見分ける
駅前を飲み屋帰りのおじさま3人組が歩いていて、道をカサカサと黒く光る虫が横切って、おじさま1が「G?」と言ったらおじさま2が「いやエンマコオロギだよ」と言ってしゃがんでエンマコオロギを触ろうとした。おじさま2の手から逃れようとしたエンマコオロギの跳ね方はたしかにゴキブリのそれと違った。エンマコオロギとゴキブリの見分けがつくおじさま2はわたしよりせかいに誠実だと思った。
あそこにいたのがエンマコオロギじゃなくてゴキブリだったら、おじさま2は触ったんだろうか。見分けることができるから仲間にはやさしく、敵には辛くというふるまいの差が生まれるのだとしたら、見分けることはこわいことだとも思った。
見分けること自体がこわいというより、見分けた先にその対象を評価してそれに応じたふるまいを選ぶことがこわいのか、でもそれによって快く回る関係もあるしなー。気配りと決めつけによる勝手な先回りは近いところにある、罠?
見てわかることだけを頼りに分けることが勝手、だとしたらなに、ほかに頼るべきはなに、言ってること?というか分けてどうするよ
ゴキブリでも触るおじさま2だったらすごいな。手はよく洗ってほしい
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