新型コロナ住まいとくらし緊急サポートプロジェクトOSAKAについて
毎日、大阪市西成の「釜ヶ崎」でいろんなことをいろんな人としています。
今回は、「新型コロナ住まいとくらし緊急サポートプロジェクトOSAKA」についてご紹介させていただきます。
プロジェクト発足の背景
2020年、新型コロナウイルスにより、世界中が混乱しました。
日本国内においても、緊急事態宣言や自粛などがあり、経済に大きな影響を与えました。
過去にはリーマンショックやバブル崩壊などの大きな不景気がありましたが、世の中がそのような状況になると、
我々のような「支援団体」が必要とされる場面が増えます。
そして、西成「釜ヶ崎」にもたくさんの失業した人が全国からやってきます。
そうなると、役所の福祉事務所や支援団体がパンク状態になってしまい、対応が遅くなってしまいます。
対応が遅くなることで、その人が抱える問題がどんどん深刻になってしまったり、食べる・寝るが不安定になることで健康状態が悪化したり、大きなストレスが継続してかかることで心理状態に甚大な悪影響を及ぼすこともあります。
2020年4月初旬、まだ影響が大きく出ていない時期でしたが、
今後予見されるリーマンショック時のような状況を想定して、今のうちに準備体制を整える必要があると法人内で判断が下りました。
いろんな団体での連携体制を強化し、より多くの人により速やかにより必要な支援を実施できる体制づくり。
この連携体制づくりを任されました。
呼びかけ人となり、
今までいろんな団体で働いたりボランティアをしていたので、知り合いの団体等に片っ端声をかけて連携を呼びかけました。
そして、
新型コロナ住まいとくらし緊急サポートプロジェクトOSAKA
が生まれました。
連携構想が起きてから、最初の活動となる「緊急相談会」開催まで8日間ほどの短期間でしたが、
その期間に15以上の団体が加盟しました。
それだけ多くの支援団体がこの未曾有の状況に危機感を抱いていたとともに、その中でできることをしたいという考えがあったと思います。
現在では下記22団体が加盟しています。
釜ヶ崎内だけではなく、
大阪市北区で活動する、認定NPO法人Homedoorさんや認定NPO法人ビッグイシュー基金さんも参画しており、まさにALL大阪での連携体制を構築することができました。
そして、ホームレス支援団体や困窮者支援団体だけでなく、
医療関係の団体、法律関係の団体、不動産屋さんや、宿泊業さんなども属しており、その結果ワンストップで対応できる体制を整えることができました。
プロジェクトの目的
①アウトリーチ
発足当時、新型コロナウイルスに関する情報が飽和していました。
また、溢れかえる情報の中には信憑性に乏しいものも多数散見されました。
その結果、自身にとって必要な安心できる情報を得ることが非常に困難な状態となりました。
大阪中の団体が連携し、一つの大きな看板を掲げることで、
・見えやすく
・信頼できる
情報を発信することが可能となり、
困窮状態にいる人や、住まいを失った人に届きやすくなります。
情報は、
・Webサイト
・SNS
・夜まわり
・簡易宿所やネットカフェへのチラシ設置
などで発信しました。
②スムーズな支援の実施
連携をしたことにより、速やかな支援実施をすることが可能となります。
そうなることにより、
厳しい状況に置かれた相談者の状況が短期間で改善され負荷がかかる時間が減ります。
また、いわゆる「支援者」側にとっても、スムーズに対応できることでより多くの方の対応ができるようになるメリットがあります。
具体的に、
・受け入れ体制の構築
いろんな団体が関わることで人的リソースが大幅に増えます。その結果、一度の相談会で相談員を複数人配置することができるようになります。
・専門家による分業ができるように
さまざまな領域の専門職が携わるため、分業することができます。
その結果、よりスピーディーな課題解決や相談対応ができるようになります。
③最適な支援の実施
上記②にも書かれていますが、さまざまな領域で活動する専門職が携わったことにより、その場で専門的な支援を実施することができました。
具体的にどんな専門職がいたかというと、
・ホームレス支援や生活困窮者支援における福祉的支援
・ホームレス支援や生活困窮者支援における就労支援
・医療専門職(医師、看護師)
・法律専門職(弁護士、行政書士)
・不動産業
・宿泊業
など。
従来のホームレス支援や生活困窮者支援においては、
現場の職員が過去の経験やケース対応事例を参考にしたり、悩みながら調べたり、最終的に専門職に繋いだり、というような対応をとることが多いのですが、今回はその場ですぐに繋げられるようになりました。
より課題に対して精度の高い対応ができるようになりました。
また、各団体に「相談員」がいるわけなのですが、
多くの団体が最低限の人的リソースで普段活動しているため、一人の相談員で全ての対応をすることも少なくありません。
今回の取り組みでは、少し悩んだらその場ですぐに他の団体で活動している相談員に相談することができ、一緒に検討することができました。これは、
常に自身の対応が適切かどうか悩み続けることが多く、しかし緊急的な対応の中で時間をかけて誰かに相談したりじっくり検討したりすることは不可能に近いため、現場で活動する相談員にとって、めちゃくちゃ大きなメリットでした。
昨年放送された特集で、上記②、③の様子をすごくわかりやすく紹介されていますので、ぜひ参考にしてください↓
連携したことにより、この他にもさまざまな利点がありました。現在も定期的な相談会の開催や緊急宿泊支援の実施などでプロジェクトは継続して動いておりますが、このプロジェクトを通じて大阪中の支援団体で交流する機会がより増えて、現在でも個別で団体同士で関わる機会なども増えました。
具体的な活動内容については、また次にご紹介させていただきます。