讒文芝居

財布を買いに行ったらば、何処ぞの御母堂が
「小学生が、長財布欲しがる喃て、如何なの!?」と狼狽て居た。
不図、見遣るとませた小学生男児が目を爛爛とし乍ら、
革の長財布を端から順繰りに眺めて居り、其の変梃子価値観が微笑ましい。
お母さん、其れは小学生男児には早い乎も知らぬ。然は然り乍ら、
相応の対価を課然ば買って差し上げるも何等教育上、
差し支え無いのじゃあ無い乎知らん。
と長財布が欲しい四十二歳児も其れ等を矯めつ眇めつしつつ、想って居た。