E2系J70番台の今後の行方
JR東日本の東北•上越•長野(北陸)新幹線で活躍しているE2系新幹線。最近の活躍では2022年にはJ66編成が200系風の復刻塗装となったり、J69編成はMagical Dream Shinkansenとしてディズニーとのコラボレーションでラッピング塗装となり話題になりました。そんな長年に渡り活躍しているE2系ですが、現在は後継車両の登場によりここ10数年以内で廃車が進んでおり、2024年11月1日現在で稼働しているのは1000番台のJ70編成〜J75編成の僅か6編成となっています。
今回は現在活躍しているE2系1000番台のJ70番台の6編成に焦点を当てて記事を書いて行きたいと思います。
その前にまずは軽くE2系について説明をしたいと思います。
1997年の長野新幹線開業と同時に50/60Hz周波数切替対応車の0番台N編成が8連 13編成、東北新幹線用の分割併合装置を搭載したJ編成が8連 15編成が1995年〜1999年にかけて製造されました。
両編成共に最高速度は275kmですが、長野用N編成は最高速度が260kmとなっています。
その後、2002年の東北新幹線八戸延伸開業時に製造されたのが1000番台J編成です。
1000番台は従来のE2系とは外見が大幅に変わっており、グリーン車を除く全号車の窓ガラスが大型化された他、大型のパンタグラフカバーが廃止され、新型のPS207パンタグラフを搭載。屋根上はかなりスッキリした印象となり0番台、1000番台でも見た目の違いが分かるようになりました。
基本番台からドアが引き戸に変更、更にはフルアクティブサスペンション、セミアクティブサスペンションの搭載。10号車にはE3系との併結の為に併合分割装置も搭載され、お馴染みの連結運用も見ることができました。
更には帯色もつつじピンクと呼ばれるピンク色に変更され、編成両数も従来の8両から10両に変更。
同時に0番台J編成も同様にピンク帯への変更、7.8号車(E225-100、E226-400)を新造して10連化されました。増結用中間車は1000番台に合わせた仕様となり、内装と外装は1000番台。機器類は0番台に合わせた仕様となっており、0番台J編成は大小の窓が混在する編成になりました。0番台J編成トップナンバーのJ1編成はN21編成として長野新幹線に転用され、東北用0番台J2〜J15編成、1000番台J51〜J69編成、長野用N1〜N13.N21編成の大所帯となりました。
軽く説明をしたところでJ70番台が増備された2010年頃〜最近までの動きを見て行きたいと思います。
動きがあったのは2009年6月のこと。
次世代型新幹線の開発•試験車両として活躍したFASTECH360Sの試験が終了し、その試験データを踏まえて登場したのが現在の主力車両であるE5系です。
2009年に登場したS11編成(後のU1編成)は東北新幹線内での試運転を実施し、量産車登場までに様々な試験を実施しました。それと並行して東北新幹線は八戸から更に北へ延伸し新青森までの延伸開業を控えており、新青森までの延伸開業と同時にE5系をデビューする.......はずでした。
しかしS11編成の試験が終了しておらず、量産車の製造もまだ未完成。開業までに間に合わない事に。それを踏まえて開業直前の2010年にJ70〜J75編成が増備されました。
最終編成のJ75編成は2010年9月27日に落成。その僅か2ヶ月後にE5系量産車のU2編成が落成。僅か2ヶ月の製造時期が差を広げる事になりました。
基本的には先代のJ50番台と同じ設計ではありますが、一部使用変更が行われています。
行先表示器のフルカラーLED化
車内座席上への読書灯追加
座席最前部、最後部のテーブル拡大
全席の窓側へのコンセント追加
などなど、同時期に製造されたE5系と同様の設備を取り入れられています。まさにE5系のDNAが入ったE2系とも言えるでしょう。製造年が2010年と言う事で、J70番台はE5系のU1編成よりも1年新しいE2系となっており、先輩形式が後輩形式の後に作られた面白い展開となっています。設備の変更はありつつも、基本的な設計は従来車と同じなので最高速度は275kmと同じです。
E5系の増備に伴い2013年からは一部のE2系が上越新幹線での運用を開始。それに伴い新潟新幹線車両センターへの転属が開始されましたが、当時は0番台J編成が転属対象となり、それを追って順次1000番台前期車を中心に新潟への転属が始まりました。
しかし一方で廃車もこの頃からスタート。
J編成初期車であるJ2編成から解体が始まりました。更にはE7/W7系導入で置き換えられたN編成も廃車となり、2017年度でN編成は消滅。2019年にJ編成0番台も全廃となり0番台は番台消滅となりました。
J70番台に動きがあったのは上越運用開始4年後の2017年。この年にJ70番台が新潟へ転属し、上越新幹線をメインに運用するようになり、とき、たにがわと言った上越新幹線の運用に充当されました。
↓J70番台の転属順は以下の通り↓
2017.3.4 J71.J75編成
2017.9.9 J74編成
2017.12.2 J70.J72.J73編成
基本的には上越新幹線での運用となりましたが、時折車両都合により仙台所属のE2系の代走などで、新潟車が東北新幹線に顔を見せる機会もあり、はやて、やまびこ、なすの等でも活躍しました。
そして1年後の2018年に上越新幹線にE7系を導入する事が発表されました。順次E4系が廃車となる中、E2系1000番台も廃車が進み、2022年までにJ51〜J57.J65が廃車となり置き換えが進みました。
一方でJ70編成が同年10.1付けで仙台へ再転属となり、再び東北新幹線をメインとして活躍する事に。2023年には上越新幹線での営業運転が終了し、J58〜J64編成が離脱、廃車となりました。
一方で残ったJ66編成〜J69編成、J71編成〜J75編成の9編成も仙台へ再転属となり再び東北新幹線をメインに最後の活躍を始めました。
そして1年後の2024年3月改正でE3系との併結運転を終了し併結相手をE5系に車両変更。3月を持ってJ67編成、J68編成、J69編成は新潟へ回送され運用離脱。廃車となりました。
東北•上越新幹線開業40周年を記念して200系新幹線の復刻塗装がされ注目を集めたJ66編成は、2024年3月ダイヤ改正前日に一旦新潟へ回送。しかし2週間ほどで再び仙台へ戻りました。2月に郡山駅で発生したE3系滑走防止事故により、滑走防止対策に伴う処置で121B.160Bのブレーキ力増幅の増結列車として活躍し、GW限定で客扱いも実施されました。しかし121B.160BもE5系.E8系に置き換わり、再び新潟へ回送。このままの流れだと廃車になるものと思われます。
残されたJ70番台は、朝夕の仙台〜東京間のやまびこ、郡山•那須塩原〜東京間のなすの運用をメインに活躍しているので仙台駅でも見る機会が減っています。その為、仙台以南に行かなければ中々お目にかかれない車両となってしまいました。
ここから先はE2系J70番台の今後の動きや予想、他車両との関連性や引退時期をパターンに分けて予測して行きたいと思います。あくまでも個人的な意見や予測ですので参考程度に宜しくお願いします。
①引退時期はいつ頃か?
2010年落成と言う事で全編成が経年14年とまだ浅いですが新幹線車両としてはベテランの一角に入る時期です。既に車両減価償却期限である13年を超えている為に廃車になっても問題はありませんが、2022年〜2023年度に全般検査を実施している為、まだ暫くは活躍する姿が見れるでしょう。
他の1000番台は経年18、19年と、製造から約20年程で運用を終えて廃車となっている為、予想としては経年20年を迎える北海道新幹線札幌延伸直前の2029.2030年あたりと予想しています。
その頃には現在試験中のE956形ALFA-Xの試験データを反映した新型車両が出ると考えています。しかしE5/H5系、E6系の先代試験車にあたるFASTECH360S.360Zのようにフル規格、在来規格と2パターンの試験車を用意せずに、ALFA-Xはフル規格1編成のみの試験車となっている事から、札幌〜東京間の最速達列車は連結は行わずに単独運用なのではないかと思っています。あくまでも予想ですが、この新型車両によりE2系J70番台、製造年にばらつきがあるE5系のうちJ70番台と製造時期が違い前期車から置き換え対象と考え、後期車は経年が浅い事もある為残るのは間違いないでしょう。
余談ですが、先程書いたように最速列車は単独運用なのではないかと記事を書きました。しかし2030年ともなるとE6系の後継車種も気になるところです。E6系は2010年製造のZ1編成を除き、量産車は2012年10月のZ2編成〜2014年2月のZ24編成までと約1年間少々での製造であり編成内での製造時期差がほぼ変わりない為、後継車種も1年単位での製造、そして360km対応車種なのかも気になるところです。
②J70番台が残留した理由、そして代走運用の真相
J70番台が残留した理由は経年が浅い事もありますが、それ以外にも他の車両との関係性が絡んでいるでしょう。一番は現在の北海道•東北新幹線の主力車両であるE5系/H5系との関係性だと思います。
まずE5系の当初の導入本数は全部で59編成との事で、東北新幹線の車両をE5系に統一する目的があったようです。E5系の初期車は当時東北新幹線に残っていたE4系を上越新幹線に転属させ、上越新幹線に残っていたE1系、200系を置き換えて廃車とする目的があり、E4系は2012年9月を持って東北新幹線から引退。E1系は2012年10月にラストラン。200系は2013年3月改正までに3編成(K43.K47.K51)が残留していましたが、E2系の上越転属により4月のさよなら運転を持って引退となりました。
その後もE5系が続々と増備されて行き最終的には2023年のU51編成の増備を持ってE5系の増備は終了。
全部でE5系は51編成の大所帯となり、2016年にデビューしたJR北海道のH5系(2022年の宮城県沖地震により被災したH2編成を除いて)を含めて54編成となりました。
しかしながら当初の予定本数には到達しておらず、あと5編成程足りない計算になります。そこの足りない部分の車両がE2系J70番台の存在でしょう。
54編成のE5/H5系と、E2系J70番台を合わせると全部で60編成。両形式を合わせるとE5系導入計画時の本数とほぼ一緒になります。J70番台は先程説明したように、E5系U1編成よりも新しい車両です。本当はE5系で統一したいがまだ廃車にするのも勿体無い。その為に残留し、E5系の320km運転の足枷にならずに済む275kmでの運用でカバーできるやまびこ、なすのと言った各駅停車中心の運用に充当できるよう残されているのではないかと思います。
③定期列車の代走運用
2024年3月改正以降、E5系の定期列車の一部代走やE3系つばさとの連結による臨時のやまびこ運用などが続いており代走運用が実施されています。中でも仙台以北での定期運用が無くなっているE2系ですが、51B-52B-63B-64B の運用や、昼間の55B-60B、盛岡始発の最終のやまびこ号である70Bなどに入っている姿が目撃され私も何度か撮影しに行っています。
それ以外にも繁忙期のみ設定であるやまびこ161号、163号、167号、171号といった臨時運用の盛岡やまびこにも充当されている姿もありました。
定期列車にまで代走している理由としては繁忙期の臨時のはやぶさ号、やまびこ号の増発にE5系が充当される事による一時的な車両不足が考えられるでしょう。
現状E2系は一日4編成で運用、2編成は予備。その形態で交互に運用を回しています。先程も説明したように速度差による足枷をなくす為にE2系でもカバーできる運用(やまびこ号)に、代走されている事が考えられます。実際のところ繁忙期時には5編成が稼働している姿が見られました。
現状的に運用に若干余裕がある為、修学旅行臨時列車などにE2系が使用されていた事例もあり、今後もこのような形態での代走が度々続くものと思われます。
E2系J70番台の話題に触れてみましたがどうでしたでしょうか。あくまで私個人的な意見ですので、参考程度に見ていただけるとありがたいです。しかしあれだけ居たE2系が6編成しか残っていない事に驚きを隠せません。E5/H5、E7/W7系に置き換えされた後も陰ながら運用を続けるE2系J70番台の存在は、人知れず一昔前の東日本の新幹線の歴史を物語っていると思います。ちょっとした出来事から生まれた彼らの記録、乗車などは今走っているうちにしておくべきでしょう。運用も限定されている事から今は狙いやすいと思います。盛岡やまびこ運用などの代走に入った際には乗車して、昔の東北新幹線を懐かしむのも悪くないと思います笑
今回はこの辺で
ありがとうございました。