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ブロードウェイ・ミュージカル "A Beautiful Noise: The Neil Diamond Musical" - ストーリー紹介 | ブロードウェイ観劇ガイド #9 

2021年からアメリカ留学中(NY在住)のトップです。

Lotteryチケット($55)に当選し、Niel Diamondの伝記的ミュージカル"A Beautiful Noise, The Neil Diamond Musical"を観てきました。事前知識ほぼゼロ&非ネイティブの私でも、十分、満喫することができたのですが、観劇前に予習して100%楽しみたいという方や、概要を理解してから行くかどうか決めたいといった方のために、簡単にストーリーを紹介します。

内容が理解できるか不安で観にいく前に予習したい、または観てきたけどストーリーを復習したいという方を読み手として想定していますが、ネタバレですので、事前情報を入れずに観劇したいという方は読まないことをおすすめします

個人的には、英語ネイティブではないということもあり、観劇前にはかなり時間をかけて予習をしていくタイプなのですが、A Beautiful Noise, The Neil Diamond Musicalは、2022年11月4日にプレビュー公演、2022年12月4日に本公演が開始したばかりということもあってか、そのストーリーについての情報がほとんど見つかりませんでした。

Niel Diamondの曲についても、事前に一通り聞いていったのですが、"Sweet Caroline"しかはっきりと覚えていたものはありませんでした(聞いたことある程度のものは何曲か)。

そんな事前知識ほぼゼロ&非ネイティブの私でも、十分、"A Beautiful Noise, The Neil Daiamond Musical"を満喫することができたのですが、観劇前に予習して100%楽しみたいという方や、概要を理解してから行くかどうか決めたいといった方のために、簡単にストーリーを紹介したいと思います。

1. あらすじ(簡易版)

"A Beautiful Noise, The Neil Diamond Musical"は、1960年代から1980年代ごろまでにかけて活躍したNeil Diamondというミュージシャン(singer song writer)の伝記的ミュージカルです。

ストーリーは、①現在を舞台としたNeil Diamondとセラピストとの間のセラピー・セッションのシーンと、②Neil Diamondによる回想シーン(1960年代から1980年代にかけてのNeil Diamondのキャリア&プライベートに関するストーリー)が交互に登場する形で進んでいきます。

前半(Act 1)

  • Neil Diamondが、セラピストのセッション(セラピー)を受けているシーンから始まる(この時点では、セラピーの目的は不明)

  • Neilは、セラピーに非協力的で、自分のことを話したがらないため、セラピストは、"The Complete Lyrics of Neil Diamond"(Nielの作曲した曲の歌詞が全て掲載された架空の本)という分厚い本から曲を選んで、感じたことを話すようにと指示し、嫌々ながらも少しずつ自分のことを語り出す(以降、回想シーンをメインにストーリーが進む)

    • 作詞・作曲家(song writer)としてキャリアをスタートさせた後、歌手(singer)としても成功し始める

    • 高校の同級生であった1人目の妻Jaye Posnerと離婚し、Marcia Murphyと再婚する

    • ギャングと繋がりのあるBang Recordと契約してしまい、Neilが本来作りたい曲よりも、売れる曲を作ることを強制させられる

    • 大ヒットを飛ばしたら、契約から解放してやるとの約束を取り付け、プレッシャーに苦しみながらも天から降りてきたように"Sweet Caroline"を思いつく

後半(Act 2)

  • 回想シーンから始まるものの、後半(Act 2)は、徐々に現在(セラピー)のシーンがメインになっていく

    • Neil Diamondは、ロック・スターとして成功を収める一方、ツアーなどで家を離れることが多くなり、2人目の妻Marciaとすれ違うようになり、最終的に離婚

  • セラピーを通じて、Neilは、自分の生い立ち・両親のこと、友達がいなかった子供時代のこと、最終的に病気で歌を続けることができなくなったことなどを語り、「ロック・スター(キング)でなくなった自分は何者なのか」がNielの抱える問題(悩み)であり、3人目の妻Katie McNeilに背中を押されてセラピーを受けることにしたことなどが明かされていく

  • Neilが、ロック・スターでないNeil Diamondとして生きる意味を再確認し、"Sweet Caroline"を観客と一緒に歌って大団円

2. 登場人物・キャスト

セラピー・セッションのシーン(現在)の登場人物

  • Niel Diamond (Now) [by Mark Jacoby]:セラピストのセラピーを受けている、病気のため歌を歌うことができなくなった現在のNeil Diamond。

  • Doctor(セラピスト) [by Linda Powell]:Neil (Now)のセラピスト。Neilのことは昔の有名人と認識しており、ほとんどNeilの曲を知らない。"The Complete Lyrics of Neil Diamond"を通じて、Neil (Now)に過去を語らせ、現在Neil (Now)が抱える問題を次第に明らかにしていく。

回想シーンの登場人物

  • Neil Diamond (Then) [by Will Swenson]:回想の中(1960年ごろから1980年ごろ)のNeil Diamond。

  • Jaye Posner [by Jessie Fisher]:Neilの1人目の妻。Neilの高校の同級生で、Neilの気持ちがMarciaに移ったことで離婚。

  • Marcia Murphy [by Robyn Hurder]:Neilの2人目の妻。Neilのことを深く理解し、長年支えてきたが、ロック・スターとして走り続けるNeilとの気持ちのすれ違いが大きくなり離婚。演じるRobyn Hurderは、Moulin Rouge! The Musicalのブロードウェイ・オリジナル・キャスト(Nini役)で、トニー賞助演女優賞にノミネートされた有名人。

  • Ellie Greenich [by Bri Sudia]:歌手・作曲家・プロデューサー。当時からヒット・メーカーとして有名で、Neilの才能を見出す。

  • Paul Colby [by Michael McCormick]:ManhattanにあるGreenwich Villageのライブハウス「The Bitter End」のオーナー。

  • Bert Berns [by Tom Alan Robbins]:Bang Recordのオーナー。NeilはBang Recordと契約したことが人生最大の過ちだったという。

  • Tommy O'Rourke [by Michael Mc Cormick]:Bang Recordと関係を持っているギャング。Neilとの約束を反故にして売れる曲を書くよう強制したり、銃で脅したりする。

3. ストーリー

Act 1

A Beautiful Noise, The Neil Diamond Musicalは、Niel Diamondがセラピストのセッションを受けているシーンから始まる。 Niel  (Now)は、"This isn't working" (このセラピーは無駄だ)、 "I don't like to talk about myself"(自分のことを話すのは嫌いなんだ)などと、セラピーに対して消極的。そこで、セラピストは、"The Complete Lyrics of Neil Diamond"(Nielの作曲した曲の歌詞が全て掲載された架空の本)という分厚い本を持ち出し、この中の曲について感じたことを話すという方法を提案する。

最初は乗り気でなかったNiel  (Now)も、セラピストがいくつかの曲を選び、タイトルや歌詞を読み始めると、「その曲はだめだ」など、徐々に自分の感情を表すようになり、最終的に、初めて作曲した時のこと(16歳のときに高校の同級生だったJaye Posner(のちの1番目の妻)に向けて作曲した)、Ellie Greenichに出会って才能を見出されたことなどを語り始める。

Nielと同じBlooklyn出身で、当時、既にヒットメーカーとして名を馳せていた敏腕プロデューサーだったEllie Greenichの前で曲を披露する時間(2分間)を与えられたNiel (Then)は、手持ちの50曲の中から"I'll Come Running" / "I Got the Feelin' (Oh No, No)" / "I'm A Believer"を演奏する。最初の2曲はすぐに却下されたが、Niel (Then)は、"I'm A Believer"(※)を最後に演奏し、Ellieに、彼女に才能を認められる。

(※)The Monkeesによって歌われ、Nielの最初のヒット作となる

その当時のNiel (Then)は、低い声でぼそぼそと話す、どちらかといえば暗いキャラクターで、ソング・ライター(作詞・作曲家)としてのキャリアが先行したことが描かれる。Neil (Then)が、自らが作詞・作曲した曲のデモテープの作成に立ち会う中、Ellieは曲のアレンジや、誰に曲を割り当てるかを次々と決めていく("The Boat That I Row"→Lulu / "Red, Red Wine"→Tony Tribe)。"Kentucky Woman"の順番になった際、Neil (Then)は、自ら歌って曲のアレンジを提案する。その歌声を聞いたEllieは、歌手として自分でも歌を披露するようにNeil (Then)の背中を押す。

Niel (Then)の歌手としてのキャリアは、ManhattanにあるGreenwich Villageのライブハウス「The Bitter End」でのライブからスタートする。Niel (Then)は、The Bitter Endで、オーナーのPaul Colbyと、後に2番目の妻となるMarcia Murpheyと出会う。

Neil (Then)が"Solitary Man"を歌い始めたときには興味なさそうにしていた店の客が、次第に真剣に聞き始め、最終的にはノリノリになるという形で、初めてのライブが成功に終わったことが描かれる。Marciaから、もう少し明るく、笑顔で演奏したらどうかというアドバイスを受けたNeil (Then)は、次のライブでは、よりポップに"Crackin' Rosie"を披露する。

2回目のライブの終了後、MarciaがNeil自身やNeilの音楽への理解を示し、Neil (Then)も次第にMarciaに彼女に惹かれていく。ここまで支えてくれた1人目の妻Jaye Posner(と子供)と、Marciaの間でNiel (Then)の心が揺れ動き("Cherry, Cherry" / "September Morn'")、最終的にはJayeと離婚。

Neil (Now)は、最初はお互いのため話し合いで円満に分かれたと説明したが、セラピストから詰められ、Jayeから、"Do you love her? If you don't, maybe there is a way [to try again]. Do you?"(Marciaを愛しているのか、もし愛していないのであれば、やり直せるかもしれない)と聞かれたが、"I am in love with her"(彼女を愛しているんだ)と答えたことなどを最終的には明かす("Love On The Rocks")。

次に、Neil (Now)は、彼自身が"the biggest mistake of my life"(人生最大の失敗)だったと語るBang Recordとの契約について語り始める。ギャングのTommy O'Rourkeが同席する中、Neil (Then)は、Bert BernsのBang Recordとの契約に際し、ヒット作を生み出すだけでなく、Neilがやりたいと考えている新しいチャレンジもさせてもらえるよう約束を取り付ける。

しかしながら、Neil (Then)がシングルとして出したいといった曲は、BertやTommyから売れる曲として評価されず、かつての約束は反故にされた。Tommyからは銃で脅されたが、Bertは、Neil (Then)に手を差し伸べ、大ヒットを生み出したら、契約を解除すると約束する。

Neil (Then)は、New Yorkを離れMenphi(テネシー州)のモーテルに一人籠って曲作りに専念しようとするが、プレッシャーの中で思うように曲が書けず、Jaye・Marcia・Ellieとの電話を通じてその苦悩が明かされる。

最終的に、Niel (Then)は、雑誌のカバーを見たとき、天から降りてきたように、これまで使ったことのないコード進行の新曲"Sweet Caroline"を閃いた(Neil Diamondの曲を全く知らないセラピストも、この曲だけは知っているという)。

Act 2

ACT 2は、一転して華やかな衣装に包まれたNeil (Then)のライブのシーンから始まる("Brother Love's Traveling Salvation Show")。

Niel (Then)が、ロック・スターとして成功を収める一方、Neil (Then)が家にいないことが多く、Marciaは寂しさや不安を感じ、いつの日か走り続けることを止めて欲しいと懇願する("Play Me")。しかし、Neil (Then)はツアー(※)などで更に忙しくするばかりで、Marciaが連絡を取ろうとしても連絡が取れない("Forever in Blue Jeans" / "Soolaimon" / "Thank The Lord for the Night Time" / "Crunchy Granola Suite")。

(※)Neil (Then)が、"Tokyo!"と叫ぶシーンがあるのですが、実際にはNeil Diamondは日本公演を行ったことがないようです。

Neil (Now)は、自分が作ったチームが大きくなってしまっており、メンバーの給料を払うためには走り続けるしかなかった、チームが"Home"だと感じるようになってしまっていたのだと振り返る。

Neil (Then)がツアー終わりに予定より一日早く帰宅した際もMarciaと大きなすれ違いが生じ、Neil (Then)とMarciaは、最終的に別れを選ぶ("You Don't Bring Me Flowers")。

セラピストは、高校時代からずっと恋人がいたことを指摘し、Neil (Now)に対し、孤独を感じたことはあるのかと質問し、Neil (Now)は、両親のこと、自分の生い立ち・両親のこと、友達がいなかった子供時代のことを話し始める("Brooklyn Roads" / "America")。

最終的に、Neil (Now)は、自分が歌えなくなったこと(パーキンソン病)や、過去2回と同様の過ちを繰り返さないためにこのセッションがとても重要であること、3人目の妻Katie McNeilがこのセラピーを受けるように言ってくれたことなどを明かす。

これに対しセラピストは、王様になることを夢見るカエルの話になぞらえて、自分(セラピスト)の椅子とNeil (Now)の椅子を、王様の椅子とカエルの椅子に見立てるアプローチをとる。

まず、セラピストは、王様の椅子にNeil (Now)を座らせ、王様でいるのはどんな気分かと尋ねる。Neil (Now)は、自分が感じていたプレッシャーのことなどを説明する。

次に、カエルの椅子にNeil (Now)を座らせ、最終的に、ストーリーの核心に迫る質問として、「歌えなくなった今、あなたは何者なのか」「あなたは王様としてではなく生きていけるのか」と尋ねる。

Neil (Now)は最初答えに詰まったが、自分を応援してきてくれた人のことを思い出すなどし、ステージから離れても強く生きていくと答える("Shilo" / "I Am ... I Said" / "Holly Holly")。

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