2024年中日ドラゴンズドラフト指名戦略(2)ドラゴンズ戦力分析2024ver
前置き
前章で中日ドラゴンズの「ドラフト戦略」の良くない部分にフォーカスしてきた。
この章ではいよいよドラゴンズにはこの選手が必要だ!と選手を紹介していきたいところだが、その前に2024年のドラゴンズについて分析していきたい。いき…
「え?ドラフトは戦力補充のためにやっちゃダメなんじゃないの?」
おっしゃる通り、前章で私はドラゴンズはドラフトに関するスタンスとして、来年への戦力補充の割合が大きすぎることを問題点としてあげた。ドラゴンズは近年、指名候補者を事前に絞り込み、該当選手が指名される前に指名するという、「決めつけ&繰り上げ」を繰り返す傾向にあり、編成破壊につながってしまっていると言わざるを得ないのだが、かといって戦力フル無視の指名をするわけにはいかない。
また、ここでの分析は戦力的な分析ももちろんだが、年齢やタイプを考えて同タイプの選手の指名を避けるといった意味合いの分析の要素もある。例えば、いくら評価が高かろうと、今のドラゴンズに身長170cm台の守備走塁型内野手は、龍空幹也辻本とまるかぶりであることから必要ない(もう少し正確に言えば、優先順位はかなり低い)といえる。「そもそも去年の辻本も田中幹也とタイプもろ被りだろうが!3位っておかしいだろ!」と言いたくもなる。皮肉なことにドラゴンズはここ数年のある意味いびつな指名から、ある程度制約のかかったドラフトを強いられることになることからも、戦力分析を行う必要性大なのだ。(そもそも、今年もそういうドラフトから急にミーハー路線になるとは考えづらいというのもあるのは内緒)
さて、私は去年冬から就活に追われてきた(急に何の話?)のだが、その際にどの面接官からも、「結論から話せ!」と言われ続けてきた。どうも私は結論の前に前置きをグダグダ話す傾向があるようなので、さっさと私が思うドラゴンズの弱点、補強ポイントを発表しようと思う。
①即戦力先発投手(複数枚)
②中堅を一定水準で守れる左打アスリート型外野手
③天井の高い高卒投手
④スラッガータイプの高卒内野手
⑤即戦力捕手
ざっとあげると上の5つになると考えていて、優先順位としては番号が若い方が高いと考えてほしい。まずは投手と野手に分けて今の中日の戦力や姉例分布について考えたのちに、なぜこの順序になったのかについて後の方にて解説していきたい。
戦力分析~投手編~
①能力面
投手の新助っ人補強はなし、昨オフでの投手補強はドラフト投手のみにとどまるなど、23年からほとんど顔触れが変わらないまま挑んだ24年シーズンであったが、これまで先発陣を支えてきた柳裕也、怪我明けの大野雄大の不振や根尾、仲地ら若手投手陣の伸び悩みもあって先発陣はかなり苦しい状況に陥った。だからもっと先発を補強しろとあれほど…リーグ平均防御率が2点台であることを考えると、高橋以外の先発陣はおおむねマイナス、イニング数の上位にベテランの松葉や涌井が入ってきており、梅津やメヒアといった4点台の投手でも70イニングを消化せざるを得ないなど、壊滅的状況であった。数少ないポジ要素としては高卒4年目の松木平が支配下登録を勝ち取り、1軍でもプロ初勝利をあげて1.2軍合わせて150イニングを投げ切るタフネスぶりを見せたことくらいだろうか。一方で中継ぎ陣は安定の盤石ぶりを見せ、清水、斎藤、マルティネス、松山、橋本が防御率1点台をマークした。このように戦力的に考えると豊富な中継ぎに対して先発が明らかに不足しておりいびつな形となってしまっている。
小笠原のメジャー移籍、マルティネスが退団濃厚な今オフは投手補強は必須であり、2人が一軍で今季投じた約200イニングをほかの投手と新戦力投手で負担しなくてはならず、イニングをある程度食えそうな先発投手は必ず上位指名で複数人押さえておきたい。
ドラフト外でいえば
①橋本、藤嶋、勝野らの先発再転向
②新外国人の補強
③仲地、根尾、福田ら若手投手陣の躍進
といったテコ入れや選手の成長に期待というところだろうか。
②年齢面
前章でも触れたとおり、そもそもこの3年間のドラフトでは先発タイプの投手の獲得が少なく、それに伴い若手先発の数自体が少なくなっている。22年ドラ1の仲地は23年には99.2イニング(1軍で43.1,2軍で49.1)→24年には49.0イニングと怪我の影響からイニングを稼げずにいて、24年ドラ1の草加はトミージョン手術の影響から24年は全休となり、同じトミージョン手術を受けた他投手の手術後経過を見るに来期も開幕から稼働することは難しいだろう。先発ローテを考えても高橋と柳の間(年齢)の先発陣が伸び悩んでいることからも、大卒もしくは社会人での先発補強は必須といえる。
また、20以下の支配下投手は高卒1年目の福田のみとなっており、将来性が期待できる高卒投手は下位指名でもよいので獲得しておきたいところだ。
一方で中継ぎ陣は主力が24-27歳に固まっておりシーズン途中には斎藤をリフレッシュのために二軍に落とす余裕があるなど、年齢バランス的にもあまり困ってはいない。仮にマルティネスが退団したとしても今季成績から考えれば清水や松山で代わりは効くと考えると、橋本、藤嶋、勝野の2名以上を先発転向させるのであれば多少補強が必要な程度で、助っ人外国員でも補いやすいポジションであることも踏まえると優先度はかなり低い。しいて言うのであれば、左右バランスを見ると左腕の数が先発中継ぎ共に少なく、怪我明けの森山が来年はイニング数を増やせるとみこんでも、左腕は優先的にドラフトでも獲得するべきで、余裕があれば中継ぎタイプの左腕を獲得してもという程度にとどまる。結局補強面では、「先発×中継ぎ◎じゃ宝の持ち腐れなので先発陣何とかしましょう!」ということだ(聞いてるか編成部)
戦力分析~野手編~
①能力面
昨年の野手陣からドラフトで二遊間候補の津田辻本、自由契約選手から板山山本上林中島、巨人から中田翔、新外国人ではディカーソンなど各ポジションをまんべんなく補強して臨んだ今シーズンは、レフト、サード、ライトでポジション別OPSが7割を超えるなどホットコーナーの打力面では改善傾向を見せた。(なお補強選手板山と山本が貢献したくらい) やはり打の中心は一昨年オフに現役ドラフトで加入した細川成也で、打撃3部門でセリーグ上位にランクインしセリーグを代表する打者に成長した。生え抜きの若手では22年ドラフトで加入した福永、村松、田中がブレイクしそれぞれサード、セカンド、ショートを担い、外野では2年目のカリステが内野とのユーティリティーをこなしながら及第点の打力でチームに貢献した。捕手は期待の石橋がいまいち出場機会を増やせず、木下、加藤、宇佐見といった中堅捕手が出場機会を分け合う形となった。立浪監督にとって誤算だったのは、期待の中田翔と不動のレギュラーと目されていた岡林がなかなか調子を取り戻せず苦しんだことだろう。得失点差チーム戦力でも彼らがメインを担う一塁手と中堅はマイナスの値が大きくなっていることがわかる。(もっと石川使えよ)
②年齢面
総じてみるとドラゴンズの野手陣は一定水準以上の働きを見せている。また若手の台頭もあって、チーム野手WARもセリーグ3位の値を記録するなど昨年に比べて大幅な戦力アップにつながった。(昨年はリーグ最下位)
また主力野手も細川を筆頭に村松・岡林・石川昂・福永と20代前半~中盤が多く、今年の市場を踏まえても野手補強の必要性は相対的には低下しているといえる。
内野手は前章で触れたとおり過剰なほどピックしている(21~23に何人内野手いるんだよ編成は何をかんが…)ことから即戦力の補強は必要ないが、長距離型のホットコーナーを担うプロスペクトは不在のため、5年後の中軸を担えるような大型野手の獲得は行いたい。
外野手に関しては、中堅のマイナスは来期岡林が改善を見せれば大丈夫だと思いたい反面、岡林に発破をかけつつ併用もできるようなアスリート型でかつ、細川を左翼もしくは一塁に回せる(ポジション別得失点を見ると右翼の得失点が平均程度で、これは細川の守備でのマイナスが大きいからだと考えられる)ような強打の外野手が上~中位で残っていれば獲得に動きたい。また、年齢が近い鵜飼ブライトとは差別化を図れるよう左打の外野手であることが望ましい。捕手は今年メインでマスクをかぶった木下加藤宇佐見は全員30overと高齢化傾向にあり、石橋が伸び悩んでいることからも編成の穴を埋められるような即戦力型の捕手は下位指名で押さえておきたいところだ。
総括
まとめると、投手は先発陣の穴を埋められる即戦力投手を複数枚確保しつつ高卒投手を一枚、野手は即戦力型の外野手・捕手を獲得しつつプロスペクト候補の大型野手を指名できればベストという形になる。WARなど各種数値を見ても明らかな戦力的な穴としては先発候補の質・量面での不足である。柳の復調飲みに期待するのは明らかに酷であり、上位3名のうち2名は即戦力型の投手に行くのがマストであり、市場に豊富に存在する高校生投手もひとりは確保したい。野手に関しては木下が残留するのであれば最悪捕手問題は後回しにできる(来年明治の小島あたりを一位で指名しても面白そう)ことから、即戦力外野手とスケールの大きい高校生野手1名の指名が優先度としては高いだろう。
本章をまとめると、中日の指名は支配下6人であれば投手4野手2で、7人であれば投手4野手3が妥当なラインであり、補強ポイントとしては、
①即戦力先発投手(複数枚)
②中堅を一定水準で守れる左打アスリート型外野手
③天井の高い高卒投手
④スラッガータイプの高卒内野手
⑤即戦力捕手
という上でも挙げた順番になるのだ。
ということで、やっとドラゴンズの補強ポイントについても明らかになったところで、中日のドラフト戦略について次章で複数の指名パターンまで踏まえて考察したい。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。ぜひコメントもお願いします!