10.納まりパターンと耐力-「フロッキン狭小壁」
フロッキン狭小壁は、納まりの種別、柱の長さによって許容せん断耐力が変わってくる壁で、三種類の納まりパターンがあります。
①中柱型標準納まり
上部梁がフロッキン狭小壁上部を横断通過している納まりパターンです。
②隅柱型標準納まり
上部梁の端部がフロッキン狭小壁の柱直上にあり出隅形状になっているパターンです。
③隅柱型直交梁勝ち納まり、又は通し柱納まり
出隅型直交梁勝ち納まりは、出隅型標準納まりをベースにフロッキン狭小壁柱直上の直交梁が勝って、フロッキン狭小壁直上の梁が負けているパターンです。通し柱納まりは、フロッキン狭小壁の柱が通し柱になっている納まりパターンです。
直交梁勝ちと通し柱パターンの2つは同じ耐力での運用となっています。
この3種類の納まりに適合する様に、フロッキン狭小壁の配置及び、周辺の梁組を設計して頂ければと思います。
なお、柱の長さによって耐力が変わります。
下の表より納まりを選び、柱の長さの該当欄から耐力を設定してください。
壁倍率換算した参考壁倍率も表記します。
フロッキン狭小壁は大臣認定壁ではないので、壁の許容せん断耐力の評価を受けていますが壁倍率の認定は受けておりません。あくまで壁倍率換算をした数値を表記しており、カタログ等にも7倍「相当」という表記をしています。
※壁耐力の割り増しについて
柱頭柱脚金物の引抜力算定時の元となる壁耐力の割増しについてご説明します。フロッキン狭小壁は、構造計算で使う許容せん断耐力に対して、最大荷重が2.8倍程度と終局時の耐力がかなり高くなります。ちなみに一般の耐力壁は1.8倍程度です。そのため引抜力算定時の壁耐力を割り増しする形になります。
また、フロッキン狭小壁の柱径が105角よりも大きくなる場合、更に引抜力算定時の壁耐力を割増しする形になります。これは柱径が太くなると柱の回転剛性が向上し、更にフロッキン狭小壁の実際の耐力上昇が考えられるためです。
例えば、中柱型 で柱長さ2500mm 柱105角の場合の読み方を説明します。
まず、①中柱納まりの欄を、そして右側の柱長さで2500mmに該当する欄を見ます。許容応力度計算で使う壁耐力は 4.81kN、換算壁倍率7倍、引抜力算定で使う換算壁倍率は8.1倍という読み方になります。
壁のせん断剛性はPa(壁の短期許容せん断耐力)×120/H(壁高)で評価を受けています。試験において、特定変形角 1/120rad時の耐力で短期許容せん断耐力が決まっており初期剛性が低い壁となっているためです。木ずり壁や土壁など比較的、柔らかく初期剛性の低い壁と同じ剛性評価となっています。
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