【読書メモ】エンジニアリング組織論への招待

目的

「不確実性に向き合う」という原則から、エンジニアリング問題の解決方法を体系的に捉えるため

エンジニアリングを取り巻く環境の問題

- なぜ、いつまでも堂々巡りの議論をしてしまうのか
- なぜ、上司と部下のコミュニケーションは失敗するのか
- なぜ、イケてるはずのアジャイルやリーンがうまくいかないのか
- なぜ、プロジェクトは炎上し、スケジュール通りに終わらないのか
- なぜ、技術的負債が問題となるのか、その正体はなんなのか
- なぜ、経営者とエンジニアの認識が食い違うのか

根源は分からない事に対する不安
問題は「人」ではなく「構造」
不確実性をどう扱うか知ることができれば、「不安」は「競争力」に変わり、不確実性を力に変える

「怒り」を「悲しみ」として伝える

- 「怒り」の感情は、攻撃と防御、逃避をするために、頭をフル回転させる。
- 相手も同じく「恐怖」を感じ、怒りのトリガーを引いてしまうケース多い。このため、怒りの感情が連鎖的に広がり健全で論理的な問題解決ができない
- 他人のアイデンティティを意図して攻撃するといったシチュエーションは、よっぽどの悪感情をすでに抱いている場合を除いて基本的にはない。
- 多くの場合、相手の大事にしている部分だと気がつかずに、あるいは全く知らずに、ぞんざいな扱いをしてしまうというミスからはじまる
- 相手が「大事にしていることは何か」に気がつかないから
- 「自分にとって大事な発言をぞんざいに扱われたようで悲しい」と伝える方が良い
- 「怒り」に変わる感情の、その原初的な思いは、傷つけられたことによる「悲しみ」であることを知る

能力は習慣の積分、習慣は行動の積分

- 他人のアウトプットを直接的にはコントロールできない
- 「行動」や「習慣」は外からでもメンタリングの方法論を用いて成長を促せる
- 人の成長は行動・習慣・能力・成果の4つの事柄のループ

継続的な行動にはどのような力学が働いているか理解する必要がある

- ある行動が取れないときは、行動を「促進する力」よりも「阻害する力」のほうが大きいと考える
- メンタリングの様々な活動を通じて、行動を促進する力を増やしたり、行動を阻害する要因を減らしたりすることを「リインフォース(再強化)」という
- 行動変化のためには、「行動を促進する要因」はフィードバック機会を増やし、適切に承認していくことで強化し、「行動を抑制する要因」は、環境や構造を変えるための行動に変換して、その行動を促していく
- 定期的なフィードバックの場で、望ましい行動をとることができなかった場合に、「高圧的にプレッシャーをかける」ようなサポートは、逆効果になることも多々ある
- 本人の「意志」によって、行動変化をしようとしているにもかかわらず、それができなかったことは、本人が最もよくわかっているから、分かっていない事を言う
- 望ましい行動をとれなかったとき、あるいは望ましくない行動をとったとき、何か別の行動を阻害する要因が現れたはずだと考える。そして、その原因について深く話を聞いて、共感する
- どのようにしてその要因を取り除いていけば、リインフォースされるのかを話し合っていくことで、より建設的で実感のこもった解決策になる

非論理的にできない=論理的に考える

- 論理的に考えるには、「非論理的に考えてしまう」瞬間を知ることが重要

 - 論理的思考能力というのは、「感情的になる瞬間を知り、その影響を少なくできる」能力でもある


問題解決より問題認知の方が難しい

-人は自分が間違っているかもしれないことを無意識に避けてしまい、正しい情報を認知できない。

-「自分は間違っているかもしれないが、それに早く気付くほうがよい」と思考のパターンを変える必要

分からないことを行動で突き止める

- 経験主義的な発想でことに臨めば、「わからなかった」あるいは「正解ではなかった」ということが重大なヒントになり、次の行動を生み出す。

- より問題をはっきりさせるためにはどのような「次の一手」を打てばよいのか考えるのであれば、思い悩むことが少なくなる。

- なぜなら、「今わからないということ自体が、次の一手への重大なヒント」になる

感想

問題の解決方法について、広く細かく網羅されていて良かったな。

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