③抗がん剤治療の選択
2023年7月7日~
【診断~抗がん剤治療の選択】
退院から1週間ほどした7月7日、病院から病理検査の結果が出たという電話連絡があり、その日のうちに病院に行った。経過観察で問題ないだろうと謎に楽観視していたが、検査結果は、まさかのTis2に近い1でNはギリギリつかない(医師によってはつけてもおかしくないレベル)感じということだった。ただ、セミノーマというタイプであったことは不幸中の幸いだった(非セミノーマというタイプだと治療も色々と厄介になってくるとのことだった)。ステージでいうと2に限りなく近い1という感じとのことだった。リンパ節に広がっている可能性が疑われる影(1センチあると転移でNがつくけど一番長いところで9ミリ位という判断微妙な感じのもの)が見つかったという説明を受けた。
精巣がんの病期(ステージ)分類についてはこちら参照。
https://www.ncc.go.jp/jp/information/knowledge/Testicular/002/index.html
正直、転移の可能性などほとんど考えていなかったが、ここで初めて経過観察なのか治療なのかこういう選択を迫られることになった
10年間ほど再発の可能性におびえながら高頻度で毎回検査して過ごすのか、それとも抗がん剤治療に踏み切るのか。このときはじめてBEP療法という言葉を医師から聞いた。はじめて聞いた時は検索もできず別府療法?なんだベップってとか思っていた。
BEP療法とは、ものの説明によると
最初に行う最も標準的な抗がん剤治療で1コース3週間で3~4コース行うことが一般的で、ブレオマイシン・エトポシド・シスプラチンという3つの抗がん剤を併用する治療法。主に胚細胞腫瘍(精巣腫瘍、卵巣腫瘍、性腺外腫瘍)などの治療で使われる。
・ブレオマイシン (Bleomycin)は抗がん性抗生物質の一種で、DNA の合成を
阻害したり、DNA を切断する。
・エトポシド(Etoposide)はトポイソメラーゼ阻害薬の一種で、DNAの複
製を阻害する
・シスプラチン(cisplatin : CDDP)は白金製剤の一種で、DNAの二重らせん
に結合してDNAの複製を阻害する。主な副作用は、嘔気や嘔吐、口内炎、
食欲不振などの消化器症状や脱毛、骨髄抑制(白血球や血小板の減少、貧
血)等がある。
その他、注意すべき副作用として、シスプラチンによる腎機能障害、ブレオマイシンによる間質性肺炎(肺線維症)がある、
という感じのもの。
スケジュールなどはこちらが分かりやすかった。抗がん剤以外にも色々と投与する。
https://www.kango-roo.com/learning/4131/
ネット上の体験談などを見ると、相当しんどそうである一方で、やってしまえばかなりの高確率で効果が期待できる王道の治療法らしいということが伺えた。癌の中では、圧倒的に治療法が確立されていて効果も期待できる、効果がありすぎてそれ以上研究開発もされず40年位前から変わっていないような治療法らしい(素人的にはそれはそれで大丈夫なのか、という気もするが)。
幸い、高校の部活の同級生、先輩後輩に医者がたくさんいたので、皆に色々と意見を聞くことができた。ちょうど泌尿器科の後輩もいて直接電話でざっくばらんな意見を言ってくれたり、泌尿器科でなくても、周りのドクターに聞いてくれたりして、非常にありがたかった。
最終的には、ほぼ転移に近いような影がCT画像に写っていたことも踏まえ、BEP療法を受けることにした。
なお、BEP療法以外に放射線治療などもなくなないが、色々と話を聞いた結果、自分の場合はあえてBEP療法を避けて放射線治療を選択する理由はないと判断した。
幸い癌の中でも標準治療が確立されていて、抗がん剤治療がよく効く部類で、治療さえすればまず死ぬことはないということがわかったので、その点はあまり心配することはなかった。懸念は長期入院の間の仕事と治療のつらさへの不安のみでらそれも「まあ、死ぬことはなさそうだからなんとかなるか」と開き直れた。他の癌だとまた心境は違ったと思う。
余談だが、BEP療法をする場合、精子凍結をすることなども検討することになり、医師にどうするか聞かれた。自分の場合は既に3人子供いるので、不要かなと思いつつ、念のため妻に確認しますと伝えたが、妻には「いや、さすがにもういいでしょw」と一蹴された。杞憂であった。
治療の開始は、そこまで一刻を争う必要はないとのことだったので、仕事の調整や長期入院前に娑婆(?)を楽しんでおこうということで、少し先の9月3日からとした。
8月は家族で外出や旅行に行ったり、ゴルフに行ったり、趣味の柔術の練習をしたり、美味しいもの食べたりと、大いに満喫した。ゴルフは手術したのに初めてスコア90を切る(89)など好調だった。よくロストボールしたけどスコアはよくなったと自虐ネタしていた。ネタ的にはあと数年は使えそうである。
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