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第一話 ~母の幸せの秘密~

このお話は、一人の女性が投資を理解しながら、ウォーレンバフェットの考えに触れ、自分なりの投資スタンスを確立していく物語(フィクション)です。

第1話 母・節子の幸せの秘密

かおるは、毎週末になると必ず母・節子の家を訪れるようにしている。

節子は70歳で、年金生活を送っているが、いつも心から幸せそうに見える。節子は特別裕福なわけではなく、贅沢な暮らしをしているわけでもない。それなのに、いつもどこか満ち足りているように感じられるのだ。

「どうして、お母さんはいつもそんなに幸せそうに見えるんだろう?」
かおるは、節子の家で昼食を共にしながら、ふとその疑問を口にした。

節子は、にっこりと微笑みながらテーブルに並んだお団子に目を向けた。 「もしかしたら、これがその理由かもしれないわね。」

かおるは驚いて、お団子に目を向けた。小さな和菓子のひとつであるお団子が、母の幸せとどう関係するのだろうか。節子が買ってきたのは、よく見慣れたあの昔から通っているお店のお団子だった。確かに美味しいが、それがどうして節子の幸せにつながるのか、かおるには理解できなかった。

「これって、あのお店のお団子だよね?スーパーで買えば、もっと安いのもあるんじゃない?」
かおるは、ついその疑問を口に出してしまった。節子は年金生活であり、できるだけお金を節約するべきだという考えが頭をよぎったのだ。

「ええ、そうよ。スーパーのお団子は安いけど、私は昔から通っているこのお店で買っているの。」
節子は微笑んで答えた。

「お母さん、どうしてそんなに高いお団子をわざわざ買うの?」
かおるの問いに、節子は少し考えてから、静かに答えた。

「私はね、あのお店の店員さんの笑顔を見るのが好きなのよ。」
かおるは一瞬、言葉を失った。お団子を買う理由が店員さんの笑顔?それが母の幸せにつながっているのだろうか?

節子は特に贅沢をしているわけでもなく、慎ましく生活しているが、その中で何かしらの意味を見出しているように思えた。

「スーパーの方が安いから、そっちで買えばいいんじゃない?高いお団子なんて、無駄じゃないの?」
かおるは、もう一度尋ねた。しかし節子は、にこやかに首を振った。

「無駄だと思うかもしれないけれど、私にとっては、そのお団子を買うことで得られるものがあるのよ。それは店員さんとのつながり。そして、そのつながりが、私の生活にとても大切な意味を持っているの。」

かおるは、節子の言葉を聞きながら考え込んだ。母の言葉には、深い意味が隠されているようだったが、まだその全貌が見えてこなかった。ただ、お団子を買うだけのことが、母にとって大切なつながりを生み出している——かおるはその理由が気になり始めた。

節子は、慎ましい生活を送りながらも、どこか心から満ち足りている。それは、単に節約や効率を追い求めるだけではない、何か別の価値があるからかもしれない。

「次回予告:かおるの疑問が深まる中、母・節子が大切にする『つながり』の意味が少しずつ明らかになっていく。お団子に秘められた本当の理由とは?」

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