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【板橋区】定例会で行った討論です。

こんにちは。日本維新の会・板橋区議会議員の大森大です。

令和6年度第1回定例会で私が行った討論を全文掲載します。

【討論】

日本維新の会の大森大です。
ただいまから、日本維新の会板橋区議会議員団を代表し、「令和6年度東京都板橋区一般会計予算」及び「国民健康保険事業特別会計予算」、「介護保険事業特別会計予算」、「後期高齢者医療事業特別会計予算」、「東武東上線連続立体化事業特別会計予算」の原案を可決することに賛成の立場から、共産党提出の修正動議には反対の立場から討論を行います。
はじめに、能登半島地震で甚大な被害を受けられたすべての被災者の方々に、心からのお見舞いを申し上げます。この度の震災は、私たちに多くの重要な教訓を残しました。少子高齢化が進む地域特有の課題とともに、避難所へ向かう人々が必要な物資を求めた姿は、自助の重要性を改めて私たちに認識させました。また、SNSを通じて拡散した不確かな情報が社会問題にまで発展したことは、情報の取り扱いについても深く考えさせられる出来事でした。
特に心を痛めたのは、ペットと共に避難しようとした多くの方が、同伴避難が許されず、やむなく車中泊を余儀なくされた事実です。家族同然の大切な存在を守るための選択が、さらなる困難を生じさせてしまう現実に、私たちは真摯に向き合う必要があります。
これらの課題は、決して他人事ではありません。板橋区においても、同様の災害が発生することを想定し、今回の教訓を生かした対策・備えを区民一人一人が行っていくことが求められます。そして、私たち区議会議員や行政は、今後の災害対策において、能登半島地震で浮き彫りになった様々な課題を教訓として、区民の安全と安心を守るために、全力を尽くさなければなりません。
一方で、残念なことに、最近の自民党国会議員を中心としたスキャンダルは、国民の怒りを買い、特に政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑は、「政治とカネ」に対する不信感をさらに高めています。私たち板橋区においても、区内選出の国会議員がこれらの渦中にあることは、区民の怒りを大きくしており、この状況を重く受け止めなければなりません。
今こそ、区長や区議会議員といった私たち政治家が、身を引き締めて信頼回復に向けて努めるべき時です。具体的な対策としては、報酬のカットという身を切る改革を実施することも必要不可欠です。実際、私たち日本維新の会はすでにその一歩を踏み出していますが、皆さま方におかれましても、これに続いていただきたいと強く願っています。
このような身を切る改革を進めることで、区民の信頼を取り戻すだけでなく、行政職員の方々にも私たちの改革への本気度を感じ取っていただけるはずです。それこそが、真の意味での改革を前に進める原動力となります。政治と金の問題に対する厳しい視線は、私たち政治家にとって、改革を推し進める貴重な機会でもあります。この機会を活かして、区民の皆様に信頼される政治を取り戻し、より良い板橋区を築いていこうではありませんか。
その上で、本予算案に賛成する理由を3点ほど挙げさせていただきます。
まず第一に、行政DX・自治体DXの推進です。近年、デジタル化は社会のあらゆる面で進行しており、行政サービスの質を高め、効率化を図るためにも、この流れは避けて通れません。私たち板橋区は、行政DX・自治体DXの推進において、全国の自治体の中でも上位に位置する実績を有しています。これは各種民間調査においても明らかであり、区の取り組みが、他の多くの自治体にとっても参考となるほどの進展を見せています。
このような背景のもと、今年度予算では、さらなる行政サービスのデジタル化を重点化しています。特に、「いたばしPay」及び行政ポイント付与事業の推進は、本予算案に賛成する大きな理由の一つです。令和4年度に導入された「いたばしPay」は、その導入以来、ユーザー数10万9千人、加盟店数1,300店舗、流通総額61億円に達するなど、地域経済において顕著な成果を上げています。この成功は、単にデジタル化を推進しただけでなく、地域経済活性化とキャッシュレス決済の利用促進に大きく寄与していることを示しています。「いたばしPAY」の成功は、板橋区のデジタル化推進の象徴とも言える取り組みであり、その更なる発展に向けた予算配分は、我々が今後もテクノロジーを駆使して、より良い区政を目指す上で非常に重要です。
次に、賛成理由の第二点として挙げさせていただきたいのは、防災対策の強化です。能登半島地震を受けて、区民の間で高まっている防災に対する関心に応える形で、区長の重点施策として位置付けられ、防災対策のさらなる強化が進められたことは高く評価いたします。
先ほども申し上げましたが、能登半島地震の経験から学ぶべき重要な教訓の一つは、災害時における自助の必要性です。家庭での備え、地域コミュニティの強化、そして災害情報の正確な理解といった自助努力は、私たちの災害への対応能力を大きく向上させます。これらの努力は、個々人の安全はもちろん、地域全体のレジリエンスを高める上で欠かせないものです。このため、板橋区としても、自助の必要性をより一層区民に伝え、その実践を促す施策の展開が求められます。具体的には、地域コミュニティの結束を促す施策、正確で迅速な災害情報の提供方法の改善などが考えられます。また、家庭での非常食や備品の備蓄を促すために、江東区や世田谷区では防災カタログギフトの配布を行うことが決定したということです。こうした施策や、緊急時におけるコミュニケーション手段の確保に関する指導など強く推進していっていただきたいと思います。
賛成理由の第三点として、産前産後事業の導入をはじめとする少子化対策について、ようやく本腰を入れたと評価できるからです。産前産後のサポート体制の充実は、子育て世代の負担軽減と安心感の提供に直結し、結果として出生率の向上にも繋がる可能性があります。これらの施策を長期的な視野に立って計画されている点を評価します。
もっとも、これだけではまだ足りないというのが現実です。例えば、出産費用の無償化や学用品の無償化は、子育て家庭にとって大きな支援となり得ます。これらは他区ではすでに先行して導入されており、多くの家庭から好評を得ています。板橋区もこれらの施策を参考に、さらなる少子化対策の充実を図っていっていただきたいと思います。
続いて、意見を2点述べさせていただきます。
まず第一に、事務事業評価の徹底についてです。品川区では、全事業にわたる事務事業評価を行い、その結果を踏まえて学用品無償化を実現しました。これは、事務事業評価が行政の無駄削減において極めて重要であることを示す好例です。行政の効率化と資源の最適な配分は、税金の有効活用を図り、区民にとって実質的な恩恵をもたらします。現在、板橋区でも歳出が増加傾向にあり、少子高齢化が進む中で義務的経費の増加が大いに予想されます。このような状況の下で、歳出改革を進めるためには、事務事業評価の全事業化と厳しい審査が不可欠です。全事業にわたる評価を行うことで、必要性の低い事業や重複する事業を見極め、削減あるいは再編することが可能になります。品川区の事例から学び、板橋区でも事務事業評価の徹底を図ることを強く要望いたします。
二点目として、特別会計に関する改革の必要性について述べさせていただきます。特に国民健康保険事業、介護保険事業特別会計及び後期高齢者医療事業特別会計については、高齢化の進展により事業規模の拡大が予想されるため、改革が急務です。
この改革の第一歩として、マイナンバーカードの普及とマイナ保険証の活用を推進することが重要です。マイナンバーカードやマイナ保険証の活用により、医療サービスの利便性を向上させると共に、不正利用の防止や医療費の適正化にも寄与することが期待されます。
先日、我が党は医療制度の抜本的な改革案「医療維新」を発表しました。急速に進む高齢化に伴う医療費の増大という課題に対し、持続可能な医療制度の構築を目指すものです。具体的には、世代間の公平性の確保と医療の質向上のための窓口負担改革、医療産業の生産性向上に向けた診療報酬体系の見直しなど、聖域なき改革を打ち出しています。
こうした大胆な改革によって、最小の負担で最大の厚生を実現し、全ての国民に質の高い医療を提供できる体制の確立を目指すべきです。板橋区におかれましても、この「医療維新」の理念を参考に、区民の健康と安心のための積極的な改革を進めていただきたいと思います。
議論を重ねた結果、我々はこの予算案に賛成することにしましたが、その決断に至るまでには一抹の躊躇いがありました。確かに、この予算には区民の生活を向上させ、将来への重要な投資を支援する多くの要素が含まれています。しかし、区政改革、特に歳出削減の面での進展が見られない現状には懸念を抱かざるを得ません。歳出の増加は、短期的な問題解決にはなり得るかもしれませんが、長期的な財政健全化という大局的な視点から見た場合、十分な改革の進捗を示しているとは言い難いのが現実です。より効率的かつ革新的な区政運営を通じて、持続可能な財政構造へと移行することを強く望みます。
共産党の提案する修正動議については、明確に反対の立場を取ります。この動議が提案する2億6千万円の歳出増に対し、その資金の大部分を財政調整基金から捻出しようとするアプローチは、財政の健全性を損なうものです。このような短期的視野に立った資金調達は、将来的な財政負担を増大させる恐れがあり、財政改革の観点から見ても適切な手段とは言えません。
 以上の理由から、この予算案への支持を表明しつつも、その実施にあたっては区の財政運営を厳しく注視し続けることが必要だと考えます。私たち日本維新の会の目標は、財政の健全化を進めながら、真に必要とされるべきところに適切な予算が配分されることです。この予算が板橋区にとって良い方向への一歩となることを期待しつつ、改革の進捗には引き続き注意深く目を光らせていく所存です。区政改革が積極的に前進し、より持続可能で明るい将来を築くための努力を、今後も続けていくことを望みます。

最後になりましたが、今年度をもちまして 杉山達史 健康生きがい部長寿社会推進課長、浅賀俊之 健康生きがい部国保年金課長、鈴木香奈子 子ども家庭部援助課長含め、73名の方が退職となります。長きにわたり板橋区民のために、ご尽力いただきました皆様に、日本維新の会区議団を代表いたしまして、心より感謝を申し上げます。今後のご健康とますますのご健勝をお祈り申し上げ、私からの討論を終わります。
ご清聴、ありがとうございました。