ズームでいきなり本読みについての感想まとめ
五月三日の深夜に行った『ズームでいきなり本読み』について感想をまとめます。
劇団ハイバイの岩井秀人さんが始めた『いきなり本読み』は、稽古場でやっていることを、お客さんにも見せたら面白いかもという発想から始まったのではないかと思います。
確かに脚本家は自分が書いた物語が、初めて俳優の声を借りて、この世界に立ち上がってくる瞬間は、とても面白い体験です。
この体験を稽古場にいる人間だけでなく、一般の人たちにも味わってもらおう、それはまた演劇の裾野を広げることになるのではないか。
さすが岩井。
そこまで考えていたかどうかはわかりませんが、一つの演劇ジャンルを見つけ出した発想は素晴らしい。
先日、三越劇場で本家の本家の岩井さんがやったのを観させてもらって、ものすごく面白かったので、自分でもやってみたくなりました。
というわけで, X旧Twitterで参加してくれる俳優を募集して、zoomでやってみました。
zoomでやれるのかという検証もふくめてのチャレンジ企画にも関わらずお客さんにも見ていただきました。
本当にありがとうございました。
結論から言うと、
zoomでいきなり本読みは、やれる。
しかし、準備しなきゃならないことが、まだまだたくさんある。
何が起きたのかを、メモします。
1、zoomのIDとパスコードを一般に公開すると、荒らしにあってしまう。
開始すぐに、おかしな音楽や外国語のノイズともに、画面に便所の落書き的なものが現れました。
荒らしは世界からやってきたのです。
それを追い出すのに、バタバタして、中断せざるを得なくなりました。
次回はやるとしたら、この荒らし対策は必ずしなければなりません。
2、俳優さんたちのデバイス環境による違いで起きるトラブルあり。
デバイスのマイクの設定のせいかもしれませんが、普通に話す声はちゃんと聞こえても、叫んだり、唸ったりすると、その音域がカットされてしまうという現象が起きました。
このマイクの設定というのも課題です。
3、同時に喋ると、どっちかの音が消える。
zoomの仕様のせいかもしれませんが、二人以上の人間が同時に喋ったり、かぶせて喋るみたいなことができませんでした。
4、画面共有で、台本をお客様に見せながらの本読みだったのですが、脚本を出すと喋っている俳優の姿が見せられませんでした。
エンタメとしては、同時に俳優の姿も見せられた方が間違いなく面白いので、そこは工夫の余地がありました。
5、時間配分が難しい。
今回は、僕が朗読用に書いた『エターナル』という作品を使いましたが、これは元々一時間強の作品でした。
なので、なんとか最後までやることができましたが、長編の脚本とかの場合は、全編を通してやるのは、ちょっときついかもしれないと思いました。
いくつかの課題が見つかりました。
主にテクニカルな問題なので、詳しい人に相談したら、改善できるように思います。
脚本の選定については、いろんな作品を読んでみるという可能性が広がりました。
一般の人たちに対して演劇に対しての間口を広げると同時に、俳優にもさまざまな脚本に触れてもらうということができる試みだと思いました。
エンタメとしては、もっと工夫をする余地があるとは思いますが、それは時間とコストとも関わってきますね。
今回は、お試しなので、無料でやってみましたが、有料にしても観てみたいですという人はあるのではないでしょうか。
チケット料金を抑えることができる、演劇の一つの形だと思います。