ECOFF台湾 視察報告(2)都会の中の農村? 樹合苑にびっくり
土庫のカカオ農園の視察の後は、夕方から台中に戻って楊さんの講演会に参加しました。
楊さんは、食べる通信を立ち上げた高橋博之さんの本を読んで感動し、台湾でも食べる通信をやりたい! との一心で行動。日本語の読み書きもできないのに20通以上ものメールを日本に送り、自腹で高橋博之さんを台湾に招いた熱血主婦です。
食べる通信と出会う前までは普通のサラリーパーソンだった楊さんですが、今では台湾の地方創生界隈では知らない人はいない存在となりました。
そんな楊さんが食べる通信と出会って変化した自身の物語を聞くと、4年経過してもなお熱い血をたぎらせていることを改めて知り、自分も初心に戻ってECOFF台湾を成功させたいと思わされました。
しかし実は今回ご報告したいのは楊さんのストーリーだけではありません。
もう1つ紹介したいこと、それはこのイベントが開催された「樹合苑」という施設についてです。
樹合苑は、例えて言うならば台中市の市街地にある農村です。
遠くから見ると円筒状の大きなトタン屋根で出来た倉庫のようですが、一歩中に入るとまるで農村にワープしたかのような世界が広がっているのです。
まず最初に驚かされるのは、仕切りのない体育館ほどの広さの空間、そして4階建てくらいの高さの天井です。
円筒状のトタン屋根の真ん中には屋根がなく、その代わりにタープが張られていました。
このような構造にすることで熱くて軽い空気を室外に排出させ、真夏でも湿度を低く保っているのだと言います。
地上部分の一部は低くなっておりイベントスペースとなっているのですが、ここで衝撃の事実が発覚。
この施設、元々はエビ釣り場だったのです。
エビ釣り場とは、台湾では割とポピュラーな釣り堀のことで、釣ったエビをその場で調理して食べることができる施設です。面白そうですがやったことはありません。
お分かりでしょうか? 他の地面より低くなっているイベントスペースは、かつてエビが泳いでいた釣り堀だったというわけ。
樹合苑内はその釣り堀もといイベントスペースを中心に、発酵食品を作るために管理された部屋、水が不要なバイオトイレ、コワーキングスペース、さらにはバナナ畑や養鶏場までもがあります。
…と思ったら、なんと2階にもスペースがあり、そこには隠れ家的カフェバーがあるではありませんか。
不要になった施設をリノベーションしたものと言えば、廃校などがすぐに思い浮かびますが、さすがに釣り堀をリノベーションしたものは初めてでした。
また、広い天井を生かして屋根の下に小さな農村を再現し、釣り堀跡も活用するというアイデアも無駄がなく素晴らしいですし、パーマカルチャー(永続的農法)やパッシブハウス(冷房の要らない仕組みや雨水を再利用している点)などの概念をここまで完璧に再現しているのは他ではなかなかお目にかかれないに違いありません。
ぼく自身、オーストラリアやカナダのオーガニックファームでボランティアをした経験があり、オフグリッドや電気すらないのにも快適に過ごせるファームでそれぞれ1ヶ月ほど過ごしたことがありますが、樹合苑はそれらに匹敵するか超えるものだと感じました。
オーナーの陳孟凱さんは、この施設をECOFFで活用できないかと思って招待してくれたとのこと。
地理的に台湾の中心に位置する台中市の中にある農村、樹合苑。ECOFFの活動に参加する前の研修や、参加後に都会でも少しでも農を感じられるライフスタイルを学ぶための場所にできればと思います。
そこまで行くにはどれくらいの時間がかかるかは分かりませんが…、ぜひ連携してみたいです。
次回は、台湾に残された日本軍が建設した軍村の中でも珍しい農村タイプの軍村跡をご紹介します。
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