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8月シングルスピードサイクリング258km

これでイイや。
8月お盆休みの晩、時刻は深夜0時前、フジ フェザーに650bタイヤを履かせた通勤車で東京の家を出た。とりあえず、上信国境を目指す。

フラットペダルをトレッキングシューズで踏む。
ギア比は2.33、クランク1回転でホイールが2.33回転するその一つのギア比だけ。
タイヤは650×36のスリックタイヤ、よく転がり、それなりにグリップもする。これはこれで満足だ。
自転車のライザーバーには、着替え入の袋をくるんだウレタンマットを括り付けてある。
サドルはすっかりフェイクレザーが擦り切れたクラシカル調のサドル。

フジ フェザー650b

チェンホイールを滑るチェン、静かな駆動音が夜闇に吸い込まれる。高効率な駆動系をダラダラと踏み回す。
環八を北に、そして、国道254号で川越、小川町、夜の国道を滑る。都会の匂い、家畜の匂い、夜の草とアスファルトの匂いが次々に去来する。
視界はボルト400の照らす範囲と、時折現れる街灯とコンビニ。
かなり久しぶりのナイトランだ。

よる

ダンシングして緩い坂を小気味よく登り、下り坂はひたすらサボってハンドルバーを握るのをくり返す。登りは調子よく身体が回るし、バネ感もある。気持ちがいい。

長瀞につく頃には夜が明けていた。
午前5時前。8月だったのに気温は25度を下回っている。動きやすいわけだ。
汗が冷えるなんていつぶりだ。

夜が明ける

長瀞から小さい峠を2つ経由して、神流川沿いの国道に出る。国道462号。
急に眠気が来た。しっかしながら、日も照ってきているので、日向でごろ寝するにはキツい。引き続き走る。

走行距離が100kmを越えたあたりでいい具合の日陰を見つけた。地面は砂利だが、涼しげでかえって良い。
ハンドルから丸めたままのウレタンマットを取り外し、枕にして眠る。
30分ほど眠ると気分爽快。気持ちがいい。目を開ければ木の葉から透け見てる青空。
その後少しダラダラして、また街道に復帰する。

ダム湖を見下ろしながら上り下り

神流町の道の駅につく頃にはすっかり真夏の陽気だ。神流川を眺めながらソーダをがぶ飲みする。
滴る汗が木製ベンチに染み込む。
そして、上野村の道の駅つく頃には、9時を過ぎるだろうから、そこで朝飯にしようと決め込む。

エッヂオブ関東への道は続く。
道は山間部の川沿いらしく、登り基調ながらリズミカルにアップダウンしていてシングルスピード向きだ。
程なく予定通り午前9時頃 上野村、道の駅、開店したそばからなだれ込み、物販惣菜やきそば購入。バクバクとかきこむ。

やきそば、塩味がいい

35度にせまる気温に耐えかねて、越えるつもりの十石峠旧道手前にある施設でも休憩。
英気を養い、スポーツドリンクを購入、水を満タン(とはいえ1リットル程度)にする。
そして、国道を逸れて、十石峠旧道にとりかかる。

旧道入ってすぐ、キツいので押す

旧道はのっけから斜度があり、押し歩き。
ジリジリとした日射が時折木陰から差してくる。
しばらくゆけば、かつての関所のある集落にたどり着く。
その集落の合間から、さらに旧道は未舗装の細い道としてその姿を残している。
一息ついて、脚絆をつける。短パン履きなので、少なくとも足首は守るようにしているのだ。

旧道 集落を見下ろす

このパートが今日のサイクリングのハイライトになるだろうなーと思いつつ、押し歩き、時に乗る。
よく整備された道で難なく歩け、石垣が時代を感じさせる。道普請をしている人々に感謝しつつ、サクサクと心地よい落ち葉の音を踏みしめてゆく。

石垣
お地蔵さん

気付けば150kmくらい走ってるようだ。100km以上の走行は久しぶりだし、150kmなんていつぶりだろう。
とはいえ夜間走行のお陰でバテておらず、体力には余裕がある。時間もたっぷりだ。
この時点で、長野市まで走ることを決めた。
しめてあと100kmだ。

ごきげんな落ち葉道の様相だが、悪い部分もある

斜面をトラバースしたり、つづら折りを登ったり、楽しく進み、時に開けた路面は自転車に跨る。
樹林の道は、乾いた落ち葉、湿った落ち葉、時折ごろ石。

沢を渡り、尾根をのぼり、そのまま矢弓沢林道に出る

暫くゆくと、渡渉し尾根に取り付き、気持ちの良い舗装林道に出るのだが、合流点が見付けられず少し逡巡。関係のない尾根を登ったりするが、ダウンロードしていた地理院地図を読みつつ、無事舗装を踏んだ。

快晴、もうすぐ信州

矢弓沢林道は見通しが良く、西上州の山々を爽快に眺められた。
ヒルクライムには重めなギアだが、頑張って踏み込み進む。時々押す。
押してる時に自動車が来たら、カッコつけて乗る。
ハンドルにすがりつき、一歩一歩踏みしめるようにクランクを回す。
尾根を巡る林道をゆき、いつしか十石峠につく。
すずめ蜂が飛んでいるので、のんびりするまもなく峠を下る。

貧弱なブレーキしかついていないが、ブレーキシュー自体はリムによく馴染んでいて、コントローラブルな制動。ライザーバーも相まって楽しく操舵できる。

自転車を漕いでいなくても、下りはつかれるものだ。のどがカラッカラに渇いた。
信州の爽やかな風も、標高下げればムッとしてくる。日陰の自販機に飛び込みソーダを飲む。
たまらねぇ。

オアシス

国道141号に合流し、北上を始めた頃には昼をとっくに回っていたのでやっぱし腹が減って来る。
らーめん屋に駆け込んで、スープまで飲み干した。失った塩分を補給する。
国道18号まで141号で走っていこうと思っていたのだが、思いの外混んでいるので、食事を終えると少し道を逸れて彷徨った。
田んぼの中の道をシングルスピードを回す。
風が抜けて行くのか、自分と大気の相対速度が風を思わせるのか。揺れる稲をみればわかる。
青い視界の先にはドス黒く青い青い空。なんだか気持ちよくなってきた。

農道 山岳をのぞむ

気持ちよくなると、気持ちが落ち着きまた眠気がやってきた。
眠れそうな東屋で5分ほど目をつぶった。
眠いから眠るんだ。1日でもう2泊もしてしまった。
東屋の近くはどうやら旧街道の風情を残したところだったようだ。
提灯がぶら下がって、なんだかお盆だ。

お盆だ。

目を開けると、また惰性で走り出す。
良いぞ、たのしいし力んでない。久しぶりだ。
心ゆくまで、千曲川沿いを可能な限りトレースして長野市内を目指すことにした。

千曲川沿いの道

気付けば日もだいぶ傾き、長野市手前で千曲川沿いの道は工事中のため通行止めに。
しょうがないのでシンプルだが交通量のある国道に戻る。
あとは、長野市に行くだけだ。
出発の時に点けていたボルト400に再び火を入れる。
ふとももを引き上げ、振り下ろし、力を前に送っていく。夜闇は実際以上に速度感が増して、やっぱり気持ちいい。

長野駅

午後7時30分、長野駅についた。
よし、これで終わり。
ストラバを止める。258km。
久しぶりにこれだけ走ったが、ポジションの出ていて乗りなれた自転車に、踏み位置を変えられるフラットペダル、そして急坂は押しをせざるを得ないシングルスピード、全てが噛み合っていたみたいだ。
全く身体にコリがない。
結果として久しぶりの200km超えサイクリングになったが、心地よい距離だ。

その日は長野市内に宿泊し、翌日上越妙高駅まで走り、東京まで輪行帰宅した。

2日目に出会ったナウマンゾウ

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