第二十一話 ~企業調査とアクティブファンド(1)~
このお話は、一人の女性が投資を理解しながら、ウォーレンバフェットの考えに触れ、自分なりの投資スタンスを確立していく物語(フィクション)です。
投稿21:企業調査とアクティブファンド(1)
かおるは再びだいさく先生のセミナーに参加した。今回のテーマは「企業調査とアクティブファンド」。前回のセミナーで企業選定の難しさに気づいたかおるだったが、まだ道を模索している最中だった。
だいさく先生はホワイトボードに向かい、バフェットの企業選定基準を丁寧に説明し始めた。
「まず、バフェットが企業を選ぶ際に重視しているポイントは、持続的な競争優位性です。これは、他の企業が簡単に真似できない強みを持っていること。次に、ビジネスモデルがシンプルで理解しやすいこと。複雑すぎるビジネスは、経営環境が変わるとリスクが増大します。そして、優れた経営陣がしっかりと会社を運営していることが重要です。そして、最後に、適正な価格で購入することが大切です。」
受講生たちはメモを取りながら、真剣に聞いていた。
しかし、だいさく先生は続けた。「とはいえ、バフェットのように自力で企業を調査し、選び抜くことはすぐにはできません。残念ながら、これには多くの経験と知識が必要です。皆さんが今すぐ自分で企業を選定して投資するのは、少し難しいかもしれません。」
その言葉に、セミナー会場には静けさと、がっかりした空気が漂った。受講生たちは、バフェットのように自分で企業を選びたいという思いを抱いていただけに、期待が少し落ちているようだった。
その中で、かおるは手を挙げ、口を開いた。
「先生、私も企業を探すのが難しいと感じているんです。でも、最近自分の好きなものを考えたとき、ジョンソン・エンド・ジョンソンやディズニーが頭に浮かびました。ジョンソン・エンド・ジョンソンは、私の投資信託に含まれていた企業だし、ディズニーは家族の思い出がたくさん詰まっている場所です。」
だいさく先生は、かおるの言葉に反応し、柔らかな表情で言葉を返した。
「それは素晴らしい視点ですね、かおるさん。そのアプローチはまさに、投資の大切な第一歩です。自分の好きな企業に目を向け、その企業とどうつながるかを考えるのは、投資家として重要な姿勢です。」
その言葉に、会場の雰囲気が少し明るくなり、他の受講生たちも興味深げにかおるの話に耳を傾けていた。
だいさく先生は続けた。「そこで、今日はアクティブファンドについてお話ししましょう。アクティブファンドは、各ファンドが独自の企業選定基準を持っています。つまり、ファンドマネージャーという専門家が、徹底的な企業調査を行い、選び抜いた企業群が組み入れられているのです。皆さんが今すぐ自力で企業を選べなくても、アクティブファンドなら、その専門家の知識と経験を活用しながら学んでいくことができるんです。」
「次回予告:企業を探すのではなくアクティブファンドを探す?その意味とは!」