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この先、ライターは食えない職業になっていく。だけど・・・
この記事は動画にも撮りましたので、
読む時間のない方はYouTubeでご視聴下さい。
僕は代筆屋という物書きをして15年以上になります。
(あっという間だったような、まだ15年しか経ってないというような・・・)
「文章を書いて飯を食うなんてイカレてる。頭がおかしい。」
おそらくはこの記事を読んでいるあなたも同じように感じたかもしれません。
世間一般の人たちがそう感じる言葉通り、
実際、はじめた当初は大変苦労しました。
誰一人僕の文章にお金を払ってくれるどころか、
無名の僕の文章に見向きもしてくれなかったんですから。
当時は今ほどSNSも発達してなくて、発信手段はブログやメルマガでした。
ただ自営業を始めた頃からずっとブログとメルマガを書いていたので、
そこが文章修業の場にもなると、代筆屋を始めてからもずっと書き続けていたんです。
半年ほどして、ようやく「代筆屋さんですか?」という一本の電話が入りました。
嬉しさよりも怖さが勝り、震える手を抑えながら電話を受けた日のことを今でもよく覚えています。
恐怖の後に興奮と感動と感謝が入り交じり依頼を終えました。
それでもその1件の依頼で飯が食えるはずもなく、貯金を切り崩して、
しんどい日々が続きました。
しかも奥さんのお腹には今10歳になる息子がいたんです。
代筆屋として食える転機になったのは、
偶然、ある著者の方とお鍋をつつく機会を得たことでした。
その著者の男性は何十万部と本が売れてテレビにも出てる売れっ子さん、
その男性の隣に座る僕は勇気を出して「じつは僕も本を出したいと思ってます」
と声をかけました。
その出会いから本を出版することができて、新聞や雑誌やテレビに取材されるようになり、
代筆屋として生計を立てることができるようになりました。
僕のようなケースは本当に稀で運が良かったんだと思います。
それでも、ずっとマスコミの影響力で食べ続けられるほど文章の世界は甘くはありません。
その後も何度かしんどい時期がありました。
何をしても上手くいかなくなって何をする気にもなれず、
鬱状態になって寝込んでいた時期もあります。
一日中ソファーに寝そべったまま体が動かなくなっていました。
体を動かそうと頭から指令は出すんですけど、心がついてこないというか、
だから寝そべって好きな映画を観たり、音楽を聴いたりしてました。
奥さんは稼げなくなったそんな僕の姿を見ても何一つ文句は言いませんでした。
突然涙が溢れ出てきてリビングで泣いてたら
「大丈夫、大丈夫」と言って僕が落ち着くまで背中をさすってくれました。
数週間が過ぎた頃、なんとなく本を書き始めました。
どうせやることないんだしと、本を書きまくってやろうと毎日毎日書いていたんです。
いつの間にか100冊出版することが目標になり、
2年弱で100冊もの本を出版することができました。
本を書いてる内に友人知人から「すごいですね」とメッセージをもらったり、
お会いしたいと言われたり、代筆の依頼やら、研修の依頼やらが舞い込んできて、
物書きを目指す人の力になれないかとなんとなく代筆屋の養成講座を開いたら受講生が押し寄せてきて、
嘘のように収入が増えていきました。
これまで文章を書くことで生き続けられているのは、
やっぱり書き続けていたからだと思います。
どんなに苦しい時でも、いや苦しい時こそ、
書こうと思ってとにかく書いていたからです。
村上龍さんがある書籍の中で
「作家なんてものは、どうしようもなくなって書くことでしか生きられなくなった人間がやる職業だ。まともな人はならないほうがいい。」
そんな言葉を反芻していました。(正しくはよく覚えていません)
心を動かす文章はどんな時代にも必要とされるという確信があるんです。
これを世に広めて、一人でも多くの人を文章の力で救いたかった、
誰かの人生を変えるきっかけになりたかった、
文章に救われたから、文章への恩返しがしたかった、
僕にはそうした強い想いがあります。
これから僕ら代筆屋やライターや作家といった物書きが生き残る上で大きな問題の一つは、
チャットGPTが記事を自動で書いてくれるようになったことでしょう。
AIに質問するだけで求めている文章を書いてくれるなんて、
物書きにとってはまさに生き地獄のような時代に突入したといえます。
チャットGPTの恐ろしさを体感してないライターの方は、
ぜひ一度チャットGPTを利用して「〇〇な文章を書いて欲しい」と質問してみてください。
日に日に精度が上がっているように感じます。
しかもこれ無料で使えるんですね。
じゃあもう物書きは文章を書くことで生きていくことはできないのかと言うと、
情報をまとめて書いたりしてたようなライターは駆逐されるといえます。
AIは情報をまとめて書くのが人間よりも得意だからです。
でも、やり方次第でそうでもないと感じています。
チャットGPTにも苦手なことがあります。
人間の血の通った感情のある文章、
人の心を動かす文章を書くことはできない。
チャットGPTはAIです。人のような感情はありません。
質問に応じた的確な記事を書くことは得意です。
実際に驚くほど精度の高い文章を書いてくれます。
実験的にチャットGPTに書かせた文章を販売してみたところ、
ものの30分で約10万円ほどの売り上げになりました。(良い悪いのジャッジはさておき、割り切ればこんな活用法もあると言う意味で。)
でも、その文章には血が通っていない冷たい印象を受けました。
AIの作った文章が人の心を動かすとはとても思えませんでした。
自分のやってる代筆屋という職業は、
人の心を動かすライターのような物書きだと捉えています。
この先、情報をまとめて書くだけのライターは食えない職業になっていく。
だけど・・・
人の心を動かす文章を書ける物書きは
生き残れる可能性が極めて高いと言えます。
先ほどお伝えしたように感情の無いAIに心を動かす文章は書けないのはもちろんですが、
今の時代に血の通った文章を書ける人が減ってると感じるからです。
SNSが発達して誰もが文章で発信する時代です。
このブログ形式のnoteもそうですよね。
誰でもnoteで書いて自由に発信することはできます。
だけど、失礼ながら、魂を揺さぶられるような生きた文章に出会うことはまずありません。
なんというか、100均の使い捨て道具のような文章が氾濫してるように感じます。
魂を揺さぶられ、心に刻みたい、生涯の羅針盤や人生を生きる支えとしたい、
そんな文章には出会えなくなっています。
本屋さんやAmazonの書籍を眺めていても、
中身の薄い、ページ数も短い、さっと読めて忘れられるような
文章を深く味わえない人に売れそうな本ばかりになってしまいました。
消費して捨てる社会が文章の中にも浸食してるんです。
だけど、僕らは感情のある血の通った人間です。
魂の揺さぶられる生きた文章を心のどこかで欲しています。
将来への不安や悩み、何とも言えない閉塞感や虚無感、
これらの原因の一つが生きた文章が身近にないことです。
苦しい人生の支えとなる言葉が見つからない。
心を動かし、人生を変えるきっかけとなるような文章を欲しています。
代筆屋の僕が生きてる内は人の心を動かす文章を探して書き続けていきます。
この先、ライターは食えない職業になっていくのは事実です。
だけど・・・
心を動かす文章を書いて食える本物の物書きを一人でも多く増やしたいと思ってます。
何より文章を書くことで自由に生きられる
物書きという職業が人生にもたらす喜びを感じて欲しいです。
noteにはライター等の物書きを目指す人や
実際ライターとして生計を立てている人がたくさんいると聞きました。
苦しいことの連続でしょう。先が見えない、こんなことしていてなんになるんだ?
その気持ちは痛いほどわかります。
僕から言えることは、何があっても書き続けてくださいと言うことだけです。
書き続けない限り物書きとしてのその先はありません。
自分が目指した理想の形になるかどうかはわかりませんが、
本気で書き続けたなら確実に何かに結実します。
すべての物書きが幸せに書き続けられるよう願っています。
興味のある方は代筆屋の書籍をどうぞ。
代筆屋のホームページもよかったらご覧ください。
代筆屋 中島泰成