「ゲーミングお嬢様」を読み終えて
「ゲーミングお嬢様」第七巻(最終巻)を読みました。
いやぁ~最後までヒドかったですね(笑)。
ネット時代が生んだ怪作
これは、知らない方の為に説明しますと、ジャンププラスで連載されていたギャグマンガで、格闘ゲーム(主にストリートファイター5)をプレイする女子達の切磋琢磨を題材にしています…が、他の格闘ゲーム関連漫画と一線を画する部分がありまして、
キャラが実在のプレイヤーをモデルにしている
というところなんですね。主にスト5なので、ときど氏、マゴ氏、sako氏といった辺りをモチーフにした「お嬢様」が出てきます。作中の使用キャラやプレイスタイルもそれに準えていて、現実のeスポーツシーンを知っていればいるほど笑えるポイントの多い漫画です。裏を返せば、それらが解らないと何が何やら、なニッチ過ぎる作品でもあります。
かつてはコロコロコミックなどで「ゲームをプレイする少年」の漫画が色々ありましたが、それらが性質を変えに変えた変異種といってもいいかもしれません。私はストリートファイター大好きな古参プレイヤーで、eスポーツシーンのファンでもありますからこの漫画はとてもツボに入っており楽しんでいました。ですが、あまりにもゲーマーとしての内輪ネタが多い事から、「ここまでネット掲示板のノリを持ち込んで、どれくらいの人がついて来られるのだろう…」といち読者ながら心配になったりしたものです。結果的には3年続き、7冊も刊行されたので作品的には成功したと言えます。
これこそ、今の時代ならではな作品だなって思います。
刺激は、毒にあらず
どういう作品か、わかりやすい動画があります。
「お嬢様」とは名ばかりで、90年代のゲーセンにいたヤンキーと何ら変わらない「煽り」が乱れ飛ぶとんでもない内容です。
ですが私は何度も聞いてきたワードの連続で、親しみしかない「下品なお嬢様」に愛おしさすら覚える程でした(笑)。というか、昔のゲーマーもここまで言ってねぇよって感じです。
近年、何かと罵詈雑言などが狩られる対象になりがちで、創作物に過剰な規制をかけようとする流れと、それに反発する人達の衝突が散見されます。その中でこの漫画などはジャンルがニッチゆえに槍玉に上がる事はありませんでしたが、ご時世的によくぞやったな、と感服する作品でした。
規制規制と嘯く人達は、大方表現を「毒」だと断じている事が多いのですが、それがそもそも間違いですよね。「刺激」ではあっても、「毒」ではありません。かつてアメリカで禁酒法が施行された時、アルコールがアングラの象徴になり社会の腐敗が進んだため、結局その法律は撤廃に至ったという歴史があります。規制は、是正に繋がるとは限らないのです。
何が言いたいかというと、こういう漫画がもっと出てきて、流行ればいいのになって事ですね。
楽しい漫画でした。