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羨ましいと思った時もあります。〜『ルポ 中高年ひきこもり 親亡き後の現実』を読んで〜

『ルポ 中高年ひきこもり 親亡き後の現実』を読了しました。

私が10代の頃(30年前)くらいから『ひきこもり』の問題というのはクローズアップされてきたと思います。

実は私がひきこもり問題を最初に聞いた時の印象は羨ましいというものでありました。

児童虐待問題ひきこもり問題というのは真逆の問題であると思います。

私でいうと、高校を卒業して家を出るまで居間の片隅に勉強机を置かれて、そこで寝起きしていました。年中真夜中に酔って帰ってきた父親に絡まれていました。引き篭れる場所なんて存在しないのです。だから、中学時代から高校卒業したら家を出ようとずっと考えていました。

私と同じように家に居場所がなく、もっと悲惨な状況になった人を何人も知っています。

・中学生の時に家出して、生活費がなくてひったくりして捕まった人・・
・高校生の時から夜の街で屯って、そこで知り合った人の紹介で売春するようになった人・・

みんな家に居場所がないから追い込まれてしまったのです。

その人たちから見れば、家の中に引き篭れる場所があるなんてなんと羨ましいことか‼️

しかし、当然のごとく引き篭もりたくて引き篭もる人はいません。

本書を読むと・・

対人関係が苦手で、就職したけど職場に馴染めずにすぐに辞めてしまう。そして、その後は仕事を転々とするが結局はどこにも馴染めずに、最終的に就職活動をすること自体に恐怖を覚えて引き篭もってしまうという流れが多いようです。

そして、同年代の人が働いていたり家庭を築いているのに自分だけが取り残されていることに負い目を感じ、他者との交流を自ら断ってしまう。そして、家族もそんな子どもを恥と捉えてしまい他者に知られないように相談もしなくなる。

実はこれは児童虐待問題にも通じるところがあります。

育児のストレスで虐待をしてしまったり、配偶者が子どもを虐待したりすると、それを知られたくなくて他者との交流を断っていく。

児童虐待問題とひきこもり問題は真逆の部分もありますが、孤立化することで問題が深刻化していくという点では同じなのだと思います。

そして、行政も※緊急を要すると認められる場合意外は強制的に介入することが出来ない点も同じです。
目の前で意識不明になるなど重病である可能性が高い場合。自傷行為などを繰り返し自殺する危険性が高い場合。他者に攻撃的で殺人などを犯す危険性があると判断できた場合など)

虐待やDV、そしてひきこもりの当事者になってしまった人は自ら助けを求めてこない可能性が高いのです。そして現在の法律や制度では行政はすぐに介入することも出来ません。だからこそ地域ネットワークを構築し孤立化を防ぐことが重要なのです‼️

育児や家族の悩みなどを一人で抱え込まずに相談出来る相手がいる。それだけで心はかなり楽になり、問題が深刻化する前に解決策が見出せる可能性が出て来ます。

コロナ禍で人との繋がりが断たれている現代だからこそ、地域ネットワークを構築出来るような活動を自分なりに頑張りたいと改めて思いました。