ドキュメント「シン・仮面ライダー」に対する世間の声と、映画作りについて思うこと
シン・仮面ライダーデザインワークスを買いました。
200ページ越えでボリューム感たっぷり、オーグ達からサイクロンに至るまで設定資料がガッツリ載っております。大体オーグ達、初期案は気味悪いのが多く大分「柔らかく」なっていったのが解ります。最初は結構「旧一号編」の空気感を再現しようとしていたのではないでしょうか。
真剣さを、曲解する風潮
さて、先日NHKでドキュメンタリーが放送されたり、主演三人のラジオ、オールナイトニッポンもあったり、この映画の裏側まで楽しむターンに入ってきましたね。
で、ドキュメンタリーについてアクションシーンの撮影風景が物議を醸し、庵野監督に批判が集まったりもしました。ネット記事、動画なども上げられ小さく炎上していたように見受けられます。その内容としては…
・具体的に指示を出さず、ダメ出しを繰り返すのはパワハラではないか
・アクション畑の人間でもないのに、アクション監督の方針を否定するとは何事か
・本編に無いシーンが多数あり、明らかに非効率なやり方でキャスト、スタッフを疲弊させていたように見える
といったものが見られました。
実は初回放送から実際に私が視聴するまでラグがあり、評判が先にあった中で鑑賞したのですが、これらの批判は9割的外れだと感じました。ネット上で言われている程険悪な空気が流れている訳でもなく、試行錯誤の様子を映していたのみだったからです。二年前シンエヴァのドキュメンタリーがありましたが、あの時監督から「面白くない所ばかり撮っている、僕のせいでスタッフが困っている所を撮りなさい」と言われていたのを今回遂行した結果だと思います。映画制作は編集作業が大半を占めるとも言いますし、何日もかけて撮って、結局使わないなんてこともザラなのです。庵野監督のスタイルが場当たり的な側面はあると思いますが、このドキュメントを以て人間的な否定に繋げるのは間違っています。
そしてこの度の批判を見て聞いて感じるのは、「真剣な仕事」と「ブラックな環境」の兼ね合いの難しさと、それに対する不理解の多さですね。近年、「~~ハラスメント」という言葉が横行し、もはや何種類あるのかも分かりません。それにかこつけてなんでも何ハラだ何ハラだと正義を振り翳す人間が増えています。しかし本来、これが問題になる場合というのは当人の申告があって第三者の審議の元に成立するもので、部外者が視覚的不快感を解消する為に使う言葉ではないと考えます。今回のドキュメンタリーを観て「庵野秀明のパワハラ!」と視聴者が宣うのは筋違いというものでしょう。監督が不当な行為をしていた、と言えるのは現場の人間だけのはずです。
何百万人を相手に闘う仕事、とは
私は生粋のエヴァヲタクですから庵野監督の信奉者でもあります。と同時に脚本家志望でもありますから、映画を創る人達に敬意を持ってもいます。なので、全国公開の映画を創るという仕事のスケール、それにかかるプレッシャー、これらの中で最高の結果を目指す事がいかに過酷か、と同業者の視点で此度のドキュメントを拝見しました、それは並大抵の事ではないはずです。そして、先日のラジオ番組で、鑑賞済みの方からの感想に歓喜していた池松さん、浜辺さん、柄本さん、途中参加の西野さん達の言葉を聞くと「お客さんの声」で報われているのだな~というのを実感する事も出来ました。無論、大勢を相手にする商売ゆえに様々な意見があって当然ですし手厳しい言葉もあるのが自然だと思います。
ですが私は、最低限「大きな仕事を成し遂げた人達の作品」であるという意識で、関わった方達への労いの気持ちを持っていたいと思っています。たとえ怒声が飛び交う現場だったとしても安易にパワハラだ、などと言えばそれは乗り越えた人達にこそ失礼だと思いませんか。
噛めば噛むほど、味の出る映画
Filmarksでは初回鑑賞後に問答無用で満点を付けましたが、12回観た現在、やはり繰り返し観るほどに新しい発見もあり、面白くなる映画だなぁと思っています。これが一ヶ月程度で話題にならなくなるのは勿体ないですから、今後もTwitterの公式アカウントに乗っかって私も面白さを拡散していきたいところです。
某アニメのキャラデザイン担当の方がサソリオーグとハチオーグを気に入った、との呟きも見かけました。こういう著名人のプッシュにも期待したいところです。
あくまで個人的な観測範囲の話ですが、ファンアートも多く、本郷をはじめ登場人物達の愛され方は昨年のウルトラマンにも負けていないと感じます。記憶に残り、語り継がれる作品になっていって欲しいですね。