新しい打ち上げ様式
昨日、久しぶりに歌うお仕事をさせていただきました。いつぶりでしょう。世に出たもので言えば3/10のBS朝日の収録以来、世に出なかったもの(アーカイブはyoutubeに残っています)で言えば新国立劇場での最後の稽古以来なので、3/25かな。2ヶ月を超える期間、わたくしはミュート状態でした。
オーディエンスをお迎えする公演は現時点で5ヶ月分のキャンセルが決まり、今動き始めているのは、少人数で、予防を万全にして行われる収録のお話です。パフォーマンスのために新しい楽曲を集中して準備するのは本当に久々だったので、ミュートな体と頭を元に戻すのは大変だったけれど、やっぱり音楽は生身でやりたいなと、自分なりのポリシーを改めて確認できた日でした。
めでたく楽しく安全に収録がおわり、マネージャーと帰るわけですけれど、これまでなら帰りがけにどこかで一杯か二杯飲んで打ち上げていたわけです。
ところが今はそういうわけにもいかないので、飲みに誘うこともなく健康を祈って別れ、かつ大きな駅をできる限り避けるルートで移動したのですが、やっぱり演奏で高揚した気持ちが打ち上がらないし、アドレナリンがおさまらない。しかしお店に飛び込んだとしてもたぶんいろいろ気になって楽しめない。大体、お腹がすごく減っている。
結局、最寄りのコンビニでおつまみを買ってステイホーム打ち上げをしました。アマゾンプライムでドラマを見ながら。コスト的には抜群です。お店に入って使う金額の数分の一で打ち上げることができます。数ヶ月分の仕事を失っている身としても、冷静な選択です。
しかしそれをやりながら、一緒に音楽を作った仲間と、それまでのプロセスと本番を労いながら囲む料理とかお酒とかは、なかなか戻ってこないのかな、とちょっと寂しく考えました。
「打ち上げまでが仕事」という考え方もこれまではあり、食事を一緒にしながら次の夢を膨らませたり、実際に新しい話に発展していったりもしたものでした。音楽は人間同士でやることだから、みんなが楽しい気持ちでできるのに越したことはなく、打ち上げはその潤滑油でもありました。
でもこの期間を経て、ありがたくも個人的営業再開の機会をいただけて、新しいなんとか様式に全部合わせて頑張るから、他の多くのことは諦めるから、演奏は続けたい。音楽はやりたい。そう思った新しい打ち上げでした。
ところでコンビニのおつまみって最近本当に美味しいんですね。