【百段階段_見学】足元から天井まで美しい、成長を続ける階段_東京都指定有形文化財
■美と階段
大五朗です。よろしくお願いいたします。
皆さま、「階段」と聞いて何を
思い浮かべますでしょうか?
大五朗にとっての階段は
ダイエットと向き合う上での”仇敵”!
決して避けては通れない、
良きライバルでございます。
そんな大五朗にとっては、
ダイエットマシーンと同じ扱いだった
「階段」ですが、その装飾の美しさから、
伝統的な美意識の最高到達点を示すものとされ、
2009年に東京都の有形文化財に
指定されたものがございます。
それこそが、【百段階段】
今回、大五朗も見学させて頂き、
その美しさから「階段」への敵対心が
段々と敬意へと変わっていきました。
階段だけに・・・。
(どうぞお許しください)
今回は見学を経ての大五朗の感想となります。
ご興味持たれましたら、
定期的に見学会が開かれてますので、
ぜひご自身の全身で感じてきてください。
■名建築「百段階段」秋の見学会
文化財「百段階段」は、
旧目黒雅叙園の3号館にあたり、
1935年に建てられたホテル雅叙園東京で
現存する唯一の木造建築となります。
食事を愉しみ、
晴れやかな宴が行われた7部屋を、
99段の長い階段廊下が繋いでいます。
階段で結ばれた各部屋はそれぞれ趣向が異なり、
各部屋の天井や欄間には、
当時屈指の著名な画家達が
創り上げた美の世界が描かています。
■ひとつの空間
まず、一番に感じたことは、
「階段」を見にいくとの捉え方は間違いで、
あくまで、「百段階段」という空間に
魅せられたということです。
”階段”というと、考えの浅い大五朗にとっては、
その「足元」だけに注目しておりましたが、
百段階段の美しさとは、ひとつの空間としての美しさにあります。
「終わりが見えない階段」「広すぎない通路幅」「時折見せる高窓」
「木製で統一された階段と天井」「天井に描かれた美しい絵画」
「暖かみがあり統一された色合い」
その全てがひとつの空間として、
完成しきっている。
それこそが誰しもが「美しい」と感じる理由だと確信いたしました。
そして、
この完璧な空間から繋がる7つの部屋は、
決して些細な枝葉のようなものではなく、
それぞれがまた完成されており、
またそれぞれが異なる美しさを備えた空間となっております。
「7」と聞いて、
皆さま何を思い浮かべますでしょうか?
”7人の侍”でしょうか、それとも”ドラゴンボール”でしょうか?
やはり「7」という数字には人をワクワクさせる力を持つのでしょうか?
7人の浪人や7つのボール、
一つひとつに物語があるように、
「百段階段」の各部屋に創った画家の名前が使われており、それぞれにその画家の思いと趣向が落とし込まれています。
■十畝の間
この部屋を手掛けた画家•荒木 十畝の名にちなみ名付けられた部屋となります。「百段階段」の中では最も広い部屋で、23面の四季の花鳥図や貝殻の光沢のある面を模様の形に切り、それをはめ込んで装飾する「螺鈿細工」など、十畝のこだわりが詰まった部屋となります。
十畝と書いて「じっぽ」と読むのですが、
つい、刃牙好きの私には「愚地独歩(どっぽ)」が頭に浮かんでしまい、螺鈿細工用の貝殻を形に合わせて手刀で切り刻み、十畝に渡す独歩が目の前に浮かんでくるような空間でした・・・。
決してふざけている訳ではなく、
いつかご自身の目で見ていただく皆さまのために、
あえて、このような表現にしておりますのでご了承ください。
あえて、です、あえて・・・。
■漁樵の間
部屋全体が彫刻で装飾されています。
「百段階段」の部屋の名前は、画家の名前としているものが多いですが、
この部屋は、床柱に彫られた中国の画題「漁樵問答」に由来しているようです。左の柱に漁師、右の柱に木こりの姿が彫られております。
正直なところ、
衝撃度でいえばこの部屋が一番凄かった。
色合いの華やかさと、彫刻の技術の高さに純粋に圧倒されました。
”見たこともない美しさ”に自然と「すごっ!」と声がでてしまう、周りの静かな見学者も皆そろって声が漏れてしまう。
それほどの圧倒的な空間でした。
部屋の写真を載せるか非常に迷いましたが、
実際に実物を見ないと損!と言い切れるほどでしたので、
あくまでも興味を持ってもらうために載せる判断にしました。
それほど凄かったです。
■草丘の間
草丘の間は、昔は天気の良い日には富士山が見え、昼間の宴会場として人気を集めていた部屋です。この部屋の日本画は礒部草丘という画家のものとなります。
大五朗の推しポイントとしては、
「壁の日本画」「組子障子と呼ばれる複雑な模様の障子」「窓の外の自然」
この3つが見事なまで調和されていて、漁樵の間とはまた異なった、
圧倒的な美しさを感じられます。
他の部屋と異なり、外の風景が見えることを想定した創りを感じ、
その想定を凌駕した美しさを感じられました。
■静水の間
この部屋は画家・橋本静水の名前から「静水の間」と呼ばれていますが、実際には他の画家の絵もあり、全部で5人の画家が携わっております。記録によると元は違う画家の名前が付いていたものの、絵が入れ替えられ「静水の間」になったと伝わっているようです。
複数の画家によって創られた部屋のため、どの絵が誰の絵でどう違うのだろうと探しながら楽しむのもこの部屋の醍醐味かもしれません。扇の絵の中に華やかな花や鳥の絵が描かれているものが静水の作品のようです。
大五朗程度の芸術理解度では、見分けはつきません。。
■星光の間
こちらの部屋は画家・板倉星光によって装飾されております。
星光は美人画を得意とした画家ですが、ここでは季節をテーマに描いております。「百段階段」の7つの部屋の中で最も天井が低い設計になっておりますが、各所に圧迫感を和らげる工夫を凝らしてある部屋でもあります。
大五朗は初めて使う言葉ですが、
親しみのある四季の絵と職人の心配りによって安心できる空間となっており、
まさに「わび・さび」を感じる部屋でした。
慎ましくはあるものの、別に質素ではないので、使い方が違う可能性はありますが、大五朗的にわび•さびとなんとなく言いたくなる部屋だったのは間違いございません。
■清方の間
この部屋は近代日本画の巨匠、鏑木清方が手掛けた絵が飾られています。
床の間がある本間の欄間には、「四季美人図」が描かれており、
美人図を得意とした清方の真骨頂ともいわれる大作が描かれています。
大五朗は絵への理解度が乏しく、
正直なところ清方の絵よりも、職人さんのこだわりに魅了された、という印象の部屋でございました。金具などの細部へのこだわりから、天井に施された大掛かりなこだわりまで、またまた圧倒されました。
この部屋ほど、近くまで壁によって目を凝らした部屋はなく、この部屋でのみ地面に座って天井を見渡しました。
(百段会談は土足禁止で床は畳が多いです)
■頂上の間
ここは本来、西村五雲に揮毫依頼をしていましたが、描く前に他界してしまい、その願いは叶わなかったと伝えられております。そのためか、床柱には非常に名品と言われる黒柿が用いられています。最終的には、松岡映丘門下の数人の画家により描かれた天井画が配されています。
ここは階段の最後の部屋であり、「百段階段」を登り終えた先にあります。登り終えた達成感と「頂上の間」という響きに非常にマッチした、落ち着きがあり、ひらけた部屋となっておりました。
この部屋にのみ、中心に椅子がおいてあり、
その気遣いも含め、非常に満足のいく「百段階段」見学となりました。
■99段への思い
「百段階段」とはその名称とは異なり、99段しか階段はございません。
ついつい、現地でもツッコミを入れてしまった大五朗ですが、そこにはさまざまな思いが込められていました。
奇数はおめでたい数字といわれており、それが重なっている99段にした、
100は完璧な数字で、後は満月が欠けるが如く衰退をイメージするため、一つ手前の99段にした、など様々な諸説がございます。
ただし、「百段階段」のある現在のホテル雅叙園東京では、
「これで完璧なのではなく、これからも一層発展していくという気持ちを込めて、あえて99段にした」と考えているとの表明をされております。
冒頭、大五朗が”完成しきっている”と評した「百段階段」ですが、
それを完璧ではなく更に一層発展すると捉えたホテル雅叙園東京の言葉を聞き、必ず毎年見学にいこうと心にそっと誓った大五朗でした。
そして、そもそも有名で知ってはいましたが、
ホテル雅叙園東京!ホテル内やばすぎます。大五朗は異世界にしか見えないほど豪華なホテルでした。ホテル内に川や滝や森が・・・。
必ずいつかここのビュッフェにいこうと心に強く誓った大五朗でした。
■本日の一番星
さて、本日は文化財の見学でしたが、非常に面白かった。
今後も興味を持ったものには積極的に参加していきます。
それでは、
本日の自分の中での一番星(一番の学び)は、
「わび・さびって何?」
でした。
それでは、ありがとうございました。
またきてください!!
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