小説『かか』の感想――宇佐見りんという“作者の感性”を味わう
宇佐美りん 著
『かか』
『推し、燃ゆ』があまりにも良かったので、続けて、こちらも読みました。
少しだけ感想を。
宇佐見りんという作家は、小説作品を味わうというより、“作者の感性を味わう”、そんな作品を書く。
鋭い感性で日常を切り取り、そこには新しい視点もあれば、絶妙な共感も存在する。
本作においても、それが随所にあった。
しかし、まぁなんとも言えないほど、読みにくい文体、文調だった。
大抵、こういうのは読み進めるうち、慣れてくるものだが、最後まで読みにくかった(ひらがなが多いのが特に)。
内容について。
思春期を描いたといわれても、とても共感はできなかった。いや、共感なんてできなくても小説は成立するのだが、私の理解力では追いつけない部分が多かった。
内向的な作品、世界観ーーその輪郭は、ふれることは許しても、中に入ることについては非開放的。
「おもしろい!」とは思わなかったが、これは評論したくてたまらない作品。
色々、ああだこうだ言いたい。これはもう、いわゆる芸術である。
日本に留まらない、国際的にも評価されるんじゃないかと思う。
結果的に、読んでよかった。