庵野作品ヒロインの魅力について
昨日に続き、シン仮面ライダー発の考察記事を書きます。
庵野作品の、主人公&ヒロインはいつも…
ヒロインが強く、主人公を引っ張っていく存在になっている気がします。庵野さんの初監督作品といえば88年のOVA「トップをねらえ!」で、これにはそれほどその色はないのですが(強いて言うならコーチとカズミが近い)、次のナディア、エヴァ、更に原作ものですが彼氏彼女の事情に至るまで、いつも女性の強さが際立っていますよね。
これは庵野さんの好みというか、ご自身が奥手ゆえに願望が出ているのでは、と推測しています。ご夫人であるモヨ子さんも「私がついててあげなきゃ、と思った」とNHKのプロフェッショナルで仰っていましたし、当たらずとも遠からじではないでしょうか。
私自身も思春期にエヴァを観て影響を受けた人間なので、シンジとアスカの「主人公&ヒロイン像」こそが理想形だと感じています。
元々それが好きなのか、エヴァの所為で好きになったのかはもうわかりません。ですが家庭環境もあり、女性が強い方が世の中は上手く回る、とさえ思っています。
「シン」シリーズのヒロインを見ていくと
まず、シン・ゴジラの矢口&カヨコですね。
まぁまずこの映画は恋愛要素や人間関係の描写をとことん排してあくまで「仕事仲間」な部分のみで進む物語だったので、カヨコを「ヒロイン」というのは若干語弊がある気もしますが、仮に恋愛要素があったとしたら対象になるのはこの二人で間違いないと思います。ゴジラ対策のリーダーとして未曾有の事態に果敢に立ち向かう矢口と、祖母の母国を守りたいと願うカヨコの心が通じ合っていたのは、ラストシーンに写し出されています。
続けて、シン・ウルトラマンの神永と浅見。
カヨコもそうですが、バリバリのキャリアウーマンで行動力もある浅見弘子。外星人が翻訳装置を持っていると言えば即座にロシア語で話しかけるなど、博識かつ頭の回転も非常に早い女傑です。
対して神永は彼女と出会った時にはウルトラマンと一体化済み。地球の事を勉強中で会話がかみ合わなかったりしますが、「バディ」という単語優先で連携を取っていきます。バディと呼ばれて口元が緩んだり、最終的に浅見さんが神永に恋愛感情を持っていたのは疑いようがないと思います。
この映画は彼女の「お帰りなさい」で幕を閉じます。純然たるヒロインと言っていいでしょう。
そして、シン・仮面ライダー。
本郷猛と緑川ルリ子です。
この二人は、これまで「シン」シリーズが描いてきた主人公&ヒロインの集大成とも言うべき関係性ですね。
公開が始まったばかりなので、あえて詳細は語りませんがまさに主人公を引っ張っていく「強い女性」の姿がそこにはありました。
強い女性、とは
先述した通り、私は庵野作品のヒロイン像がとても好きで、振り返ってみれば自作の脚本もほとんどが女性主人公、かつ能動的に動くキャラクターばかりです。あくまでも持論ですが、女性が舵取りをしつつ男が力仕事を担う形が、社会を円滑に回す秘訣ではないかと思っているんですね。
近年、ジェンダーフリー、ジェンダーレスといった言葉が飛び交い、性差を無くすべきという方向に世の中が動いているように見受けられます。
そのこと自体は良い傾向だと思いますが実態として意見の衝突が散見され、その内容が差別的な罵り合いに終始しているように見えるのは由々しい問題ですね。
一つの社会問題ですし長々と語るつもりはありませんが、男性が女性を、女性が男性を尊重する気持ちを忘れてしまっては「平等」はありえません。まずその土台のために「男らしさ」「女らしさ」は必要だと思いますね。
庵野作品における「強い女性」達は、共に戦う男を尊重しています。認めているからこそ、共に戦える訳です。
「男性的」「女性的」の上に成り立つ、格好良い女性であって頂きたいし、その女性の為に働く男性でありたいとも思います。