理学療法  ~どんな仕事?~

 こんにちは、大地です。理学療法士を楽しんでいますか?理学療法の仕事に関してどのようなイメージをもって働いているでしょうか?

 職場やインターネット上では理学療法の仕事に関して様々な意見を聞きます。「やりがいがある」「必要不可欠」という良い内容のものから「待遇が悪い」「給料が安い」など悪い内容のものまで様々です。本日は私が感じている「理学療法の特徴」についてお話します。

特徴

~対人の仕事~

 理学療法は言うまでもなく人を相手にする仕事です。特徴としては1対1で関わる、報酬は時間単価(最短20分)が挙げられると思います。私の所属する病院では1回のリハビリで一人の患者さんと1時間程度関わります。同じ医療職でも医師や看護師は患者さんとこんなに長い時間を共有することは少ないです。

 長い時間を共有すると、理学療法の知識・技術だけでは成立しにくくなります。理学療法を成立させるため、より効果的にするために人としてのコミュニケーションが大切になるのです。患者さんの中には優しい方も怒りやすい方も、素直な方も頑固な方も、裕福な方もそうでない方もいます。本当に様々な方と関わる機会があるので社会勉強にもなります。

「1対1で比較的長い時間を共有する」ことが理学療法士の一番の特徴といえるかもしれません。これをメリットと捉えるかデメリットと捉えるかで仕事に対するイメージが変わりそうですね。

~報酬~

 給与は決して高くはありませんが特別低い訳ではありません。この背景には①厚生労働省が定めている診療報酬制度によって時間あたりの報酬額が決まっている②一日に請求できる単位数(時間)の上限が決まっている③社会の需要に対して理学療法士の供給量が過剰である、などがあります。

 一方で、国の制度には守られているという側面もあります。①資格を取ることで信用を得られる②医療・介護保険を適応されていることで対象者が利用しやすい③時間当たりの報酬が保証されている、などです。これらにより(雇用されている時点でそうですが)、宣伝・集客・マネタイズの仕組み作りなど運営・経営に費やす時間が少なくて済みます。臨床現場での仕事や勉強などに時間・気持ちをすべて向けられるのは捉え方によってはメリットになり得ます。

給料に対しては不満の声を聴くことも多いですがその背景を理解したり、逆に優遇されている面にも目を向ける必要があると思います。

 

お金以外の面では人の役に立っていることを間近で体験・実感できる点も重要です。お金を貰っているにも関わらず「ありがとう」と感謝の言葉もいただける仕事は珍しいと思います。

報酬は必ずしもお金だけではありません。人の役に立っているという実感や感謝の言葉なども一つの報酬といえるでしょう。

~専門性~

 理学療法士はその「運動」の専門家になり得るスキルをもっています。運動を指導する際に必要な筋・骨格系の解剖知識、姿勢や動作の分析技術などはDr.にも負けないと思います。複数のDr.から「医者は手術で部分的な治療はできても運動療法のように全身的にアプローチはできない。その分野でリハビリには期待している」と嬉しい言葉をかけてもらったことがあります。 

「運動が悪い」という報告はほとんど聞いたことがありません。「運動」は寿命を延ばす、生活習慣病の予防に役立つ、認知症を予防する、良質な睡眠を促通するなど良い報告が多くされています。運動に対する世の中の期待は大きいと思います。

 理学療法は「運動」を通して世のため人のために活躍できる仕事だと思います。「理学療法士」として働く以上、専門性は何か?など強みについてそれぞれが意識できるよ良いと思います。


~医療職としての理学療法~

 医療は様々な職種の方とのチーム作業で成り立っています。そもそも理学療法は「医師の指示」が無いと行えません。チームとして医療を進めていくうえでは”職域の理解”や”チームの一員としての立ち位置”を意識する必要があります。

 チーム医療を進める際、理学療法士の立場が強くないと感じることがあります。(これは主観ですが他の方も同様なことを思うことありませんでしたか?)制度上決められている職域や実際の現場で感じる力関係?は背景をみると少しは理解できるかもしれません。

 理学療法に関する法律は1965年に制定され翌1966年に初めて国家試験が行われました。医師の国家試験は1948年(現在の医師法に基づくもの。医師の免許制度は1876年から存在)看護師の国家試験は1948年から行われています。全体の人数としては(平成30年のデータ)医師32万人、看護師160万人、理学療法士12万人、国会議員(衆議院・参議院含む)医師22人、看護師6人、理学療法士1人となっています。

 医療・介護制度は厚生労働省により定められているため、制度上で優遇されるためには政治力が必要になります。社会的な発言力・影響力を持つためには実績(時間)と人数が必要になります。その分野において理学療法士はまだ強くないといえます。

これらの背景は決して個人の能力に優劣をつけるものではありません。しかし、「理学療法士」として働くうえでは知っておいても損はないと思います。働きやすさを高めるためには職業団体としての力が結局は必要になります。

まとめ

今回は理学療法の仕事全体に関して私的な意見を述べました。偏りがあるとは思いますが皆さんが仕事を考えるときの参考になればと思います。