第二十八話 ~応援する企業と暴落時の選択(2)~
このお話は、一人の女性が投資を理解しながら、ウォーレンバフェットの考えに触れ、自分なりの投資スタンスを確立していく物語(フィクション)です。
投稿28:応援する企業と暴落時の選択(2)
だいさく先生は穏やかに続けた。「あなたが応援しているファンドだからこそ、暴落時にその信念が試されるんです。逆に、ただお金を増やすことだけを目的にしている投資スタイルだったら、売りたくなりますよね。だって、応援しているわけではなく、単にリターンが欲しいだけなら、下がったら売る。それが自然な反応です。」
かおるはハッとした。「確かに…もし応援していない企業だったら、今すぐ売ってしまっていたかもしれない。」
だいさく先生はさらに深く話を続けた。「バフェットも同じように、応援する企業に投資しているんです。彼も短期的な市場の動きに動揺せず、長期的な視点で企業を見守り続けています。あなたが今そのファンドを持ち続けることで、バフェット流の投資スタイルに近づいているんです。」
かおるは、その言葉に心がさらに落ち着いていくのを感じた。
「私、今までの市場の動きに振り回されすぎていたかもしれません。でも、今ならわかる気がします。応援している企業なら、この暴落も一緒に乗り越えられるって。」
だいさく先生は穏やかに微笑んで言った。「そうです。応援する企業とのつながりがあると、ただの数字の上げ下げじゃなくなるんです。自分が応援している企業を信じ、その企業が困難を乗り越えた時の喜びは格別です。そして、それがバフェットの投資スタイルでもあるんです。」
かおるは、だいさく先生の言葉をじっくりと噛みしめた。
「エリスも言っていましたね。株価の変動で売買を繰り返すと、負ける。だから、ここで引き上げてしまったら、私はその『敗者のゲーム』に加担してしまうことになるんですね。」
だいさく先生は頷いた。「そうです。今あなたが感じているのは、バフェット流の投資があなた自身に影響を与えているということです。市場の一時的な波に揺れるのではなく、信じて応援を続ける。これが本物の投資です。かおるさん、あなたの投資スタイルは確実に変わりつつあります。」
かおるは、自分の中に生まれている変化を強く感じた。
「次回予告:かおるが自分の信じた投資を続ける決意を固め、企業応援の本当の意味を理解する時が来る。」