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第十二話 ~違和感の正体~

このお話は、一人の女性が投資を理解しながら、ウォーレンバフェットの考えに触れ、自分なりの投資スタンスを確立していく物語(フィクション)です。

投稿12:違和感の正体

セミナーが進む中、だいさく先生の言葉は、かおるの心に静かに響き続けていた。お金を効率的に使うことが最も重要だと信じてきた彼女だったが、その考え方が果たして自分に本当の豊かさをもたらしているのか——次第に疑問を感じ始めていた。

「お金は、効率よく増やせばそれでいいのか?効率を追い求めるインデックスファンドは、確かに手数料が安い。けれど、それだけでは何かが足りない気がする…」

だいさく先生が話す言葉に、かおるの中で芽生えた違和感が少しずつ形を帯びていく。
「お金が幸せをもたらさないと感じる理由。それは、あなたがお金をただのツールとしてしか見ていないからかもしれません。」

だいさく先生の言葉が、かおるの胸に突き刺さる。
「効率よく増やすことが大切だと考えるのは、もちろん間違っていません。でも、その先に何があるのでしょうか?お金を増やすことで、あなたが得たいものは本当に手に入るのでしょうか?」

かおるはその問いに深く考え込んだ。これまで、自分と夫・真司は、手数料の低いインデックスファンドで効率的にお金を増やそうと頑張ってきた。しかし、それによって得たものは「数字」であり、それ以上の何かを感じたことはなかった。

「お母さんは、どうしてあのお団子屋さんでわざわざ高いお団子を買っていたんだろう…」
かおるの心の中で、母・節子の姿が浮かび上がった。節子は、お金を効率的に使うことよりも、人とのつながりや日々の喜びを大切にしていた。

そして、そのお金の使い方が、彼女の人生に本当の豊かさをもたらしていたのだ。
「私にはその豊かさがない…」かおるは、自分が効率ばかりを追い求め、母のような日々の満足感や幸福感を感じられていないことに不安を覚え始めた。

もしかしたら、自分のお金の使い方が間違っているのかもしれない。もっと別の視点でお金と向き合うべきなのではないか——その考えが、かおるの中で大きく膨らんでいった。

「お金は単なる手段ではなく、私たちが何を信じ、何に価値を見出すかを反映するものです。」
だいさく先生の言葉に、かおるははっとした。お金を通じて、どんな価値観を大切にしているのかを自分に問う必要があるのだと気づいた。

「私が今まで信じてきたものは、ただ効率や数字だった。でも、それで本当に自分が豊かになっているのだろうか?」
かおるの中で、自分の考え方に変化が生まれつつあった。

「お金を使うこと、投資をすること、それはただの利益を得るための行為ではありません。それは、あなたが何に価値を感じ、その価値をどのように支えていくのかを示す手段です。」
だいさく先生は、まるでかおるの心の中を見透かすかのように語り続けた。

かおるは、自分が追い求めてきた効率主義が、ウォーレン・バフェットが説いていた「企業とのつながり」を無視していたことに気づき始めた。彼女がバフェットの哲学に感動したのは、ただ利益を追うのではなく、時間をかけて信じる企業と共に成長していくという考え方だった。今の自分の投資スタイルには、その要素が欠けていたのだ。

「私が大切にしたいものは何だろう?どんな企業や価値を支えていきたいのだろう?」
かおるは、自分の中に新たな疑問が浮かび上がってくるのを感じた。

セミナーが進むにつれ、だいさく先生の言葉は、かおるにとって大きな気づきをもたらしていた。お金と幸福の関係について、そして自分の投資スタイルに潜む違和感の正体を一つずつ解き明かすような内容だった。

「次回予告:だいさく先生の言葉に導かれ、かおるはお金と幸福の関係についてさらに深く探求していく。お金の使い方を見直すことで、彼女が見つける答えとは?」



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