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1.はじまりの石牆(せきしょう)

なんでもはじまりはあるもので、
中村家住宅は石牆(せきしょう:石垣でできた塀)を見るところから始まる。

中村家は代々農家の家柄にもかかわらず、立派な石牆がある。

というのも、
中村家住宅は300年前の琉球国王の時代に建てられたという伝承があり、
身分によって建築制限のあった当時の百姓には許されないはずの石牆があるのは謎だ。

中村家住宅の石牆はとてもユニークである。

一般的に石積みは1つのパターンで積まれることが多い。
沖縄で有名なものに野面積み、布積み、相方積みの3種類があり、中城城跡はすべての石積みを見ることができる。
しかし、時代ごとに積み方が変わるだけで、パターンは1つのパターンで積まれる。

石畳で有名な那覇市首里金城町に行けば、辛うじて戦禍を免れた石牆を見ることができるが、
さまざまなパターンで築かれた石垣は修復されたようなものしか見かけない。

中村家住宅も修復されたことはあるとはいえ、
パターン化できない独創的な石牆となっている。
簡単に言えば、布積みもあれば相方積みもあるし、どのパターンに当てはまらないものまである。

これが石工や中村家の遊び心と捉えるか、
素人の百姓たちの見様見真似の手仕事だったのかは分からないが、
石の加工技術からすれば百姓の道楽にしてはレベルが高すぎるような気もする。

この不思議な石牆はまだまだ見どころが多い。

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