バイクシーンでは風を感じたい、と思う仮面ライダー談話
「映画鑑賞記録ノート」というものを持っていまして、映画の半券を貼り付けています。たまに、「この頃はメチャクチャ通ってたな」「あれからもう3年か…」的に見返す、いわばアルバムのようなものなのですが、それを見ているとちょうど一周年だったものが目に留まりました。
都会の特権、贅沢鑑賞
TOHOシネマズ新宿で、シン仮面ライダーのMX4D版を鑑賞してからちょうど一年が経っていました。映画に合わせて座席が動く、いわば遊園地のアトラクションの様なやつですが、地元(香川県)にいた頃は縁がなかったものですから、こちら関東圏、都会に出てきたからこそ味わえる楽しみだと思っています。
値段もお高めではありますが、あのシステムとメンテナンス等の手間を考えれば納得もいきます。基本的に映画鑑賞は静かに、落ち着いてやりたい派なのでこういうのを好んではいないのですが、この映画のように何度も繰り返し観ているものならアクセントとしてこの形態で観てみるのもまた一興、といった感じです。
初めてのMX4Dは実に8年前、同じく新宿で観たシン・ゴジラだったと思います。冒頭の海から現れるシーンで水飛沫がかかってきたり、ゴジラが背中にMOPⅡを受ける場面で背中にゴツゴツと当たるものがあったり、凄いと思いつつ笑ってしまうものもありました。…特に後者は、「俺がゴジラなのか!?」とツッコまざるを得なかった(笑)。
面白い、けど向き不向きは有り
しかしこの4Dによる映画鑑賞、やはり作品によって合う・合わないはあります。仮面ライダーアマゾンズの完結編もこれで観たのですが、嗅覚に訴える演出が悪趣味だなと思っただけで特に驚きも無く…という感じでした。
なら、同じ仮面ライダーであるシンはどうだったんだ、という話ですがこちらは良かったんです。
何が違うのかといいますと…もちろん、「バイク」です。
個人的に今まで観た4D作品で一番良かったのは一昨年のトップガン マーヴェリックです。言うまでもなく戦闘機とこの鑑賞形態の相性は理想的なものでした。やはりスピード感を味わえるのが一番の醍醐味なんですね。
シン仮面ライダーと近年のライダー作品の違いはバイクシーンの多さです、というかニチアサライダーはもうほぼバイクに乗らないですからね、特にテレビの方では。
そして、ただバイクに乗ればいいというものでもなく、劇中で本郷が言うように「風を感じさせて」欲しい訳です。私も地元にいた頃バイク移動でしたので元・ライダーとして実感するのですが、バイクはとにかく風が気持ち良いんです、冬は寒くて嫌ですけどね(笑)。
ただ車輪の付いた鉄の塊に跨っている、だけではなく時速100Km近く、またはそれ以上のスピードが出ていることを画面を通じて見せることがバイクシーンの肝だと思っています。仮面ライダーがマフラーをしている理由はそこにあると思っていて、明言こそされていませんが庵野監督の解釈もおそらく一致していると信じています。この初変身シーン、メイキングで見ると普通に走っているだけですがカメラワーク、SEによって凄まじい速度に見せています。…そう、風を感じるんですね。
私自身この映画のトップ3に入る好きな場面でもあり、また4Dで観る意義のあった珠玉のシーンでした。
「改造人間」であるがゆえの変身の空気
そして、元祖変身シーンも見返してみて思いましたが、やはり仮面ライダーの変身は他のヒーローとは若干毛色が違うな、と改めて思いました。
音楽が不穏だったり、「来たぞ来たぞ」というよりは「また、変わってしまう」的な重さがあります。ただ強くなったぞ、主役の出番だぞ、では括れない悲壮感を感じさせるんですね。シンでは勢いが付いていてその不穏さは薄れていましたが、人間の姿から再び怪人に…という部分をしっかり強調していたので、やはりしっかり原点を受け継いでいると思います。
本当は変身なんかしたくない、だが悪の組織を許す訳にはいかない。
これは、戦う力を持ってしまった人間の心情としてリアルなものだと思います。最初にシン仮面ライダーを観た時に「この本郷猛、弱々しいけど大丈夫か?」と思いましたが、今思えば、彼の反応や戸惑いは至って普通なんですよね。バイクが趣味で野宿が得意、なんて部分はギャップがありましたが、それも魅力です(笑)。
もう仮面「ライダー」のところが名前だけになってしまっている感じはありますが、出来ればバイク乗りな部分をもっと前面に押し出していって欲しいな~と感じる、いちファンの願望でした。
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