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フランス南西部の街(2)Les Baux-de-Provence(レ・ボー・ド・プロヴァンス)

レ・ボー・ド・プロヴァンスとは、フランス南西部にある古い城塞都市の遺跡のあるところです。
いやぁ、ここはずっと行ってみたかったところでした。
いつだか忘れましたが、フィガロジャポンの南仏特集でその写真を見たことがり、それがとても魅力的で、ぜひ一度訪れてみたいと思っていたんですよね。

そして、何度目かの渡仏の際に、念願かなってようやく行くことができました。
行ってみたら写真で見るのとは全く違いました。
実際のレ・ボー・ド・プロヴァンスは、思っていたよりもはるかに素晴らしかったです。

なんといっても、その圧倒的なスケール感を持って迫ってくるカマルグ平原のド迫力です。
これはどういうことかというと、レ・ボー・ド・プロヴァンスは、ずっと平原だったところにいきなり切り立った崖の岩山がそびえている、といった様相なので、とにかく見晴らしがいいわけですね。

しかし、これは写真で「なんとなく景色のいいとこそうだな」くらいに思っていた印象を全く凌駕しています。
なんというか、これは見たことない「平原の偉容」です。
これはこの地方の地形、白い岩と緑のコントラスト、フランス南部の風景の美しさ、そしてそのいきなりの高度差、このあたりが重なってこれほどの存在感になるのでしょうか。

横を見れば、そのままアルピーユの山々がそびえているのが見えますが、この屹立感もスケール感の大きさに拍車をかけているように見えます。

その平原からの風をダイレクトに受けつつ、背後には廃墟となった城砦。そして自分のいる足がそのままつながっている白い断崖のアルピーユ。

歴史と、自然の偉容と、人々のドラマと、美しさと、こういったものを身体全体で感じることのできる、そういう場所はなかなかないんじゃないかと思います。

いまでは廃墟となった城砦ですが、かつてはここに4000人が暮らし、この付近一帯を治めていたといいます。
なにしろ、世が世なら、ここから見える景色全部オレの領地!みたいな感じだったでしょうからね。
そう考えるとまた景色も違って見えるというものです。
(ちなみに、城砦の窓から景色を見るとこんな感じです)


レ・ボー・ド・プロヴァンスの村


なお、レ・ボー・ド・プロヴァンスの村というのは今もあって、ちゃんと人々が暮らしています。
といっても今の人口は100人そこそこだそうです。
城砦の上から見た村の全景はこんな感じです。

ね、なんかいかにもすてきそうな感じでしょう?
中にはいると実際すごくすてきなんです。
レ・ボー・ド・プロヴァンスに着くと、まずこの村を通って行くことになります。
こんないかにもな雰囲気です。

村自体非常にかわいくて美しいですし、お店もどれもとてもキレイです。とっても女性誌好みな感じです(いい意味で言っています)。

人口100人といいましたが、ここはもうほとんどがおみやげ屋さんとレストラン、カフェ、ギャラリーですね。
同じ中世の村でも、例えばビル・フランシュ・ド・コンフランとか、カステルヌーといった古い村は、まだパン屋だの郵便局だの、実際に人々が生活している匂いを漂わせる店があるのですが、ここではそういったお店は見かけません。完全観光立国という感じです。
その分、おみやげ物屋の品揃えもいいと思いますし、もの自体も質がいいと思います。「こういうのほしい!」というものがだいたいあります。店の人もみんな感じいいです。
ただ、ちょっと高いですけど・・・。カフェにちょっと4-5人で入っただけで2-30ユーロくらいとられます(笑)。
あまりにも美しすぎて、まるでテーマパークのような小村です。

おみやげ屋さんの店先にねこがいました。
レストランの窓から見た村の景色です


レ・ボー・ド・プロヴァンスの城砦


この村を通り抜けて、一番奥まで行くと関所のようになっていて、ここでお金を払いますと、城砦を見学できます。たしか7ユーロくらいだったでしょうか。ちょっと高い気もしますが、損はしないと思いますので、ここまできたらぜひ中に入りましょう。

関所の図

関所を通ると一気に視界が開け、素晴らしい景色が広がってきます。
墓場、病院跡の史跡などを通り抜けると、テラス状にだだっぴろく広がった高台に出ます。

この三つある棒みたいなのは何かというと、昔の投石機です。
で、下の左の写真は人だかりができていますね。これは、インストラクター風な方が、身振り手振りの解説をつけながら、実際に投石機を動かすデモンストレーションをしているんです。
見ている人に実際に参加してもらったりしながら、笑いも交えて楽しく見ることができます。日本語ではないので詳しくはわかりませんが会場大爆笑でした。これは時間を区切ってやっているみたいですね。関所のところで何時にやっているかを見ることができます。
ちなみに、投げるのは本物の石ではなくてビーチボールみたいなのです。
でも実際に動くと相当ダイナミックです。

この投石機の置いてある広場を抜けて突端まで行くと、冒頭の写真のような眺望が一気に目に飛び込んできます。
せっかくなので、別アングルの写真を・・・。

風車小屋もあります。中にも入れます。なにもないですけど。


さて、振り返ってみると城砦が見えます。こちらに向かってみましょう。

カタロニアの旗ですね
これはなんでしょう?戦車?


ちょっと戻る方向に向かって丘を登っていくと、かつて城砦だった岩山の遺跡があります。
ある意味ここがメインなので、じっくり見たいところです。

間近で見ると存在感を持って見上げるように大きいです。確かに、ここで人が生活していたんだという息吹を感じますね。11世紀とかですから、千年前ですか。すごいものです。
給仕所あとだの住居跡だのといったものを見学しつつ、ここはやはり城砦のてっぺんまで登ってみます。

※この時、子連れで行ったのですが、ダッコひもから二歳児が何度もずり落ちそうになり、あせりました。

城砦の上から見た眺めです。

これは一番最初の写真と同じです。
村の全景も含めた平原方面です。
反対側の方を見た景色です。もはや、なんだか登山に近い感じしませんか? なお、レ・ボー・ド・プロヴァンスのこちらがわは谷になっていて、地獄谷と呼ばれているそうです。 美しい谷ですが・・・。
城砦を登る途中。すごい高さ感です。
このぽこぽこした穴はなんでしょう。なんと、鳩を飼育していた穴なんだそうです。
こんな風に、適宜イラストを交えて昔はこうだったんだ風なことを説明してくれています。

城砦を一周すると、また村に戻ります。
村には、教会もあります。
サン・ヴァンサン教会といいまして、それなりに大きな教会です。

この教会はクリスマスイブの深夜にプロヴァンス中の羊飼いが集まる「羊飼いのミサ」が行われることで有名だそうです。
この教会の向こう側はテラスになっていて、谷方面へ眺望が開けています。
ここもいい景色で、みんな写真撮っています。

テラスから見下ろしたところ


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レ・ボー・ド・プロヴァンスは、車があれば行くのは簡単です。
アルルからサン・レミ・ド・プロヴァンス方面へ、フォンビエイユの街を抜けてひたすらまっすぐ行けばわりとすぐ着きます。
(実際、ぼくらも途中でわからなくなり、ご婦人に道を聞いたらただひたすらまっすぐだと教えられ、その通りでした)

ただし、車がないとやや不便なところにありますね・・・。アルルやアビニョンからバスがあるようなんですが、7,8月しかやってないとか、ガイドブックによって記述もまちまちでよくわかりません。
季節が良ければ自転車という手もあります(実際そういう人多いです)。でも、なにしろ結構山なので、それなりに根性がいります。
個人ツアーを申し込んでアレンジするのが手っ取り早いかもしれませんね。
なお、日本からの団体ツアーだとだいたいコースに組み込まれているみたいです。

ぐるりと回ってみて結構半日つぶせるくらい盛りだくさんですし、ゆっくり滞在してもおもしろいと思います。
周囲にはホテルもあるようですので、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
これはぜひおすすめです!

※たしか、城砦では日本語のオーディオ・ガイドを貸し出してくれてました。

※この文章は2009年に書かれたものをリライトしたもので、現在では状況が違っている場合があります。ご了承ください。でも多分たいして変わっていないと思います。

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