coemiru 眠れない眠りたくない　第３会話劇

眠れない眠りたくない　第三会話劇
　　　「隠れた隠れた隠し事」

長男　　うーん　どうしようかな？　

次男　　何着ても一緒だよ

長男　　それはそうなんだけど

次男　　兄ちゃんさ　もしかして、デート？

長男　　うん　デート

次男　　隠さないんだね

長男　　なんでお前に隠し事するんだよ

次男　　いい大人なんだから、隠し事しなよ

長男　　年齢は関係ないだろ　

次男　　大人で正直すぎるってどうなの？

長男　　大人とかじゃなくて、兄弟なんだから
　　　　兄弟で隠し事はなくていいだろって言ってるの

次男　　まぁいいけど、付き合ってるの？

長男　　いや、最近知り合って

次男　　何処で出会ったの？

長男　　本屋で同じ本を選んでて　

次男　　へぇー　それで、運命感じたの？

長男　　いや、運命は感じてないよ

次男　　感じたでいいと思うけど

長男　　運命が何かわからないし、感じてはないな

次男　　それで出会ったなら、運命を感じたでいいと思うけど

長男　　そっか？

次男　　そこでいいと思ったんでしょ？

長男　　そこで出会って連絡先交換して
　　　　やりとりしてる内に、素敵だなと思って

次男　　で、デートするんだ

長男　　そう

次男　　何するの？

長男　　犬は去るって映画観に行く

次男　　なにそれ？

長男　　探してた本の作者が原作やってて

次男　　映画の後は？

長男　　ご飯いこうかなとは思ってる　まぁ相手次第だけど

次男　　どこ行くの？

長男　　ご飯？　決めてない

次男　　決めておいた方がいいよ

長男　　店知らないしな

次男　　聞いてみるよ

長男　　そっかでもアレか君？

次男　　そう　アイツ、飯屋詳しいから

長男　　あまりにも高い所はな

次男　　２人で酒飲んで、１万円くらい？　

長男　　それくらいがいいな　あまり高いと次が続かないし

次男　　わかった　ちなみに、今までデートしたことあるの？

長男　　ないよ　初めて

次男　　兄ちゃんは見た目いいし、誠実だし、うまく行くと思うけどさ
　　　　ちょっと正直すぎるところがあるから
　　　　その辺はうまくやりなね

長男　　着飾ってもバレるから、普通にするよ

次男　　その普通をうまくやりなって言ってるの

長男　　どういう事？

次男　　例えば、相手がさ　　
              私たちの出会いは運命的だよねって
              言って来たら、反論したらダメだよ

長男　　反論なんてしないよ

次男　　本当に？

長男　　お前、俺の事なんだと思ってるんだよ

次男　　嘘つかなそうだから、そうだねって言える？

長男　　そうだねとは言わない　わからないって答えるよ

次男　　絶対ダメだよ　

長男　　なんでだよ　反論してないだろ

次男　　運命的だよねって言ってたのに、わからないって言われたら
　　　　可哀そうだよ　それは反論だよ

長男　　でも、運命ってわからないからな

次男　　わからなくてもいいけど、わからないって言ったらダメだよ

長男　　そういうもんなの？

次男　　そういうもん　

長男　　運命がいいのか？

次男　　運命はいいよ　そういう事いわれたら、
             何も考えずに、そうだねって言えばいいから

長男　　うーん嘘はつきたくないな

次男　　そうだねって言わないと相手が可哀そうすぎるから

長男　　嘘つかれる方が可哀そうじゃない？

次男　　これは嘘じゃないから

長男　　まぁ、しっかりしてる人だから、そういう事は言わないと思うな

次男　　しっかりしてる人が心を開いたら、止まらないから
　　　　しっかりしてる人ほど、２人になるとってあるから
　　　　言われたら、そうだねって言わないと絶対ダメだから

長男　　うーん、運命とか関係なく、運命じゃなくても、好きなんだけどな

次男　　それはいい

長男　　どういう事？

次男　　あ、そういう話になる前に
               君の運命の人が僕じゃなかったとしても、
　　　　僕は運命の人より君を愛するって言えばいいよ
　　　　そしたら、運命どうこうの話にならないから
　　　　そういいな

長男　　そんな事を言ったら、変な人だと思われるだろ

次男　　好き同士なら、余裕で通るから大丈夫　

長男　　うーん　もし良かったら、付き合ってくださいとかがいいな

次男　　それだと、お願いしますの後に、運命の話になるから
　　　　先に、潰しておかないと　一回練習しよ

長男　　嫌だよ

次男　　練習した方がいいから　言った後に、目を細めて遠く見て

長男　　どういう事？　なんで遠く見るの？　全く意味わかんないんだけど

次男　　好きなもん同士だと、こういうのがいいの　一回見せて

長男　　わかったよ　君の運命の人が僕じゃなかったとしても
　　       僕は運命の人より、君を愛する

次男　　うん　いい　馬鹿でいい

長男　　馬鹿でいい？

次男　　最初は馬鹿になったもん勝ちだから

長男　　そうなの？

次男　　そう　周りから見たら、馬鹿だなって思われることが
　　　　相手にだけは魅力的に映るんだよ

長男　　詳しいけど、お前デートしてるの？

次男　　恋愛に興味ないからな

長男　　恋愛どころか、プライベートにも興味ないだろ

次男　　今は勉強が忙しいから

長男　　医者になる勉強は大変だと思うけど
　　　　少しは自分の人生を楽しんで欲しいけどな

次男　　俺は一回休んでるから、取り返さないと

長男　　まだ、気にしてるの？

次男　　気にしてるっていうか、周りに遅れをとってるから
　　　　取り戻したいだけ

長男　　そっかそれならいいけど、自分の人生を楽しんでな

次男　　お互い様だよ　兄ちゃんも自分の人生を楽しんで

長男　　俺はデートするんだから、楽しんでるだろ

次男　　（独白）あの日から、兄は僕のことを一番に考えてくれている
　　　　　自分の人生の幸せや楽しさよりも、僕のことを考えてくれる
　　　　　僕は兄に、僕の事は気にせずに、幸せや楽しさを味わってほしい
　　　　　そのためには、僕がしっかりするしかない
　　　　　昔より、少ししっかりしてきたから、兄はデートの時間を作れた
　　　　　本当に救われる　
                 うまく行くのは、わかってるけど、うまく行って欲しい

長男　　付き合ったよ

次男　　おおー　おめでとう

長男　　お前の写真を見せたら、お前相当ルックスいいらしいぞ

次男　　勝手に見せるなよ

長男　　そりゃ見せるだろ　自慢したいだろ

次男　　自慢にならないよ

長男　　ルックスいいって、褒められたよ

次男　　写りがたまたま良かっただけでしょ

長男　　いや、ルックスなら、俺よりいいってさ

次男　　なんだよそれ

長男　　俺もそう思うから、２人でお前のルックスの話で盛り上がった
　　　　で、付き合えた　ありがとう

次男　　どういう事？

長男　　盛り上がってた時にさ　ここまで一緒に盛り上がれる人はいないと
　　　　思って、その勢いで告白できた
　　　　お前のおかげだ

次男　　(独白）
　　　　兄の中に、自分じゃない誰かが存在したことが嬉しい
　　　　もっともっとしっかりすれば、もっともっとしっかりすれば
　　　　兄の中の自分の存在は小さくなり、
　　　　兄は兄の人生だけを考えられる
　　　　もっともっとしっかりしたい　

長男　　結婚することになった

次男　　おおーおめでとう

長男　　ありがとう　あのさ、結婚しても、俺はお前のお兄ちゃんだからな

次男　　そりゃそうだよ

長男　　形式的なことじゃなくて、お兄ちゃんだからな

次男　　そうだよ

長男　　困ったりしたことがあったら、絶対言えよ

次男　　え？　別に困ることなんてないからな

長男　　じゃあ、困ってることはないって、連絡しろよ

次男　　その連絡は意味わかんなくない？

長男　　意味は、俺が安心するだろ　それが意味だよ

次男　　気にしなくていいんだけど

長男　　気にさせてくれ　

次男　　あんまり気にしすぎると、お嫁さん怒るよ

長男　　全部話してるから、大丈夫

次男　　良い大人だしさ、心配されるのも迷惑というか

長男　　迷惑なのはわかってる　でも、気にさせてくれ

次男　　そんなに頼りないかな

長男　　頼りにしかしてない　頼もしい　ただ、気にさせてくれ

次男　　いつまで？

長男　　一生だろ　そんなもん

次男　　　迷惑なんだけど

長男　　（独白）弟は優秀だ　弟は優しい　
　　　　　それ故、弟は不器用だ
　　　　　弟は、自分を責め続けている
　　　　　自分の許し方を知らない　知ろうとしない
　　　　　知ったとしても、許さない
　　　　　どうすれば、弟は弟を許すのだろう