庵野秀明展を振り返って…皆で「これが良い」を共有する楽しさ
10月27日、シン・ゴジラのモノクロ版「シン・ゴジラ:オルソ」の上映+山崎貴監督と庵野監督のトークショーが行われるそうで、私もチケットを取りました。
シン・ゴジラを劇場で観るのは、2018年のIMAX総選挙の時以来なので5年半ぶりになります。
「続編」「シリーズ」から解き放たれたゴジラ
これはもちろん一週間後に控える新作ゴジラ-1,0の販促としてのイベント上映なのですが、各々繋がりのない単発作品であり、ゴジラという共通項があるのみなんですね。
振り返るとゴジラ映画は基本的にはどれも単発で、物語が繋がっているようでも特にそれを意識せずに観られる作品になっています。色濃く繋がっていたのは最初から三部作構成だったアニメ版くらいでしょうか。しかし根底には「ゴジラシリーズ」という連作の意識があったためか、毎年新作が出ていた頃はゴジラと新しい怪獣が戦う、これを繰り返していただけで個々に独自の試みは感じられないものでした。
そうして低迷していき一度は終わったゴジラが国産映画として息を吹き返したのが7年前のシン・ゴジラ、その成功を受けて今回登場するのが-1,0。それぞれ独立した作品として、過去作に囚われないものになっているのは映画として健全な傾向だと思います。
庵野秀明展で観た「観客目線」
二年前、「庵野秀明展」での写真を整理していました。
エヴァとその他、みたいな展示かと思っていたら、特撮絡みのものがエヴァ以上にあり、やはりこの人は自分の好きな特撮作品のテイストをアニメのフィルムに描いていた人なのだな、と再認識しました。
絵コンテを描かず、街の模型を作り画を探していく。
あまりにも特殊なやり方で芸術家気質を感じますが、もっと平たく考えるとミニチュアが好きなんだな~と捉えられます。今やビッグネームの庵野監督ですが、自分の好きなものを最優先する「子供」の部分が失われておらず、そこが魅力なのだと再認識しました。
決して多作な監督ではなく、自分の好きなものを納得がいくまで研摩する。このスタイルで生まれた自身の好きなもの達が、同じくそれを好きな世の中の人達に共鳴していく。エヴァ以外の近年の作品はゴジラ、ウルトラマン、仮面ライダーと有名IPの第一作を現代に蘇らせたものですが、そこに監督自身の「これがいい」が根付いている観客目線。要はただのいちファンである部分を、展示された資料から感じ取れました。
最新作を、どう褒めてくれるのか
個人的に庵野監督の好きな所として、自分以外の作品を貶さない、というものがあります。「いい、いい」と言及する時は基本的に褒める人です。明日のトークショーも山崎監督のゴジラをきっと、絶賛するのだろうなと予想しています。自身が昭和29年のゴジラを平成28年仕様にして世に出したように、令和5年版初代ゴジラを楽しみにしているのでは、と思います。大物監督でありながらお客さんの立場で登壇する明日のイベント、楽しみです。もちろんモノクロで観るシン・ゴジラも期待しています。