DAIの高校時代① -嫌な予感-
2005年春、DAIは中学3年生だった。
DAIは頭はぼさぼさで眼鏡をかけて,頭は少し爆発しており,
身長が低く,華奢で体重も50kgくらいしかなかった。
しかし,DAIの学校の勉強の成績は上からトップ15に入るほどで,
自分で言うのもなんだが優等生の部類の生徒だったと思う。
この時の私は自信に満ち溢れ,これから始まるであろう高校時代にワクワクしていた。
しかしながら,この時私は,これから地獄のような日々が始まり,
自信を無くし,不登校になるなんて思いもしなかった。
卒業も近づいた曇りのある日、
私と母は私が受験する日立第一高校の下見をするために電車に乗り,
日立駅で降りた。
改札を過ぎ,駅のホームを出ると甘く乾いたような嫌な臭いが鼻についた。
茨城県日立市は工業の街で,
駅から日立第一高校に向かう道の右側には高い塀があり,
塀の中には大きな工業があった。
煙はどうやらその工場から出ているらしい。
なんとなく嫌だなと思いながら、私は母と一緒にその道の左側を歩き,日立一高に向かう。
しばらくすると右側は小学校になっていて遊具などが見え,
さらに進むと大通りに出る。
そこを右に曲がって道なりに行けば日立一高だ。
「もう少しで一高が見える」
と楽しみに思っていると,
進行方向から日立一高の先輩と思われる3人がこちらに向かって歩いてきた。
見た目は単色の薄いトレーナーとあまりおしゃれには見えなかった。
ケラケラ笑いながら楽しそうに歩いてくる。
日立一高というのは県北では一番の進学校で
まじめで眼鏡をかけたような生徒が通っているのかと思ったが,
想像と少し違った。
あまりジロジロ見ているとおかしいなと思って、
私は進行方向に目線をそらした。
しかしながらこの後彼らは意外な行動をしたのだ。
なんと・・・
指をさして母と私を笑っているのだ。
おい、見ろよあれ。
変な生き物がお母さんと一緒に歩いているぞ・・・。
とは言わなかったが,そんな感じだった。
私は一瞬凍り付いた。
これまでの人生で私はおろか母にもこんなことをした人間は一人もいなかったからだ。
しかも初対面でだ。
そんなことをするのは不良でもいなかったと思う。
なんだよ。うざいな。
と思ったが何もできないと思ったので、
何もリアクションせずにスルーするしかなかった。
「馬鹿にされちゃったね。帰りは違う道を帰ろう」
と母が言った。
「そうだね」
と私は言った。
帰り道はそんな生徒に出くわすことはなかったが,
後味の悪い下見になった。
あんな人は一部だと自分に言い聞かせた。
-続く-