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横浜DeNAベイスターズ

 今年の4月に、「横浜大洋ホエールズ」という題名で、大洋ファンだった少年時代〜今のDeNAまでについての記事を書いた。内容は、あんなにも弱かった大洋ホエールズが、いまや人気球団になって感慨深いと言ったようなしょうもない話である。

 そしてあれから約半年。まさか、そのベイスターズが日本一になる未来が待っているとは。。

 いや、これは本当にうれしかった。滅多にないことだからと優勝特集の冊子も色々買ったし、YouTubeなどに上がっている関連の動画なんかもいまだに全然見まくっている。
 シーズン中は、なんか「自分が見ると負けるんじゃないか(特にベイスターズファンにこういう人多そう)」みたいなことまで考えてしまうのだが、今やそんなことを全く気にすることなく、思う存分心から噛み締めている。幸せなことである。

 正直、8月時点では完全に優勝戦線から脱落してしまっていたので、まぁまぁ相変わらず面白い試合はするけど、今年も例年通り優勝争いなどとは縁がなく終わるかなと思っていた。というより、ベイスターズファンのほとんどは9月時点でもそう思っていたんじゃないかと思う。

 それがこんなシーズンの最後の最後に全ての主役をかっさらっていくことになるとは、全く思いもしなかった。

 なんといっても、ストーリーとしての主人公感がすごい。なんというか、もうCSから日本シリーズにかけては、「キャプテン」とか「第三野球部」見てるみたいな気持ちになっていた。名門青葉学院に傷だらけで挑む弱小チームが頂点を掴む話である。

 だって、ベイスターズはただでさえ主力が怪我人続きで、それもよりによってエースと正捕手と主砲が離脱していたのだ。
 それでも残されたメンバーが力を合わせてCSを突破する。阪神戦も巨人戦も総力戦で、どれも内容の締まった名試合。最後の最後でキャプテン牧がエース菅野を打って勝負を決める。
 日本シリーズは強大な青葉学院ことソフトバンクに手も足も出ない。それでも無理を押して戻ってきたエース東が流れを変える。おかしい。こんなはずはない。そう思っている間に怒涛のように墨谷二中ことベイスターズが連勝していく。
 シーズンでなかなか出番がなかったが、決して努力を怠らなかったベテラン桑原・戸柱がこの局面で活躍しチームを引っ張る。若手の森・梶原が躍動する。他球団から戦力外やトレード・現役ドラフトでやってきた中川颯・佐々木千隼・森原が本来の輝きを取り戻す。
 最終決戦では相手を完全に圧倒。メジャーから帰ってきた筒香がこの大一番で大活躍して勝負を決める。

 いや、もう全ての登場人物にドラマがあり、みんなちゃんと見せ場で活躍していて、王道の野球漫画展開そのものである。ソフトバンクには以前日本シリーズで敗れていて、ついにその雪辱を果たすというのもまた感慨深い。

 オールドファンからすると、三浦監督はじめ、石井琢朗コーチ、鈴木尚典コーチ、田代コーチなど、かつてのベイスターズメンバーが首脳陣となって歓喜の輪に加わっているのも感無量である。そう、この目線からだと二世代物語として見ることもできるのだ。

 石井琢朗コーチがビールかけの壇上での、「CS・シリーズMVPの戸柱・桑原は出番がなくてもくさることなく準備を怠らなかった。野球の神様は見ている。(若手四人を名指しし)お前らが越えなきゃならん壁は高いぞ!」のセリフも泣ける。もう、クライマックス決戦後、完全にこの先は主役が次世代に展開していく漫画の世界の話そのものである。

 ベイスターズファンならみんなが大好きな三浦監督も、南波オーナーも、とにかく今はみんなから全方位評価され褒められていて、これもファンとしてこんなに嬉しいことはない。

 これほど綺麗に勝利すると、「3位で優勝した」ことに対する嫌味の声もいつもよりは少ないような気もしている。というか、なんとなく「3位で優勝なんて云々」って今さらいうのがダサい、という風潮も蔓延しているようで何よりである。
 そもそもだが、この手の話で一番腹立つのが、「だから横浜なんて強くない」「真の王者じゃない」というように、横浜とか選手が悪いみたいにいう風潮だ。選手はただただルールに則って買っただけなので、制度に不満があるのはともかく、選手や横浜を落とす必要はないわけである。


 ちなみに、横浜の街はご存知のように優勝パレードにも30万人が集まったし、例年にないほど盛り上がっている。毎日横浜スタジアムのグッズショップには記念グッズの行列もできている。
 そのせいか、先に書いた「週刊ベースボールやナンバーなどの優勝記念特別冊子」が横浜の書店の店頭で全然買えない、という事態が発生した。
 自分も全然買えなかったのだが、その時期に、前に書いたように福岡・長崎への演奏旅行があった。ふと思い立って、福岡で書店に行ってみたら、あれだけ品薄だったベイスターズ優勝特集号が普通に売っていた。そうである。ここでそんなの買う人いるわけないじゃないか。今日本で一番ベイスターズグッズが手に入りやすい街はここだったのだ。
 自分は冊子を隠すようにレジに持って行った。周りの目が気になる。刺されるんじゃないかと思った。
(いまはそんなことはなく、横浜の有隣堂で普通に特集号買えます)

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