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童話 マジカル・マリン

先日、アニメの企画書をこのノートにアップしましたが、その作品の原作になる童話を7話まで掲載します。
絵本を想定してます。どなたか絵を描いてくれる人がいたら、大歓迎です。

以下がその本文となります。

幼稚園児の年長さんと、三歳児に読み聞かせしたのですが、やはり絵がないと子供たちはなかなか興味を持って聴いてくれませんでした。

1話は無料で読めます。

童話 マジカル・マリン

第1話 ブルーレイクのひみつ

ふんわりむらに、マリンという まほうつかいの女の子が すんでいました。
マリンは、長い赤い髪の毛をして、大きな目をした かわいい子です。

マリンは いつも 赤いぼうしを かぶっています。
このぼうしは、おばあちゃんが つくってくれた とくべつな まほうの ぼうしです。
くびには、お母さんが くれた たまのネックレスも つけています。

マリンは まほうの れんしゅうを するたびに しっぱいして しまいます。でも、とても やさしい子で、だれかが こまっているのを みると、すぐに たすけに いきます。

ある よる、マリンは まどから そとを みていました。
すると、むらの まんなかにある ブルーレイクという みずうみから、あおい ひかりが でているのを みつけました。

「あれ、なんだろう?」

つぎの ひ、マリンは がっこうで はなしました。

「ゆうべ、みずうみが あおく ひかってたの!」

「へぇ、また へんなこと いってる」

くろい ぼうしを かぶった 男の子の タムタムが わらいました。
タムタムは せが ひくいことを きにしている うえに、ちょっと なまいきな 子です。でも ほんとうは、マリンのことが すきなのです。

タムタムは じまんげに はなしはじめました。

「それは でんせつの まほうの いせきの ひかりだよ。むかしの まほうつかいたちが、すごい まほうを かくしたんだって」

そこへ、大きな からだをした みどりいろの せいれい、ブロッコリータが やってきました。
ブロッコリータは、からだの いろを かえられる ふしぎな ちからを もっています。でも、とても おくびょうで、ちょっとしたことで びくびく してしまうのです。

「で、でも、あぶないんじゃない? ちかづかない ほうが いいよ…」

その はなしを きいていた せいれいの バンガーは、にやりと わらいました。
バンガーは いたずらずきです。とがった みみと するどい はを もっています。
おとうとの ボンガーと、おおきな せいれいの ゴンギーに めくばせをして、ないしょばなしを はじめました。

「へへへ、たからものを さがしに いこうぜ」

マリンは どうしようか まよいました。でも、むらの れきしについて しりたい きもちが どんどん つよくなります。

そこへ、しろい ひげの ながい ジュジュ先生が やってきました。
ジュジュ先生は、みどりいろの ふるい ふくを きて、まがった つえを もっています。
もりの がっこうの せんせいで、マリンたちに やさしく まほうを おしえてくれます。

ジュジュ先生は やさしく わらって いいました。

「みずうみの ひみつは かんたんには わからないもの。でも、ほんとうに しりたいと おもえば、きっと みずうみは こたえて くれるはずじゃ」

マリンは あかい ぼうしを ぎゅっと おさえました。この ぼうしには とくべつな ちからが あって、マリンが こまったときに、とおくの おばあちゃんの こえが きこえてくるのです。
なぜか きょうは、ぼうしが すこし あたたかく かんじられました。

「よし、もぐってみよう!」

マリンは みずの なかで いきが できる まほうの れんしゅうを はじめました。
でも、これが たいへん。じゅもんを まちがえると、みずのつぶが かおに はねたり、くしゃみが とまらなくなったりします。
マリンの しっぱいを みて、もりの せいれいたちは おおわらい。
ちゃいろい ちいさな せいれいの ミミンガは、このはなしを だれかに はやく はなしたくて うずうずしていました。

「もう、どうして うまくいかないんだろう…」

そのとき、だれかが こえを かけてきました。

「へたくそだなぁ」

ふりむくと、タムタムが たっていました。
くろい ぼうしの したから ちゃいろい かみの けが みえます。
いつもは マリンを からかうのに、きょうは すこし ちがいました。かおを あかくしながら、タムタムは ちいさな こえで いいました。

「その、じつは おれも おなじ まほうの れんしゅうを してたんだ。ふたりで やってみない?」

タムタムは はずかしくて、ぼうしを ぐっと かぶりなおしました。
せかいいちの まほうつかいに なるのが ゆめなのに、まだまだ へたなことを、ひとに みられるのは はずかしかったのです。

マリンは めを かがやかせて うなずきました。
そして ふたりは、みずうみの あさいところで れんしゅうを はじめることに しました。

その ようすを、きの うえから みていた バンガーたちは、わるい わらいを うかべていました。
するどい はを みせて わらう バンガーと、それを まねしようとして へんな かおに なってしまう ボンガー。そして、ちからもちだけど あたまが すこし よわい ゴンギー。
さんにんは、マリンと タムタムの じゃまを しようと、ないしょばなしを はじめたのです。

マリンと タムタムは、みずうみで まほうの れんしゅうを はじめました。

「みずの なかで いきが できる まほうは むずかしいの。だから ふたりで いっしょに れんしゅうするほうがいいとおもうの」

マリンが そう いうと、タムタムも うなずきました。

「まず、このじゅもんを となえるんだ。『すいすい すいすい みずのちから!』」

ふたりが いっしょに じゅもんを となえると、ふしぎな あおい ひかりが からだを つつみました。

「やった! これで みずの なかで いきが できるよ!」

でも その とき、きの うえから バンガーたちが わらいながら とびおりてきました。

「へへへ、おもしろそうだね。ぼくたちも いれて!」

バンガーは わざと マリンたちの ちかくで およぎまわり、みずを はねかけました。ボンガーと ゴンギーも いっしょです。

「もう、じゃましないで!」

マリンが おこっている すきに、バンガーは こっそり タムタムの くろい ぼうしを とってしまいました。

「あっ、ぼうしが!」

タムタムは あわてて ぼうしを とりかえそうと します。
でも、バンガーは ぼうしを もって みずうみの おくの ほうへ およいでいきます。

「タムタム、だいじょうぶ! いっしょに おいかけましょう!」

マリンと タムタムは いっしょに およいで、バンガーを おいかけます。すると、みずの おくで また あの ふしぎな あおい ひかりが みえてきました。

みずの おくで みえた あおい ひかりは、だんだん つよく なってきました。

「あれは...」

マリンが みあげると、おおきな いしの もんが ありました。
まわりを あおい ひかりに つつまれた もんには、ふしぎな もじが きざまれています。

バンガーも タムタムの ぼうしを わすれて、びっくりして みています。

「これが でんせつの まほうの いせきだ!」

タムタムが よろこんで さけびました。
すると とつぜん、いしの もんが ひかりだし、ゆっくりと ひらきはじめました。

マリンは あかい ぼうしに ささやきかけます。

「おばあちゃん、この もんは なにかな?」

おばあちゃんの こえが ぼうしから きこえてきました。

「それは むかしの まほうつかいたちが のこした だいじな ものじゃ。でも、ひとりじゃ はいれないよ。なかまと いっしょじゃないと ひらかないんじゃ」

マリンは タムタムの てを にぎりました。バンガーたちも こわがっていたのを わすれて、ちかづいてきます。

「みんなで いっしょに はいってみましょう!」

マリンが そう いうと、もんの ひかりは もっと あかるく なりました。みんなで てを つないで、ゆっくりと なかに はいっていきます。

もんの むこうには、ひろい へやが ありました。へやの まんなかには、きれいな すいしょうの だいが あり、その うえに ふるい まほうの ほんが おかれています。

かべには えが かかれていて、むかしの まほうつかいたちが、みんなで力を あわせて まほうを つかっている ようすが えがかれていました。

「すごい!」

マリンたちは びっくりして、まわりを みまわします。

「みて! この えには、みんなで てを つないで まほうを つかっているよ」

マリンが えを さして いうと、タムタムも なるほどと うなずきます。バンガーたちも、いたずらを わすれて みとれています。

そのとき、すいしょうの だいが ぴかぴかと ひかりだしました。

「このほんには なにが かいてあるんだろう?」

マリンが そっと ほんを ひらくと、ふしぎな もじが うかびあがってきました。

「むかしむかし、このむらの まほうつかいたちは、みんなで ちからをあわせて まほうを つかっていました。ひとりでは できない まほうも、なかまと いっしょなら できるのです」

マリンは タムタムを みました。タムタムも バンガーも、そして ボンガーと ゴンギーも、おたがいの かおを みあわせます。

「そうか! だから このもんも、みんなで いっしょじゃないと はいれなかったんだ!」

タムタムは やっと わかったように さけびました。
バンガーは タムタムの ぼうしを そっと かえしました。

「ごめんね、いたずらして...」

「もういっかい みんなで いっしょに まほうの れんしゅうを しよう!」

マリンの ことばに、みんなは えがおで うなずきました。

それからは、マリンと タムタム、そして もりの せいれいたちは、いっしょに まほうの れんしゅうを するように なりました。
ひとりで まほうを つかうより、みんなで いっしょに れんしゅうする ほうが、ずっと たのしかったのです。

おしまい

第2話 となりのむらへ いこう

ある あさ、マリンは ふしぎな おとを ききました。ハイマウンテンという おおきな やまから、きれいな ふえの ねいろが きこえてきたのです。

「なんだろう、この すてきな おと?」

マリンが もりの がっこうで はなすと、タムタムが しんぱいそうに いいました。

「やまの むこうには おばけが いるんだよ。ちかづいちゃ だめだ!」

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