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クリスの物語Ⅳ #47 決行は、夜10時
その後、ぼくたちは具体的な作戦を立てた。
本拠地があると考えられる教会にも、地下への入り口はきっとあるだろう。
しかし、闇の勢力はそこから出入りしている可能性が高いから警備がきついはずだ。
また、他にも地下遺跡への入り口はあるかもしれない。しかしやはり、すでにわかっているアパートの地下から向かうのが無難という結論に至った。
ホロロムルスは通じないから、全員一緒に行動する。
そして、本拠地周辺まで近づけば警備は厳しくなるだろうけど、クリスタルエレメントが確認できる前に戦うようなことは極力避ける。
あまり目立ったことをして、潜入したことを勘づかれたら、クリスタルエレメントをどこかへ移動されてしまうかもしれないし、総攻撃を食らう恐れがあるからだ。
だから、本拠地付近に至ったらハーディが暗闇の兜をかぶって姿を消し、単独で乗り込む。
そして、そこの警備状況などを把握した上でその後の作戦を決めることになった。
警備が手薄ですぐに乗り込めそうであればそうするが、難しければ一度戻ってまた作戦を練り直す。ざっとそんな感じだ。
決行は、今夜10時に決まった。
ずい分急ではあるけれど、さっきハーディが話していたように闇の勢力も早い段階で行動を起こしかねない。
時間を置けば置くほど、リスクが高まる。それに、場合によっては本拠地を移されてしまう可能性もある。
遅かれ早かれ乗り込むのであれば、できるだけ早い方が得策だという理由からだ。
出発までは、各自カンターメルをおさらいしておくようにとハーディが指示した。
地下遺跡はホロロムルスが機能しないから、カンターメルの参照ができないし、いざというときにすぐに使えるようにするためだ。
幸い、自分たちの属性に関するカンターメルはある程度養生校で覚えていた。
それに細々とした魔法はハーディが使いこなせるというから、防御や攻撃に関してのカンターメルを重点的に覚えることにした。
治癒魔法だけはなぜか特性が大いに関係するらしく、沙奈ちゃんにしか使えなかった。だから、もしダメージを負ってしまった場合には、沙奈ちゃんだけが頼みの綱だった。
午後5時を回った頃、今日の任務は深夜にまで及ぶかもしれないから夕飯まで昼寝をしておくといい、とハーディが助言した。
そんなこといっても緊張で眠れないと沙奈ちゃんが愚痴をこぼすと、ハーディがぼくたちに眠りの魔法をかけてくれた。
おかげで、2時間ほどぐっすり眠れた。
起きてから、シャワーを浴びて夕飯を取り、出発の時間までリビングで思い思いに過ごした。
桜井さんは、終始カンターメルをおさらいしていた。沙奈ちゃんもそうしてはいたけど、そわそわと集中できていない様子だった。
ぼくはベベに、なるべくぼくから離れずとにかく勝手な行動はしないようにと念を押しておいた。
風光都市でスタンに斬りつけられたこともあり、本当は置いていこうと思っていた。でも、どうしてもベベは行くというし、桜井さんもエンダを連れていくというので連れていくことにしたのだった。
そんなことをしている内に、あっという間に出発の時間はやってきた。
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