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カメラ道への入り口だった「ソビエトカメラ」

「ちょっと、これどう思う?」

そう言って古いカメラを差し出してきたのは、大学の学科で唯一の男子の同級生のオオノ君。カメラが好きで、いつもなにかしらのカメラを手にしているが、その時、僕の目の前に差し出されたカメラは初めて見るものだった。

「ん?これは日本のカメラ?」

「いや、ロシアのカメラなんだ。ん、作られた時代はソビエトか。でも元はドイツのライカってカメラのコピーカメラなんだ。ライカって知ってる?」

こんな会話からこれまで続いているカメラ道は始まった。彼の説明によると、高級なライカのカメラのコピーで、本物なら数十万だけど、外観はほぼ同じで、ソビエトのコピーならオークションで1万円前後だということだ。

2週間後には手にしていた。
とにかくカッコよさに惚れた。
写真が撮りたいわけじゃない、このカメラが欲しかったのだ。


買ったのはカバー写真の左のカメラ「ゾルキーS」である。
ゾルキー。
当時はその響きにソビエトっぽさを感じていた。

カバー写真の3つのカメラを説明すると、真ん中が「ゾルキーⅠ」右が「フェドⅡ」だ。
ゾルキーⅠはバルナックライカをそのままコピーしたような外観だが、ゾルキーⅣが完成形といわれている。所有はしていないが、徐々に形を変え、使い勝手、壊れにくさも向上したようだ。

外観が気に入って購入したのだが、やはりカメラが手元にあると、撮ってみようということになる。
それまでも父親に譲ってもらったカメラでたまに撮ってはいたが、この自分で初めて買ったカメラでは写真を撮る楽しさから違った。

最初に買ったゾルキーSは、しばらくして壊れてしまった。その後フェドⅡを購入し、これは京都旅行、結婚式の前撮り、新婚旅行にまで持って行ったカメラだ。

そして、やはり、バルナックライカの外観に魅かれ、最後にゾルキーⅠを購入した。

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大きさはコンデジを少し横に伸ばしたくらいの大きさだ。かなりコンパクトである。
さらに、このレンズは沈胴式のレンズで、筒の部分を縮めることができ、かなりコンパクトになる。

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しばらく僕の周りではソビエトカメラがブームになり、このコンパクトさから、みんな鞄に潜ませていた。おそらく、このときは日本中で流行っていたのだろう。新聞で記事を見かけたことがあったと思う。

もちろんレンズ交換はできるのだが、所有レンズは最初から付いていたこのレンズのみ。
50mmのf3.5のレンズ。
これしか知らないので、不便は感じなかった。
さらにf3.5のため、ボケを求めることもなく、フィルムもモノクロのみを使っていて、ただただ、光の面白さだけを追い求めていた。

もちろん、露出計などを使うこともなく、経験値で露出を決めていた。

モノクロのフィルムを中心に使っていたのは、なんとなくあの頃、昔のカメラに昔のフィルムを入れるのが、しっくりきたことと、同時期にオオノ君から見せてもらったモノクロ写真の非現実感に引き込まれたからだ。

思い返すと、デジタルに移行し、明るいズームレンズなどどんどん便利になったが、今、ここに戻ってきている。FUJIFILMのXシリーズだ。

外観はフィルムカメラっぽくて、かっこよく、絞り、シャッタースピードなどもアナログのダイヤルで操作できる。
もちろんつけているレンズも単焦点。

やはり趣味での写真は多少不便さがあったほうが楽しめるのか。
また道具としての美も求めてしまう。

3年ほどソビエトカメラでモノクロ写真を撮っていた。
3年たったとき、オオノ君と一緒に、写真展をやった。今考えても、どうしようもない、ただの自己満足の下手な写真。

これで一応満足し、仕事が忙しくなったのと同時に、3年ほど写真から離れてしまった。

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ん?noteにこのモノクロ写真貼り付けると、勝手に明るさが明るく補正されている……。