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第九話 ~哲学を見つけるための一歩~

このお話は、一人の女性が投資を理解しながら、ウォーレンバフェットの考えに触れ、自分なりの投資スタンスを確立していく物語(フィクション)です。

投稿9:哲学を見つけるための一歩

ウォーレン・バフェットについて調べた夜、かおるの胸には、これまでとは違う感情が広がっていた。投資はただお金を増やすための手段ではなく、企業や社会との「つながり」を築き、時間を味方につけて成長を見守るものだ——その考え方に、かおるは深く共感していた。

「私は今まで、効率や手数料ばかりを追いかけて、何か大事なものを見失っていたかもしれない…」


かおるは、バフェットが話す「リスク」とは、ただお金を失うことではなく、「自分が何をしているのか分からない時」に生じるものだという言葉を思い出した。

「今までの私は、自分が何をしているのか、どこに向かっているのかをしっかり考えてこなかったのかもしれない。」
かおるは、自分のこれまでの投資スタイルが、ただ効率を求め、短期的な情報に振り回されていたことを反省した。

ウォーレン・バフェットは、一貫して「理解できるビジネス」に投資し、長期的な成長を支える投資家だ。彼は、企業が一時的に困難に陥っても、そのビジネスの根幹に信念を持ち続け、時には数十年にわたり株式を保有し続ける。

「バフェットは、ただ数字や短期的な利益に目を向けるのではなく、その企業が本当に価値を提供できるかを見極めている。そして、その価値を信じて、時間をかけて育てているんだ。」
かおるは、その考え方に触れるうちに、自分の心が大きく動いていることに気づいた。

その瞬間、かおるはふと母・節子の顔を思い出した。
「お母さんが大事にしていたのは、いつも『つながり』だった…。お団子屋の店員さんとのつながりを大切にして、ただ商品を買うだけじゃなく、人との関わりを通して喜びを感じていたんだ。」

かおるは、節子の言葉とバフェットの哲学が重なるように感じた。お金を使うこと、投資をすること、それは単なる効率や数字ではなく、何かとつながりを持ち、その成長や喜びを共有するための手段なのかもしれない。

「私も、もっと自分が信じる企業や価値に投資をしたい。効率だけじゃなく、その企業や人々がどんな未来を築くのか、そこに自分も関わっていきたい。」

かおるは、これまでの「効率重視」の投資スタイルから、より深く、長期的な視点で投資を見つめ直したいという強い思いに駆られた。


その日の朝、かおるは夫の真司に話しかけた.

「ねえ、真司、ちょっと話してもいい?」
かおるは、真剣な表情で真司に向き合った。

「どうした?」
真司は少し驚いた顔をしていたが、かおるの様子がいつもと違うことに気づいた。

「実は、最近ウォーレン・バフェットのことを調べてみたの。彼が長期的な視点で企業を支え続けて、その成長を信じて投資をしている話を聞いて、すごく感動したの。」

かおるは、バフェットの哲学に触れて、これまでの自分の考え方が大きく変わりつつあることを伝えた。

真司は少し眉をひそめたが、かおるの言葉を聞いて頷いた。
「それで?」

「私も、もっと長期的な視点で、何かを信じて支えたいの。効率だけを追い求めるんじゃなくて、本当に価値があると思えるものに投資をしたいって思い始めてるの。」

真司は少し考え込んだが、やがて静かに答えた。
「それなら、やってみればいいんじゃないか?自分が信じるものに投資することも大事だよ。」

かおるは真司の言葉に、少し安堵した。自分の考えを真司に理解してもらえたことが嬉しかったのだ。

「ありがとう。もっと深く学んで、自分なりの投資哲学を見つけたいと思うの。」


その日、かおるはさらにウォーレン・バフェットについての本を読み進め、彼の考え方や投資スタイルを学び続けた。そして、自分自身の哲学を見つけるための道を歩み始めた。

次回予告
かおるがさらに自分の投資哲学を深める中で、ついに新たな学びを得るための第一歩を踏み出す。彼女が見つける次なるステップとは?


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