、授業の一環でサツマイモを作っていた。
作っていたといっても、一日の植え込みだけで 
残りの世話は全て大人にお任せだ。
収穫時期は収穫を行うが
やはり残りの諸々は大人にお任せである。

いいとこ取りだと言えよう。

  
芋の収穫時期の後は

毎年収穫祭というイベントがあった。
その日は全校生徒が焼き芋の元になるイモを二つ持参して登校となる。

イモを濡らした新聞紙で包み、更にそれをアルミ箔で包めば準備完了である。

 
収穫祭では歌を歌ったり、発表会をしたり、神輿をかついだりをして
最後はやぐらに火をつけて、それを見届ける。
皆が持ってきたイモはこの中に入れられ
いい感じの焼き芋になったら、先生から手渡される。

焼き芋さえなければ、ただのキャンプファイヤーで神々しさしかないが
火が燃えれば燃えるほど焼き芋が出来上がる証拠なので 
頭の中は焼き芋でいっぱいになる。

  
みんなで食べる焼き芋は非常に美味しかった。
パカッと二つに割ると、キレイな黄色が顔を覗かせ
煙と匂いが私の顔に容赦なくぶつかる。

焼き芋は熱くてホクホクして美味しかった。

 
 
私は収穫祭が大好きだったが
私が卒業してから学校行事から収穫祭はなくなった。 

学校行事はどんどん削られ、縮小し
勉強は増えるようになっていった。
どんどんそういう時代になっていった。

 
だから私は
収穫祭に参加できた小学生でよかったと思う。

勉強も大切だが
学校行事もとても大切だと
私は思っていたからだ。

 
 
私が小学生時代はまだ庭で焚き火をしてもいい時代だったので
学校から帰ると、祖母が焚き火をしていることがしばしばあった。

「おかえり。焼き芋焼いているよ。」

と言われると
私はランドセルを家に置いて
祖母の近くに走って行った。

 
学校で食べる焼き芋も美味しいが
家で食べる焼き芋も美味しかった。

 
 
やがて祖母は体が弱り
私は私で部活が忙しくなり
庭での焚き火は禁止の時代となった。

だから家で焼き芋は作らなくなった。

 
 
 
 

スーパーで焼き芋が手軽に買えるようになり
専ら焼き芋は買うようになった。

我が家はイモは煮て食べる派だった。

 
 
三年前くらいに、従姉妹から焼き芋を茨城土産でもらった。
かなり有名なのだという。
グーグルで調べると、茨城県には焼き芋専門店があるらしく
箱で焼き芋が売られているようだ。
チェーン店があるので驚いた。
茨城県で焼き芋がそこまで熱いとは。

 
紅天使というそのイモは糖度がめちゃくちゃ高く
なるほど、口に含むとかなり甘かった。
ただ、食感がネチョネチョ系だった。

個人的にはホクホク派なので、そこだけ残念だった。

 
 
 
 
 
2020年春に、私は長年勤めていた職場を退職し
転職活動をしながら、ゆるやかに過ごしていた。 

 
コロナにより外出に制限がかかり
また仕事も決まらないこともあり
私は母と共に、時折畑作業をするようになった。

 
兼業農家の娘なのに
畑をいじるのはほぼ小学生ぶりで
久しぶりに触れる土に癒された。

 
青空の下、マスクをしないで草をむしり、野菜の世話をすると
あっという間にいい汗をかいた。
風が気持ち良くて
時間やご飯を忘れて夢中になった。

時計を見られない環境で
時間に追われず
誰かに理不尽に怒られたりせず
何かに夢中になるというのは
素晴らしいと感じた。
 
 
9月は夏のように暑かったくせに
10月になると、雨や曇りの日が増えた。

この前、天気予報を裏切るように
急に青空が広がった。
関東は久しぶりの晴れだった。

 
「いも掘り行くよ!」

 
早番で仕事をしてきたはずの母の目は輝いている。
母は普段保育士として働いているが
晴れ間を見つけるとすぐに庭の花の手入れや畑に夢中になる。
タフだ。

 
 
私は着替えて畑に行った。
なるほど、芋の葉は青々としていて、これは収穫時期だ。

私はショベルで土を掘り、手で土をかき分け
イモを傷つけないように慎重に発掘していく。
 
最近雨が降るせいで、土は湿っていて、重い。

 
ジャガイモの収穫よりもサツマイモの収穫の方が難易度が高いと
開始早々に思った。

ショベルで調子に乗ってザクザク掘ると芋を切ってしまったし
ものぐさがって、ある程度のところで芋を引っ張っても、やはり折れてしまった。

 
「芋汁気をつけてね。服につくと落ちないからね。」

 
なるほど、芋を掘ると、芋の先から白い液が出てきた。
芋汁はなかなか止まらない。

 
小学生の頃、いも掘りはこんなにハードじゃなかったと思うのだが
芋を折らないように注意し
芋を掘ったら芋汁がつかないようにも注意し
なかなかに神経を使う。
でも楽しい。

 
余談だが
私は小さい頃に出会った「ねずみのいもほり」という、いわむらかずおさんの絵本が大好きだ。
ねずみの家族で巨大な芋を掘り、みんなで芋料理を食べ、最後は芋をボートにして自宅に持ち帰るという描写に
子どもの頃めちゃくちゃときめいた。
今でもときめくので、部屋の本棚にしまってある。

 
 
「今度晴れたら、いも掘りをするんだ。」

と言うと
周りの人達がみんな羨ましがった。
いも掘りは大人になってもワクワク感がある。
楽しそうな予感がある。

 
 
 
いも掘りを半分終えた。

我が家では二種類のイモを育てているため
別のイモをこれから掘るという。

 
別のイモエリアに行ったらビックリした。
先ほど収穫したイモよりも、だいぶビックなのである。
傷つけないように土をよけるのが
なかなかに大変である。
本当にもはや発掘作業だ。

 
母親と手分けして土をかき分ける。
まるで横綱のようなイモが次々に顔を出し
私と母親は笑った。

 
  
 
私が掘り当てたイモ。
かなり重い。これで一つのイモだから驚きである↓

 
 
 
母親が掘り当てたイモ。
この日のイモの中で一番細長い。私の足が25cmなので、約50cmかしら↓
 


 
 
いも掘り途中経過↓

 
 
 
段ボールに入れて、どんどん運ぶ。
重い。なかなかに重いよ、イモ↓

 
 
 
 
 
いも掘り中、空はうろこ雲が美しかった。
秋の空だ。

稲も美しい。
赤とんぼがたくさん飛び回る。

 
いも掘りは二時間以上かかったが、あっという間であり
私は確かな達成感を感じた。
またこれでしばらくイモ祭りだと思うと嬉しい。

 
  
 
 
 
今朝、イモを食べた。
この前掘った芋ではない。その前に掘った芋だ。

そうしたら偶然、ハートの欠片が出てきた。

 
なんとなく、今日がいい一日になりそうな、そんな予感がする。

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