ワンラインとラフストーリーについて
前回のノートでは、ストーリーを作る時の(脚本家)の意識の動きに焦点をあてて、実際に即興でストーリーを作りながら意識の流れをドキュメンタリー的に記録していくというものを書いてみました。
しかし、作り上げたストーリーを映像制作者のみなさんにプレゼンテーションするためには、これをそのまま相手に見せても読んではもらえません。
(どう考えても長過ぎます)
もっとわかりやすいものを書く必要があります。
今回は、それを書いて行きたいと思います。
○監督、プロデューサーなどに、自作のストーリーを提示するときに必要なもの。
★『ワンライン』とか『ログライン』とか呼ばれているもの。
これは一行か二行で、作品がどんなものなのかをイメージさせるものです。
これを書くことで、その作品がどういう雰囲気のものなのかをわからせることができます。
そしてこれで相手に興味をもってもらえるかどうか、大事なものです。
これはストーリーを作る前にも書いておくことで、書き手は自分がどこに向かうのかという羅針盤の役目を果たしてくれることになります。
なので、脚本などストーリーを書く人には、ぜひお勧めします。
★『ラフストーリー』
これは文字通りラフなストーリーですね。
どんなお話なのかということを、短い文章でまとめたものです。
さっと読むことができて、それで相手に興味を抱かせることができなければなりません。
『おもしろそう』と思わせられるかどうかが肝心です。
このラフストーリーというのは、企画を練る時にも必要になります。
プロデューサーのみなさんたちは、限られた時間の中で多くの可能性を持っているストーリーを求めています。
彼らの感性に『これだ!』と閃きを与えられるものです。
短いラフストーリーは、そういう魅力的なものでなければなりません。
『おもしろそう』だけではなく『ヒットしそう』とか、『儲かりそう』とかも思わせなければならないです。
★ログラインを書く
ではやってみましょう。
前回のノートを読んでもらっている人は、どんなストーリーなのかはわかっているかもしれません。
ただ、ここでは読んでない人にわかってもらえるように書いて行きます。
『人の本音が聞こえてしまう能力のために25歳になるまで恋ができなかった占い師の女が、本当の恋に出会い、それを成就する物語』
こんな感じです。
★タイトルを決めましょう。
これは決定タイトルではなくても良いです。
作品というのは最終的にリリースするまで、タイトルを変更する機会はあります。
ただタイトルは、ワンラインのもっと短い物だと考えてもいいかもしれません。
作品全体の象徴ともいうべきものです。
そして最初に観客の目に止まるものでもあります。
魅力的であることが、大事です。
タイトルには最後までこだわって、損はありません。
タイトル。
『25歳で初恋しちゃだめですか』(仮題)
もっといいタイトルが思いつきそうですが、とりあえず仮題とします。
最初のイメージというのは、わりと良いものがあります。
★ラフストーリー
いよいよ、ラフストーリーです。
これはどんな話なのかがわかるのが大事です。
魅力的なのか、相手が求めているものに沿っているのか。
そこに注意して書き進めましょう。
A4の用紙一枚くらいにおさまればベストです。
そして結末までが書かれていなくても良いです。
『面白くなりそう』というのが、相手に伝わればいいのです。
『25歳で初恋しち.ゃだめですか』(仮題)
先賀ミエ(25)は特殊な能力がある。
人に触ると、本音が聴こえてしまうのだ。
しかし今はその力を使って、占い師として稼いでいる。
ただミエは、自分も人並みに恋をしてみたい、人を好きになって幸せに暮らしたいと思っているのだった。
そんなミエがストーカーに追いかけられているのを助けてくれたコンビニの店員の真行純(26)にときめいてしまうのだった。
そしてミエに想いを寄せる男も現れる。
占いの客だった警察官の新玉元(25)だ。
自分には恋などできないと思っていたミエに、いきなり恋のチャンスが来てしまうのだった。
しかし人生は思うようにはいかないもの。
セクハラが原因で、占い師の仕事を失ってしまい、さらに殺人事件に巻き込まれてしまう。
しかもその事件の犯人として、自分が疑われてしまうのだった。
さらにミエが想いを寄せるようになった純が、真犯人の可能性も出て来てしまう。
ストーカーに、殺人事件に、さらに過去のトラウマまでがよみがえり、ミエは翻弄されることになる。
そして事件は、純や新玉たちを巻き込みながら意外な方向に進んでいくのだった。
「あたしだって、恋はしてみたい!」
果たしていままでの人生で恋をすることができなかった女は、この初恋を手に入れることができるのか!?
★以上でログライン(ワンライン)とラフストーリーについての解説を終わります。
このノートが、あなたの創作の役にたてばうれしいです。