役者の生き方から何を学ぶか?石原裕次郎さんと津川雅彦さんの場合
狂った果実という映画をご存知でしょうか?
石原慎太郎さんの原作を中平康監督が映画化し、石原裕次郎さんの主演デビュー作(※太陽の季節の端役ですでにデビューはしていました。)で、その石原裕次郎さんの弟役を演じた津川雅彦さんのデビュー作にもなります。
兄である石原慎太郎さんの原作ということで『太陽の季節』ではスタッフとして参加していたのに、イケメンで作品の雰囲気にぴったりということで端役で出演して、その次の『狂った果実』で主演デビューした石原裕次郎さんと・・
芸能一家に生まれて、本当は新聞記者を目指していたのに、兄である長門裕之さんの説得で俳優デビューした津川雅彦さん。
(※狂った果実には石原慎太郎さんと長門裕之さんが浜辺で喧嘩して負ける役で、ワンシーンだけゲスト出演してます。)
この二人はコネでデビューし、演技の勉強など一切せずにスター街道を爆進したので、デビュー当時は大根役者だったのです。
しかし、途中から正反対の道を歩むのです。
津川雅彦さんは日活から松竹に、当時はタブー視されていた移籍をするのです。
松竹に移籍後はファン離れが進んで大コケ作品を連発してクビになるのです。
片や石原裕次郎さんは主演作が大ヒットを連発して、石原プロを設立して自ら映画制作に乗り出します。
明暗が分かれた感じですが・・
しかし、芸能一家に育った津川雅彦さんは、ここで役者魂が燃え上がるのです。
演技の勉強を一から徹底的に始めて、二時間ドラマの犯人役など、役を選ばずに挑み、演技力を磨いていったのです。
その後どうなったのか?
晩年の二人を比べると・・
石原裕次郎さんは存在感はあるけど演技力がないので、刑事物のボス役でしか見なくなります。
しかし、津川雅彦さんは様々な役を演じられ、多くの名作に出演されていました。
まさに名優と言われる存在になったのです。
津川雅彦さんは晩年に『松竹をクビになる前は自分が出ていれば何でもヒットすると思い込んでいた。でもそうではなく、良い作品に出なければならないし、その為には実力が必要』と語られていました。
石原裕次郎さんは多くの人に影響を与えた大スターであったことは間違いないでしょうが、私は役者の生き方としては津川雅彦さんの方が好きです。
自分の生きる道を決めたのなら、それに対して真摯に向き合って努力を重ねるべきだろうと思います。
本当に実力のある人は、時代や価値観が変わっても必要とされます。それは何の世界でも同じことだと思います。
今の私はなんの実力はありませんが、努力だけはしていこうと思います。