メンタリストDaiGoの件を通じて思うこと③
↓その②(前のやつ)
メンタリストDaiGoさんの動画が問題視され、大炎上しました。
当該動画に関して、僕個人としては、炎上することとなった動画の発言に関しては、一切の肯定的な感情がないとともに、事実に反する間違った情報も多いと感じており、ひどいものであると思っています。
その後、8月13日にYoutubeのLIVE配信(動画は削除されている)にて謝罪しました。
そして、その翌日に再度スーツを着て謝罪の動画を配信しました。
僕も両方の動画を見ました。
メンタリストDaiGOさんの動画での謝罪に関して、こちらもさまざまな人がさまざまな意見を言っています。
その中で僕の心が苦しくなるのは、
・反省していない
・どうせまた同じことをする
・こんなんで許されるわけがない
など、謝罪に対しての否定的な発言です。
現在僕はDaiGoさんが当初存在そのものを否定的に取り扱った、生活保護受給者やホームレス状態の人を対象にした、支援活動を行っています。
毎日、面談を実施し相談に対応しています。
この活動を行う上で、自分の中で大切にしていることがたくさんあります。
その自分が大切にしている思いの中のいくつかが、謝罪に対しての批判や否定を見た時に触れてしまい、感情が揺れてしまいます。
僕が活動の中で大切にしていることの1つ目は、
基本的に「本人が自ら決めたこと」を大切にし、応援します。
生活を立て直すお手伝いをしていくなかで、
さまざまな選択が必要になったり、制約が必要になる場面が出てきます。
例えば、
金銭面での制約。
限られた収入の中で、次の収入が入るまでの間で計画的に使わないと、途中で困窮してしまいます。困窮状態に陥ることで、満足な栄養を摂取できず健康面での問題が起きる可能性もありますし、精神状態が不安定になることもあります。
飲酒の制約。
依存状態の方の中には、自身の健康や命を守るために制約をする必要がある人もいます。
ギャンブルの制約。
金銭面、依存に関する制約どちらも重なる部分もあるのですが、ギャンブルに通ってしまうことで、所持金が無くなったり借金が増えてしまい、生活が難しくなってしまうことがあります。
などがあります。他にもいっぱいあります。
このような状況になった際に、こちらもさまざまなアドバイスや提案を行います。しかし、拒否されることも多々あります。
その時に明らかに命に関わることであったり、緊急的な出来事の場合は何度も粘り強くお願いすることがありますが、
基本的には、本人が決めたことを大切に受け止めます。
しかし、本人が決意した計画や行動に対して、
聞く側として、僕自身の今までの経験や傾向を踏まえたときに、
とても困難だと予想で思ったり、過去と同じ結果になる可能性が非常に高いと感じる時も往々にしてあります。
そういった場合も、丁寧に予測できる範囲の起こりうるリスクを説明することが役目であると思っています。
そしてそれと同時に、望んでいない結果に転がったとき、とるべき行動やリカバリーについても頭の中で組み立て、本人の決めた通りにならなかった場合は、また今後について共に考えて、共に行動します。
その繰り返しです。
何度も何度も繰り返します。
僕自身もそうではあるのですが、この仕事を通じて出会い、関わる人の多くが、極度に失敗を恐れる人が多い印象です。
出会う前の今までの人生、どんなことがその人にあったのだろう。
失敗が許されない世界で長く過ごした人がたくさんいます。
失敗すると殴られる家庭、
失敗すると馬鹿にされる学校、
失敗すると怒鳴り散らされる職場、
過酷な環境で過ごした人とたくさん出会いました。
だから、僕たちは、
・安心して失敗できる
・失敗しても安心して帰ってこれる
・安心して新しいことにチャレンジできる
ように、「関係性の構築」と「場づくり」に努めています。
自分が選択したことで、望んだ結果になったとき、状況が好転したとき、とても嬉しいし、大きな自信につながります。
すると、また新しいポジティブなチャレンジにつながります。
その時、その人たちの表情は、言葉は全く別のものになっています。
だから、今回のメンタリストDaiGoさんの謝罪動画の中での、
・謝罪
・直接学ぶ機会を作るために抱樸に行くこと
というものを否定も批判も非難もしたくないと思いました。
なんの根拠もない、経験の中での感覚なのですが、
「ホームレスを生み出さない社会」を目指すにあたり、誰もが安心して挑戦し、失敗できるような風土になったほうがいいと思っています。
なぜ、そう思うに至ったかと言いますと、
僕はおそらく業界の中では珍しいと思うのですが、
大阪市西成区釜ヶ崎(あいりん地区)で、
・こども、子育て
・若年層
・中年〜高齢者層
それぞれの年齢層でボランティア活動だけではなく、「仕事」としてガッツリと携わってきており、
その経験を通じて、そう思うようになりました。
内閣府令和元年版子供・若者白書の「日本の若者意識の現状~国際比較からみえてくるもの~」より、
今回の調査により、日本の若者は諸外国の若者と比べて、自分自身に満足していたり自分には長所があると思ったりするなど、自身を肯定的に捉えている若者の割合が低い傾向にあり、こうした自己肯定感の低さには自分が役に立たないと感じる自己有用感の低さが関わっている点に、諸外国の若者にはみられない日本の若者の独自性がみられる
と、まとめられており、
いくつかのデータを紹介すると(詳細はコチラを見てください)、
諸外国と比べ、自尊心、自己肯定感などに関する項目がとても低い傾向。
現場での当事者の方との関わりの中で、
ホームレス状態や困窮状態に至る背景に、上記のような項目も大きく影響していると感じます。
この点をもう少し詳しく書こうと思ったのですが、
もう、すでに予想の数倍の長さに膨れ上がってしまったので、今回はここで終わらせていただきます。
(きっと、ここでは終わらない。続く。)