第十九話 ~企業選定の難しさと挫折~
このお話は、一人の女性が投資を理解しながら、ウォーレンバフェットの考えに触れ、自分なりの投資スタンスを確立していく物語(フィクション)です。
投稿19:企業選定の難しさと挫折
セミナーが終わった後、かおるは自宅に戻り、今までの投資スタイルを見直そうと決意を固めていた。バフェットのように、企業との「つながり」を大切にする投資を目指すために、どの企業に投資すればよいのかを探し始めた。
しかし、現実はそう簡単なものではなかった。かおるはパソコンの前に座り、ネットでいろいろな企業を調べ始めたが、どれもピンとこない。バフェットのように、長期的に支え続けられる企業を見つけるのは簡単ではなかった。
「バフェットは、どうやってこんなにたくさんの企業の中から選べたんだろう…?」
セミナーでだいさく先生が話していた、バフェットの企業選定基準が頭をよぎった。
バフェットは、企業を選ぶ際にいくつかの重要な基準を持っている。まず第一に、その企業が持続的な競争優位性を持っていること。つまり、他の企業には真似できない強みを持っているかどうか。そして、その企業のビジネスモデルがシンプルで理解しやすいこと。さらに、優れた経営陣がしっかりと経営をしていることも重要だ。そして最後に、適正な価格で購入できることが鍵となる。
「バフェットが求めている条件って、どれも難しいな…。こんなに厳しい基準で企業を探すのって、すごく大変だ…」
かおるは、自分がいかに今まで「手軽さ」や「効率性」に頼っていたのかを痛感した。これまでインデックス投資に集中していたのは、ある意味で
「楽」だったのかもしれない。
「私が本当に投資したい企業って、どこにあるんだろう…」
かおるは深いため息をつきながら、YouTubeやインスタに目を向けてみた。そこには、相変わらず短期的な利益を追求する情報が溢れていた。
「この株が今熱い!」「急騰の兆し!」「今が売り時!」
そんな言葉が画面いっぱいに流れ、かおるは愕然とした。
「こんな情報ばかり見て、何を信じて投資してきたんだろう…」
これまで、かおるは多くのインフルエンサーや動画で情報を得ていたが、そのほとんどが短期的な利益を追い求める内容だった。今のかおるなら、そういった情報の脆弱さを簡単に見抜ける。
「私は、もっと長期的に見て、企業とつながる投資をしたいのに…。これじゃあ何も見つからない…」
頭を抱えているところに、夫の真司がリビングに入ってきた。
「まだ起きてたのか。どうしたんだ、そんなに悩んで?」
かおるは真司の顔を見て、少し迷いながらも自分の葛藤を打ち明けた。
「バフェットみたいに、長期的に応援できる企業を探してるんだけど…どれを選んでいいのか、さっぱりわからなくなってきたの。」
真司は少し考え込んでから、優しく微笑んだ。
「それだけ真剣に考えているんだな。正直、俺はインデックスが一番だって今でも思ってるけど、かおるが頑張ってるのはすごく分かるよ。俺、お前がそうやって真剣に向き合ってる姿が好きなんだよな。」
かおるは、真司の言葉に少しほっとした気持ちになった。
「ありがとう。でも、思った以上に難しいよ…。バフェットがやってることって、本当にすごいんだなって、改めて感じてる。」
真司はそっとかおるの肩に手を置いて言った。
「大丈夫だよ。少しずつ進めていけばいい。お前は自分で道を見つけようとしている。それがすごく大事なことだと思うよ。」
かおるは、その言葉に励まされながらも、まだ自分の中で答えが見つかっていないことに焦りを感じていた。
「バフェットみたいな企業を見つけたいけど…見れば見るほどわからなくなってくる。みんな短期の利益ばかり求めてる。でも、私がやりたいのはそういうことじゃない…」
真司はかおるの気持ちを理解しつつ、そっと背中を押すように言った。
「焦らずに、じっくり考えてみればいいさ。お前が信じられる企業は、必ず見つかるよ。俺は、そんなお前を応援してる。」
かおるは真司の言葉に励まされながら、もう一度自分の目指すべき投資スタイルを見つめ直すことに決めた。しかし、バフェット流の投資スタイルを実現するための道のりは、思った以上に険しいものだと感じ始めていた。
「次回予告:かおるがさらにバフェット流の投資スタイルを追求するために、次のセミナーに参加。だいさく先生との対話が新たなヒントをもたらすか?」