影響を受ける力〜こうして黒歴史はつくられる〜不朽の名作映画「レオン」に影響を受けた中1の私の悲劇。
あまりに新御堂から淀屋橋に抜ける道が進まないので何事かと思うと、今日は天神祭だったんですね。
中学生くらいの男女グループが歩道を歩いていたのですが、そのうちの男子の姿に私は目が釘付けになりました。
彼がしていた服装は真夏に黒のレインコート、丸眼鏡、ニット帽、そして片手には牛乳パックだったのです。
私はデジャブかと思いました。
そして恐ろしくも切ない過去を思い出したのです。
あなたが憧れたり影響を受けてた人は誰でしょうか?
私が人生で初めて影響を受けた映画は「レオン」です。
ジャンレノ主演でナタリーポートマンやゲーリーオールドマン出演の映画。
今見ても凄い役者陣ですね。
中学1年の夏休みにいとこのお姉ちゃんお兄ちゃんとビデオで一緒に見て、とてつもない衝撃を受けました。
それまで映画と言えば「ドラえもん」や「ディズニー」など子供向けのアニメしか見た事のなかった自分にとって、この哀しい少女と孤独な殺し屋のハードボイルドな「凶暴な純愛(キャッチコピー)」の物語は、大袈裟ではなく世界がひっくり変えりました。
映画を見ている最中から、
自分のなりたいもの、
世界一カッコいいもの、
全てが「レオン」になったのです。
どんな風に影響を受けたかというと
(以下がお待ちかねの黒歴史が生成されるプロセスです。)
レオンの説く殺し屋の心構え その①「食事はっ牛乳のみ」
レオンの食事は「体臭を消す為に牛乳のみ」です。
「匂いが覚えられては、一流の殺し屋とはいえない」
同様に、野菜はいいが、肉や魚はいけない」
僕も夏休み中レオンに習って「牛乳」のみにしました。
(当時は野菜嫌いだったので。)
当然、お腹を下しまくりましたし、家族から反対されたのですがやりました。
憧れのレオンになる為に!
しかし、夏休みが明けて昼休みに皆が弁当を食べている中で、一人だけ牛乳だけを飲んでいるのは視線がいたたまれなくなったので止む無く中止しました。
何より授業中にトイレに行く回数が増えすぎたのです。
これは思春期真っ只中のセンチメンタル中1男子には死活問題すぎました。
しかし、こんなのはまだまだ序の口。
青春ど真ん中の少年内藤は「殺し屋レオン」に憧れて、どんどんとんでもない方向に暴走していきます。
私の中で世界一カッコいい人間がレオンになったので、レオンのファッションを真似ます。
一流の殺し屋の心構え その②「床より明るい色の服を着るな」
レオンは黒いロングコートを着ているのですが、それがまたカッコいい!
ジャンレノの長身と細長い顔立ちに丸いサングラスと帽子がまた映えるのです。
そもそも真夏の大阪とニューヨークでは気温自体が違うのですが。。。
レオンを崇拝していた私は当時季節感さえもバカになっていたようです。
もちろん、中1の私に黒のロングコートを買うお金はありませんでした。
そもそも夏なのでコートなどどこにも売っていません。
仕方がないので父親の黒いレインコートで代用します。
その結果、黒い大人用のレインコート×丸いサングラス×ニット帽という出立ちになります。
真夏にこれは地獄です。
そこに中一男子がニット帽をかぶると、むれて仕方ありません。
思春期全開の僕はおでこにニキビが大量にできました。
しかしですよ、その時鏡の前に立った自分に映るのは世界一カッコいい「レオン」になった私なのです。
夏休み明けの休みの日、気になる女子がいるグループと私たちのグループでボーリングに行くことになりました。
当然ながら私はイタリア系殺し屋のレオンスタイルで行きました。
夏休み前のお子様スタイルとは一線を画す仕上がりに
片手には牛乳パック(食事)です。
世界一カッコいいレオンスタイルで謎の自信に満ちていた私は帰り道に告白するも秒で撃沈した記憶があります。
未だに当時の友達にイジられるレオンスタイルは、私の黒歴史として記憶の扉に鍵をかけたつもりでした。
しかし、今日私が天神祭で目にした彼は過去からの刺客なのか、それとも痛い同志なのか、幻だったのか?
むず痒くて恥ずかしい記憶が全身を駆け巡りました。
何かに影響を受ける力(感性)はとてつもない力を生み出します。
当時の思春期ど真ん中の私の瑞々し過ぎる感性は、その力を制御できずに暴走をしていました。
あれから25年たった今、久しぶりに「レオン」をまた見て黒いロングコートを着ようとしている自分に戦慄が走ります。