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クリスの物語Ⅳ #39 地下遺跡
あまり人数が多すぎても動きが取りづらいので、あらかじめ決めていた通りハーディとぼく、それにベベだけでアパートに向かった。
開錠の魔法で部屋の鍵を開け、中に入った。
こんなこともあろうかとピューネスは車に積んであったので、ぼくたちは車の中ですでに着替えていた。
部屋に入ると、タバコとカビの匂いが鼻をついた。
リビングのテレビは点けっぱなしだった。
タバコの空き箱やスナック菓子のごみ袋が散らばった汚い部屋の中にあって、テレビ台に乗ったその液晶テレビだけはやけに新しい感じがした。
テレビにはゲーム機がつながれ、ゲームソフトが床に散乱している。
ベベの後に続いてリビングを抜け、ハーディが寝室のクローゼットの扉を開けた。床にある蓋を確認してハーディが振り返った。
ぼくがうなずき返すと、ハーディはしゃがんで音を立てないようにそっと蓋を開けた。それから頭を突っ込んで、中の様子を確認した。
『ここからじゃやっぱりわからないね。中へ入ってみよう』
ハーディはそういって、先に梯子を下り始めた。
そのすぐ後に入ったベベは、ふわりと飛びながらハーディを追い抜かして下へと降りていった。
ぼくは車の中で待機しているみんなに、今から地下へ潜入すると報告してから後に続いた。
梯子を下りながら、そっと蓋を閉めた。
蓋を閉めると、真っ暗闇に包まれた。
「ルーメパルス」
小さな声でカンターメルを唱え、ハーディが指先に明かりを灯した。
それから「セキ」と唱えると、その光の玉がふわふわと頭上に浮かび上がって辺りを照らした。
そこは、石でできた小さな空間だった。
その空間の隅には、さらに下へ下りる梯子があった。
下の様子をうかがってから、ぼくたちはまた下へと下りた。
ハーディが出現させた光の玉は、周囲を照らしながら従順なペットのようにぼくたちの後に付き従った。
二つ目の梯子を下り立ったところは、トンネルのような狭い空間が先に続いていた。
人がひとりやっと通れるくらいの狭いトンネルで、天井は背の高い人だったら頭をぶつけてしまいそうなほどの高さしかない。
ベベがくんくん匂いを嗅ぎながら、先頭に立ってそのトンネルを進んだ。20mほど進むと、開けた通りに出た。
ん?通り・・・?
なんでこんなところに、通りがあるのだろう?
『地下遺跡だ』
辺りを見回して、ハーディがいった。
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