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9600形蒸気機関車 重見式給水加熱器試験について①
今回から複数回に分けて、昭和2年6月に鉄道省 名鉄局管内にて行われた9600形蒸気機関車を使用した重見式給水加熱器試験について書きたいと思います。
この昭和2年6月当時に鉄道省が重見式給水加熱器の試験を行った背景ですが、昭和2年7月に本省で行われる課長会議に「給水加熱器統一化」という議題があり、全国各地で様々な種類の給水加熱器の試験を行い地方局からの改造要望や保守面での意見を収集していたようです。
(実際、同時期に本省細管式給水加熱器の試験も東鉄局・門鉄局管内でおこなわれています。)
では実際の資料を見てみましょう。
この報告書を見ると、従来の加熱器(あくまで推測ですが、9900形で採用された角形給水加熱器、18900形や9600形でも採用・試験された本省丸形旧タイプ,住山式給水加熱器などと考えられます)の石炭節約率が3~20%に対し、名鉄局での重見式給水加熱器は4~8%とあまり良好ではありません。
元々重見式は加熱器細管内の水の流れが一方通行(後々の資料で一方通行で無いものが出てきますが)なので熱効率が悪かったという話はSL好きの方ならご存じかと思いますが、この報告書で数値として如実に現れています。
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ただ、技師からの報告にも「本機ノ構造ヨリ推察スルニイズレノ場合ニオイテモ確実ニ節約シ得エルモノト認メラレル」と書かれているように、重見式給水加熱器は、いくつかメリットもあったようです。
1.確実な石炭使用量の節約考えると重見式の石炭節約率は安定している。2.加熱器の取扱い・保守が容易
3.価格面では他の給水加熱器よりも有利。
上記のような利点が挙げられており、のちに誕生するC10形、C11形蒸気機関車のような小型機への採用に繋がった一因と考えられます。
初投稿&文章書くのが苦手なので、今回は以上です。
最後9600形の話から少し逸れてしまいましたが、今後も少しずつですが更新していきます。
第2回は名鉄局から本省工作局・運輸局に送付された重見式給水加熱器の詳細な成績書を掘り下げてみたいと思います。
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だい鉄