主人公ははっきりさせること
ある舞台を見てきた、出演者に知り合いがいたからだ。
脚本があまり出来が良くなく、演出もそれほど素晴らしいとは思えなかった。要は微妙な舞台だった。
終演後に出演者と話す機会があった。
作演出家はこの作品にものすごく自信を持っていて、稽古場では自分のことを天才だと言っていたそうだ。
まぁ稽古場でのテンションが上がったうえでの冗談発言だろうとは思うが、それほど傑作だとは僕には思えなかった。
もちろん好みは人それぞれなので、一概にダメだと否定したくはないのだけれど、僕にはエンタメ脚本のセオリーをちゃんと理解していない人が書いた脚本に思えた。
ここで僕が言っているセオリーとは何なのか。
その第一は、観客が感情移入することができるものになっているかどうかという事だ。(特にエンタメ作品では、それが必要だと思う)
そのためには観客が感情移入できる主人公を設定すると言うことが必要となる。
この僕が見た舞台では、主人公が誰なのかということがよくわからないまま物語が進んでいくのである。
簡単に言うと、誰によりそってこの物語を見ていいのかが、ぼけていた。
なぜそのようになってしまったかというのは、実際のプロットに従って説明するしかないのだが、ここでそれをやっている時間はない。あしからず。
物語の始まりでは、主人公をはっきりと提示して、それを立たせて、観客に好きになってもらうことが大事。
あらためて、このことを確認した観劇でした。