ヒーロー物の「客演回」において重要なもの…その答えはもう出ている
先々週のウルトラマン ニュージェネレーションスターズ第12話において、ウルトラマンエックスの第20話、「絆 -Unite-」が放送されました。
この回は、一目瞭然ですがウルトラマンネクサスの客演回です。ネクサスの客演はギンガSの劇場版以来でしたが、これは大変好評だったと聞きます。ここ最近、個人的にも「ネクサス熱」が高まっている中で久しぶりに観て、あぁ、良いなぁと思いました。
何度か書いたことですが、やはりネクサスは個人的に「初めてリアルタイムで1話から最終回までを観たウルトラマン」でしたので、その活躍を近くで見ていた、そんな感覚のある作品です。
ただのゲスト出演に留まらなかった、理想的な客演回
これも何度か書いた事ですが、放送当時は不人気だと言われていたネクサス、20周年を迎える今年…令和の世に至り再評価され、独自のカラーを持った名作と言われています。そこまで評価が逆転したのは、このエックスでの客演回が大きく影響している、という声をネット上で聞いたんですね。
この回はXioの橘副隊長が、異国の家族を想う気持ちでネクサスの光を受け継ぎ、やがてエックスと共に戦うというストーリーです。ネクサスは変身する人間が交代していく、という独自性のあるウルトラマン。その設定を活かして、エックス世界にネクサスを落とし込んだ格好なんですね。
ただの先輩ウルトラマンとして加勢に来る、ではなくそのちょっと異質な設定を活かした登場、メタフィールドの展開という原典と同じ画作り、作品はエックスですがまさにネクサスの新しい話とも言っていいような凝った一編でした。これを機にネクサスのデザインの良さや受け継がれる光、絆といったヒーロー性が再認知されネクサスそのものの評価が上がったのでは…と分析しています。
事実、ネクサスファンの目線から見ても文句のつけようがない客演回だったと思います。
短い時間であればこそ…「客演」のあるべき姿
さて、長く続くウルトラマンや仮面ライダー、スーパー戦隊では幾度かこういう「客演回」が存在します。その内容、評価もピンキリで、このエックスにおけるネクサス回のようなオリジナルの人気を押し上げてしまうものから、「なんのために出てきたのかわからない」と言われるようなダメ客演まで様々です。
ちなみに、このエックス20話以外で理想的な客演はどれだったかと言われると、これまた語り草になっているのですが仮面ライダージオウの31&32話、アギト回ですね。これはジオウ自体の特徴ですが前後編になっているので、特に短い劇場版のようだった、とまで言われる屈指の名作回です。
この「ネクサス回」、「アギト回」を見れば、どういう客演が素晴らしいのか、その解答が見えてきます。
それはズバリ、
「ゲスト側の世界観に寄せること」
なんですね。
せっかく先輩ヒーローにご登場いただくのですから、フラッと寄りました、みたいな出方では往年のファンはガッカリします。どれとは言いませんがウルトラマン、仮面ライダー共にそういう「残念な客演」はあるものです。
それなら、いっそ現行のメインヒーローが少し脇に下がって、ゲストである先輩の活躍をメインに据えた方が「わざわざ出てきた」甲斐を感じられるというものです。
特に最近は、マルチバースという概念が擦られており作品が変わるとそもそも別次元扱いになっていることが多く、先代ヒーローが出てくるだけで矛盾が起こってしまう場合も少なくありません。しかしそこはもう思い切りぶっ飛ばして、
「こっちの世界にいるのがおかしい?うるさい俺の必殺技を見ろ」
くらいに出張ってくれた方が喜ばれます。整合性などは二の次です。
もっとも、その整合性にまで拘ってしっかり物語に組み込まれていればまさに言う事なし、になるんですけどね、先述のネクサス回のように。
なので、変に遠慮して概念として召喚されました、みたいに変身後の姿だけがチョコンと現れる客演作品、それのファンだった人が満足する訳がありません。
特に過去の残念客演の記憶を引きずり、先輩の登場にネガティブなイメージを持っている方も多いという現状は忌々しく感じます。本来、「来週〇〇が出るのか!絶対観なきゃ!」というものなはずですから。
何はともあれ、ネクサスファンとしては恵まれていたんだな、と思わされる「客演回」への考え方でした。