要約『人材獲得競争時代の”戦わない採用” 〜リファラル採用のすべて〜』
今回は書籍『人材獲得競争時代の”戦わない採用” 〜リファラル採用のすべて〜』のまとめ記事です。
書籍『人材獲得競争時代の”戦わない採用” 〜リファラル採用のすべて〜』
本書はTalentX創業者の鈴木さんが書いた書籍です。これからの時代にリファラル採用が求められる背景やリファラル採用成功法則を書き記した内容になっています。
私が所属するファインディもそうなのですが、昨今『リファラル採用』に積極的に取り組み始めている企業は年々多くなっている印象です。
一方で、これまでに多くの採用手法に関する書籍を目にしてきましたが、『リファラル採用』にフォーカスした書籍は世の中に多くありません。
そのため、今回の機会に本書の内容を本記事にてまとめていきたいと思います。
これからの時代の鍵となる「戦わない採用」
労働人口減少と労働市場の人材の流動性の現状
労働人口の減少が叫ばれる中、労働人口6,907万人に対して、転職者は288万人(4%)であり、労働市場の95%以上が転職潜在層(転職活動をしていない労働者)というデータがあります。
海外では主流の”Recruiting is Marketing”の発想
これまでの採用担当者だけが従来の採用手法(求人広告や人材紹介など)のみを頼りに労働市場の4%である転職者へとアプローチする「他社と戦い続ける」採用だけでは優秀な人材を獲得できなくなってきています。
これからは採用にマーケティングの要素を取り入れ、労働市場の95%以上転職潜在層から優秀な人材を獲得する「戦わない採用」への変革が求められるようになってきています。その戦わない採用の一つとして『リファラル採用』があります。
※転職潜在層へのアプローチは、『リファラル採用』だけでなく、『ダイレクトリウルーティング』や『ソーシャルリクルーティング』などの採用手法がありますが、本書では『リファラル採用』にフォーカスしています
実はこの『リファラル採用』は、海外ではすでに主流の採用手法です。米国では2013年から採用活動にマーケティングを取り入れる発想(Recruiting is Marketing)が浸透しています。
リファラル採用は採用手段のみにあらず、企業文化や成長率に寄与
米国マッキンゼー・アンド・カンパニーの人材採用に関する調査によると、社員の採用に対する意識と企業成長率には相関があるというデータが示されています。
2022年時点で世界を代表するグローバル企業ほほとんどがリファラル採用に積極的に取り組んでおり、企業としての成長率も高い状況があります。
2012年以降、米国においては最も人材獲得数が多い採用チャネルとなっており、企業 の80%がリファラル採用の制度を導入し実践しています。
また、現在のコロナ渦においても生産性が高い企業は、採用人数の3割近くをリファラル採用で獲得していることが分かっています。日本ではメルカリ、海外でがCAFAなどのBig Techは約5割をリファラル採用で人材獲得しています。
戦わない採用『リファラル採用』とは
リファラル採用とは、リファラル(紹介、推薦) メリクルーティング(採用)」の造語です。リファラル採用は信頼できる友人や知人からの紹介を通じた採用手法のことを指します。
日本においても近年になって、ようやくメインの採用手法として盛り上がりを見せています。
リファラル採用のメリット/デメリットはどのようなものでしょうか?
リファラル採用のメリット
転職潜在層から優秀な人材を獲得できる
社員の定着率が高くなる
社員のエンゲージメントが高くなる
採用コストが削減できる
→優秀な人材をミスマッチなく獲得でき、全社員で仲間集めを行うことで、エンゲージメントが高まる費用対効果の高い採用手法
リファラル採用のデメリット
人間関係と人材の配置に配慮が必要
社員の理解と認知が必要
情報が可視化しにくい
促進・活性化するまでに一定の工数が必要
→リファラル採用制度を形骸化させないためにも、PDCAを回し、丁寧な制度設計と地道な取り組みが必要。リファラル採用を推進するためには、採用担当が自社のファンになって、従業員がおすすめしたい会社のディレクターになることが大事
リファラル採用は高い費用対効果と、単なる”採用”にとどまらず組織のエンゲージメント、ひいては企業の成長率に寄与する手法である一方で、その取り組みは一朝一夕でできるものではないとの理解が必要です。
ここからはリファラル採用における準備と実践についてです。
準備:リファラル採用を成功に導く『ゴ』『ル』『フ』設計
リファラル採用に必要な準備である『ゴール設計』『ルール設計』『フロー設計』の頭文字を取ったものです。
中長期の『ゴール設計』
社員を巻き込む施策においては目的やゴールを明確に示すことが大事
中長期で「なぜリファラル採用をやるのか」というストーリーを設計する
リファラル採用が文化として根付いたときに、組織としてどのような状態になっているか、という中長期のストーリーを経営陣が発信し、社員を巻き込むことが非常に重要
定量と定性に分けて、ゴールを設定する
例:「社員全員で仲間集めをすることで、エンゲージメントを高め、持続可能な採用チャネルを確立する」ことを目的とし、「XX名の社員が自社を紹介し、その結果XX名のカジュアル面談/XX名の採用決定、XX円の採用コストカットを実現できている状態」を目指します など
安心して紹介できる『ルール設計』
社員が安心して紹介できるようなルール作りをすることが大事
適用社員の範囲
正社員、契約社員、アルバイト社員、派遣社員など、どの範囲まで適用範囲に含めるのかを決める
禁止事項や運用ルール
「協力パートナー企業からの引き抜き禁止」など、トラブル防止のルールも必須
インセンティブ
リファラル採用の成功時、入社に伴う社員への報酬金額は「5万円~20万円」に設定している会社が多い
報酬・インセンティブの金額ではないでしょうか。インセンティブの金額は高ければ高いほうがいいというわけでもありません。
※紹介報酬制度を導入したからと言って、全社員が能動的に動いてくれるわけではありません。報酬制度のみで行動喚起される層は全体の1割、大半の層は報酬制度に加えて「その他理由」で受動的に動くため
負荷を下げる『フロー設計』
リファラル採用は、採用担当以外の社員からすればサブ業務にあたる一方で巻き込みが不可欠になるので、社員視点で負荷のかからないフローに設計することが大事
心理的負荷を下げる
友人が紹介したのに即NGになると、友人との関係が悪くなる
→「大切な社員の紹介者を書類選考でいきなり落とすことはせず、カジュアルに一度はお会いする」などの選考フローを明確にする
業務工数負荷を下げる
→紹介するときのフローを明確にしたり簡単にすることが重要
実践:リファラル採用3.0を成功に導くフレームワーク
リファラル採用で重要になってくるのがエンプロイ・ジャーニーです。エンプロイ・ジャーニーとは、社員が入社〜退職してOB/OGになるまでの道のりのことを言います。
社員にとって、どのような体験となるのかを意識して丁寧にすすめていく採用マーケティングの考え方が必要になります。
ここではエンプロイ・ジャーニーにおいて、認知・共感・行動・ファン化の4つのステップに社員を導くことが重要としています。
STEP①認知
リファラル採用に対する社内認知を高めるために、情報の角度・切り口を変えながら、飽きられない発信を心がけ継続することが重要
STEP②共感
実際に社員に動いてもらうには共感を生むコミュニケーションが大切
リファラル採用をなぜやるのか?をストーリーで伝える
募集ポストや募集背景を透明性を高く伝える
経営層や管理職など上位役職者を巻き込む
STEP③行動
行動のハードルを下げる
情報を一箇所にまとめる
声がけのハードルを下げる
STEP④ファン化
また参加したいと思える体験価値を提供し、率先してリファラル採用に取り組んでくれるファン社員を増やす
紹介した知人の入社が決まった社員、決まらなかった社員、どちらもファン化すること
とくに入社が決まらなかった社員に対して、丁寧なコミュニケーションが重要
紹介してくれたことへの感謝
紹介してくれた人材に対する配慮
いかがでしたでしょうか?
今回は書籍『戦わない採用〜リファラル採用のすべて〜』をもとに、これからの時代にリファラル採用が求められる背景やリファラル採用成功法則について書いてみました。
さいごに
最後まで読んで頂きありがとうございました。
弊社ファインディでも、リファラル採用を推進しており、全員採用に取り組んでいます。前述してますが、以下記事を読んでも、やはり丁寧なコミュニケーションと地道な活動が必要なものだと痛感させられます(リファラル推進担当には感謝です。ありがとうございます)
話は変わりますが、ビズリーチ南さんの『ともに戦える「仲間」のつくり方』という書籍が好きです。全員採用の重要性は認識していたものの、弊社もリファラル採用を活発化させるということで、改めて考えるいい機会にもなりました。
スタートアップ業界のリファラル採用が活発化しており、私が観測できる範囲では、とくに以下にピックされている企業の”採用に対する意識”とやりきりはすごいと感じます。そして、企業も成長していると思います。
「事業づくりは仲間づくり。」
ともに戦える仲間づくりしていきたいので、ファインディやファインディの事業に興味がある方はお気軽にご連絡ください!
参考