Interview : Hanochi from FEROCIOUS X & 072

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(Ferocious X Live at El Puente. 
2021年2月13日 撮影 : Teppei Miki)

大阪ノイズ・マンゲル・クラッシャー、そして日本を代表するハードコア・パンク・バンドであるFerocious Xの活動21周年を迎える本年、彼等の本拠地である難波ベアーズにてワンマンライブが敢行される。

かつて大阪は梅田のライブハウス「Guild」で行われていたイベント、Gloom主催のFinal Noise Attackに始まる大阪のクラスト・パンクの血を脈々と受け継いだ、スカンジナヴィアン・スタイルのファストでロウなハードコア・パンクを、ウルトラノイジーな蝉ギター、喉から血を吹く様な絶叫ヴォーカル、ブルドーザーの様な歪みで地鳴りを起こすベース、雪崩の様なつんのめったマンゲル・ビートを乱打するドラムで畳み掛け、そこに伝統的な日本のハードコアパンクの緊張感を加えて混沌を生み出すスタイルは揺るぎなく、世界でも屈指のハードコア・パンク・バンドのひとつだ。

結成から21年を超え、未だフロアを阿鼻叫喚の渦に巻き込むノイズの嵐。

こういった表現は月並みだが、Struggle For Prideと東西で双璧を成す、本当に狂おしい程の超絶ノイズ・ハードコア・パンク。

私は演奏時でも、ライブを見るときも、クラブに行く時もその場に応じて耳栓をしている。
それでも耳栓を突き破ってノイズが鼓膜を破壊しに侵入してくるのだ。

ハードコア・パンクにノイズをぶちまけるというのは、ブリストルから北九州にやってきた訳だが、その伝統は大阪に色濃く残っている。

2005年頃までは大阪のクラスト界隈の盛り上がりは凄まじく、FramtidのギタリストJacky氏によるレーベル、Crust Warから相当数の傑作がリリースされていた。
この頃はex-GloomのTaki氏によるZoeとCorruptedが頻繁に共演したり、Unholy GraveとMortalized、Defecterと、Framtidが同じイベントで見れるなど、かつてのNAT Recordsのキャッチコピーである"For Crusties and Grinders"を地でゆく素晴らしいライブが数多くあった。
2021年現在、クラストは昔に比べてめっきり少なくなったが、大阪にはFramtidとFerocious Xが存在しているという誇りがある。

そして堀江に居を構えるRevenge Recordsの存在も大きい。クラスト、グラインド、サタニック・メタル、ノイズ etc、初めて訪れた時、かつてアメ村のアベニュー心斎橋にあったNATとDisk Heavenが同時に蘇った様な感覚を覚えたものだ。
止まる事なくライブを繰り広げ続けてきた彼らの現在を7/22の難波ベアーズにて是非体感して欲しい。

同時に同会場でイラストレーター/デザイナーの072初の個展も開催される。
近年のFerocious X、Second To None、assembrage、直近ではGREENMACHiNEやSwarrrmといった日本のアンダーグラウンドを代表するバンドのアートワークを手掛け、更なる進化を遂げた072の世界に引き込まれるだろう。

日本が誇るベスチャル・ブラックメタル、Sex MessiahのNuclear War Now!からリリースされたアルバムのアートワークは特に印象的で、全て手作業で行われたコラージュで構成された、まさに狂気としか言いようがない素晴らしいアートワークを手掛けている。

彼の狂気に満ちた作品には常々圧倒されるが、アーティストとしての彼の全貌は未だ解明されておらず、友人である私でも彼の頭の中は知るよしもない。

Ferocious XのHanochi (以下、H)と072(以下、N)にいくつか話を聞いてみた。

多忙な中、幾多にも渡る取材を快く受けてくれた二人に感謝する。

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(072 & Hanochi, 2021年3月22日
マヅラ喫茶店にて。撮影:Dagdrøm)

〜ハードコア・パンクは常に最新で無いといけない〜

Dagdrøm(以下、D) :まずはハノチ君にお伺いします。飲みながら話を聞いていて、印象的だったことが多々あるのですが、そこからスタートしたいと思います。
音楽的な生い立ちというか、音楽的遍歴からハードコア・パンクとの出会いの話を聞かせてくれませんか?

Hanochi(以下、H): 中学校の同級生で不良グループに属しバンドマンで明らかに異彩を放ってる友人が居て卒業してから何かのキッカケで急接近し、近所だった彼の家に頻繁に遊びに行くようになって、DischargeやGISM、Extreme Noise TerrorやLip CreamからLeewayまで、沢山のハードコア・パンクのコレクションを聴かせて貰い夜な夜な英才教育を受けた。

同時期、17歳の時にたまたま風呂上がりに深夜TVをつけるとボアダムズ、マゾンナ、非常階段など、関西アンダーグラウンドの音楽が突如地上波で放送された、一度限りの伝説のTV番組『精神解放ノ為ノ音楽』を観て衝撃過ぎる内容に興奮して三日位寝れなかった(笑)

その後、高校を卒業して大阪の専門学校に行くんだけど、そのクラスメイトにこれまた強烈な個性を放ってる超音楽オタクな人が居て、様々なカルトなメタル/グラインドコア/クラストコア/ノイズ/サイケ~アヴァンギャルド/スカムまで幅広く叩きこまれた。

卒業後は就職もせずにバンド活動をし格好もそれなりに派手だったので、路上でティッシュ配りのバイトを始めて、その頃の周りの人がパンク/ハードコアのバンドマンは勿論、スケーターや様々なジャンルの音楽をやってる奇人大集合みたいな職場だったから、毎日仕事中から酒呑んでひたすら夜中まで遊びまくるみたいな感じだったわ(笑)

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(2000年の若かりしHanochi)

そんな感じでフラフラしてる時に、友人の誘いでアメ村にある老舗中古レコード屋KING KONGの面接に行ったら運良く採用されて、FramtidのJackyさん(Crust War / Revenge Records)の下で15年間働き、オールジャンルの塩化ビニールに囲まれて明けても暮れても音楽漬けの日々だった。

D: Leewayとは意外ですね(笑) 
Jackyさんとの時間は、羨ましい限りです。
若い時にもっと色々教えてくれる先輩が欲しかったと思う反面、当時はレコード屋に勤めていたバンドをやってる人に色々教わったものです。
直接的でなくても、レコードの販促用のコメントを見て学べたので、とにかくバイトしてはアメ村に向かってました。

今回2回目のワンマンですが、再びベアーズという場所を選んだのには特別な思いがあると思います。 Ferocious Xにとってベアーズとはどういう場所でしょう?

H: 2000年からFerocious Xの自主企画として始めた"Channel Zero Reality”はVol.1からほぼベアーズで開催してる。

様々な来日/来阪バンドもココでサポートして来た。
雰囲気、サウンド面、存在感、全てにおいて唯一無二であり大阪が世界に誇れるライブハウスだと思っていて、いつもコチラのワガママにも文句一つ無く使わせて貰える俺達にとって特別な場所であり、ホームグラウンド!

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(Channel Zero Reality Vol.13 - Ferocious X  
One Man Gig at 難波ベアーズ。
2015年8月16日)

D: 昨年はアメリカにツアーに行かれる予定でしたが、新型コロナ・ウイルス蔓延による延期はとても残念でした。いちファンとしてもアメリカのパンクスにどんな影響をもたらすか非常に楽しみです。ツアーを再度行う予定はありますか?

H: 今回アメリカツアーを全面サポートしてくれる予定だった、NYのハードコア・パンクSubversive Riteとは必ず数年掛かってもリベンジすると約束している。

この狂った状況下、こんな時だからこそバンド活動を止める事は無く血を血で洗うリハを繰り返し、殺しのナンバーを蓄えて地元を中心に出来る範囲で地道にやっていくしか無いと思ってる。

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(Ferocious X Live at 難波ベアーズ、2015年。
撮影:Juyoung / Scumraid)

D: 最高です。自主企画の話ですが、バンドとしての"Channel Zero Reality”、Second To Noneと共同企画の"Battle Of Armaggedon"と明確に趣旨の違うイベントをされています。この項目では特に後者について伺いたいのですが、単純に異種格闘技的な掛け合わせではない、非常にユニークかつ素晴らしい企画ですがコンセプトはありますか?

H: 元々はSecond To NoneとFerocious Xのツーマンでブッキングって進めてたんだけど、途中流れでじゃあそれぞれが好きなバンド呼んで共同企画にしようか?みたいな話になった。
”Battle Of Armaggedon"とイベント名を謳い『世界の終末における最終的な決戦』をテーマにブッキングしている。

D: Battle Of Armageddonのフライヤーのイラストレーションを、Sex Messiah / IMMORTAL DEATHのMoenosが手掛けていますね。

この件に関してハノチ君と、Moenosにも話を少し聴きたいと思います。

3作とも、80年代後半のオブスキュアなデスメタル/ブラックメタルのデモテープのアートワークを彷彿させる、プリミティヴかつ狂人的な画風が際立って印象的で、単なるオタクという意味ではなく本来の意味でのマニアックとはこの事だと感じました。

フライヤーは音源のアートワークと同様、非常に重要なものであり、バンドのステートメントでもあると思います。

Moenosに依頼した理由と、依頼を受けてどういうイメージで取り組んだかを聞かせて下さい。

H: イベントのフライヤーをどうしようかと小路くん(Second To None)と相談してた時にソレまでにMoenosが見せてくれたスケッチブックに書き溜めたGoat SemenのDemoや初期Goatlordのジャケットを彷彿させる"正真正銘の禁断の絵画"を前に脳髄直撃し悶絶したのを思い出しフライヤーのアートワークはMoenos一択しかないと決定した。

毎回、何も言わなくてもこちらの想像の範囲を遥かに超えた狂気の世界へといざなってくれる。

Moenosのアートワーク無しに"Battle Of Armaggedon"は語れない。

Moenos: 自主レーベルのフライヤー用の絵を仲間内で見せたところ、好評だった。

生まれた時から不満だらけでマルキ・ド・サドに心酔して育った私の絵のテーマは、常に背徳的、反社会的なもので、見るノイズというか、人を不快にさせるようなものばかり。

今そういうの誰も求めてないし叩かれ損だろう。

でも、私は維新の吉村のイソジンの中身をウンコ汁にすり替えたらさぞ快感だろうとか毎日思いながら生きてる。

本当に生きづらいけど、私の絵も音楽も売れるためにやってるわけじゃないからうまく適応して擬態する必要はないし、表現するものに嘘はつかない。

自分のためにしか描くつもりがなかったけれど、ハノチくんと小路さんは私の音楽やその背景をよく理解してくれてアドバイスもくれる最高な先輩で、企画のコンセプトも面白いと思ったので描かせていただいた。

いくらオールドスクールな音をやっていても、この時代に生きて行う"ライブ"のフライヤーだ。
そして、Battle Of Armageddonなんだから戦争でなければならない。

アンダーグラウンド主義を主張しながらアイドルのような若い女を搾取する汚い商業主義に加担するタダのエロジジイ、カッコいい音楽を作る人より情報をうまく操れるやつがのさばるクソみたいな現状、それらに対する戦争だ。

あと、オリンピックも!FUCK YOU!

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(Sex Messiah Live in Belo Horizonte, Brazil 2017年)

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(Moenos Live at 浅草Gold Sounds, 2018年8月12日 撮撮影: Hellstorm / BLOOD CHURCH KOMMANDO / IMMORTAL DEATH)

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(illustrated by Moenos, designed by 072, 2020)

D: Ferocious Xのやっている事は常に同時代的だと思うので、過去の焼き直しに過ぎない音楽とは全く違う今のハードコア・パンクですよね。
点ではなく、線で地続きであるという事をコンセプト、フライヤーも含めたBattle Of Armageddonという企画から感じるし、呼んでいるメンツも今だからこそ出来るラインナップなので、毎回楽しみにしています。

そして企画の話の流れですが、昨年10月に東心斎橋の焼肉店、天蓼山にてホラー映画を見ながらステーキを食べるという画期的なパーティをされてましたね。パンクやメタル、ヒップホップ/ラップとホラー映画は切っても切れない関係性だと思っています。単にメタルやヒップホップのファッションやアートを盗用して全くリスペクトのないハードコアバンドも居ますが、Ferocious Xとしても GCとの共作を始め、ハードコア/パンク以外のカテゴリーの人たちとも絶妙な塩梅で活動されているイメージがあります。的を射た交わりでないと単に雑多なだけだと感じるのですが、その辺のポリシーなどはありますか?

H: Shawn-D (Psycho Patch)とはレコード屋で勤務してた時の後輩で仲良くて、お互いにホラー映画のグッズやVHS、DVDのコレクションをしているので、東心斎橋にある焼肉店"天蓼山"の店主の山ちゃんからホラーナイトやらない?ってお誘い戴いて店内を暗黒のホラー仕様にデコレーションし、カルトなB級ホラー映画を鑑賞しながら真っ赤なワイン片手にステーキを食べて、最後はホラー映画のサントラ縛りでDJして締めるみたいな会だった。

まあまあ自分で言うのもアレだけど、濃すぎるメンツが集まり大盛況だったと思ってる。

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(The Brain Eaters at 天蓼山)

活動の件はさっきも言ったけど、俺自身が若い時から色々なジャンルの人に囲まれて育ったからあんましそういう意識が無いと言うか、常に単純に格好良いか悪いかリアルかフェイクって自身のフィルターを通して見てて気になれば誘ってみて共演したり、一緒に演奏してみたりする感じかな。

単なる付き合いでは制作に関わる事や共演は絶対にしない!

その点、GCと072は別格!  

多くを語らずともこちらの思う事、やりたい事を全て汲んでくれて絶妙なカタチで表現してくれる。

あと、ポリシーって言うか尊敬する先輩が『ハードコア・パンクは常に最新で無いといけない。』って言っててソレは常に座右の銘である。

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(Ferocious X Live at 難波ベアーズ、2015年。
撮影:Juyoung / Scumraid)

D: 今回のワンマンは、難波ベアーズで音響をYori氏、VJを関口大和氏が担当されます。
Yori氏はshe luv itでギター/レコーディングエンジニアを担当し、大阪のテクノのパーティーにおける音響をかなりの確立で手掛けています。

方や、関口大和氏はパフォーマンス集団Antibodies Collectiveの特殊効果、美術を監督する一方で、自作のテスラコイル(高周波・高電圧を発生させる共振変圧器である。ニコラ・テスラによって考案された)をGCが演奏するというユニット、Necrocutterの一員でもあります。

これまたユニークな人選でありますが、お2人にオファーした経緯を過去の付き合い等も含めて教えて下さい。

H: Yori君は個人的に10代の頃から一方的に知ってて、 DJやバンドをしてて凄くとっぽい格好良い存在だった。
10年位前から東心斎橋のバー"atmosphäre"でよく会い話すようになって、2011年にリリースしたFerocious X feat. Guilty C-svart kadsla EPのMix,マスタリング作業をお願いしたのがバンドとしてのお付き合いの始まりかな。

次は2015年にベアーズでFerocious XのワンマンライブにもPAで参加して貰った。

自前のウーハースピーカー持ち込みで、超強烈な音をしてたのを今でも鮮明に憶えてる。

あと、オーストラリアツアーのSistema En DecadenciaとのスプリットEPのレコーディングをやってもらった。

ヤマトはそれも結構前だけど当時、東京から京都に引っ越して来た時に友人を介して知り合った。

共通の友人が多く気が合い彼の作品も気になっていたので、2015年、横尾忠則現代美術館で開催されたデヴィッド・チュードア「レインフォレスト」(小杉武久、和泉希洋志、GC)を観に行ってその後に大酒を喰らいワンマンライブにVJとして誘った。

この二人は前回のワンマンライブも最高のパフォーマンスをして戴いたので今回も絶対に外せないと思いオファーしてみた。

最高のサウンド、映像パフォーマンスにご期待ください!

D: ベアーズは基本的にバーを持たないライブハウスです。
故にドリンク持ち込み可能というなかなかレアなケースですが、今回atmosphäre(アトモスフェーレ、よく間違えている人が居るがアトモスファーレではない。東心斎橋にあるバーで、昨年移転してからチキンオーバーライスなど、フードメニューを充実させ、新たな展開をしている)がバーで出店されます。
atmosphäreがどういうお店なのか知らない人も居ると思うので、ハノチ君から説明してもらえますか?

H: 店主の昇平(orhythmo,she luv it)とは17、8年前に知り合った。

音楽の趣味が合い何よりお互いに過度に酒が好きで幾度と無く酒を酌み交わした(笑)

当時、俺たち周りの溜まり場であった
西成の"かんむりやニ号店"って友達が経営する
超エキセントリックな伝説の酒場があってソコが諸事情で閉店し行き場を無くしたタイミングで東心斎橋にatmosphäreが開店した。

13年前に仲の良い友達だけで盛大にプレオープン・パーティーしたのは鮮明に憶えてる(笑)

半年くらいの期間限定ではあるが毎週月曜日に店番としてお店を任せて貰えた時もあり、ど平日の夜に"Dressed to Kill"とイベント名を銘打ち、アンダーグラウンドで活躍する濃過ぎるメンツにライブやDJで参加して貰い深夜まで狂った宴をやっていた。

他にも数々のお店の周年パーティーを含む伝説のイベントを体験出来たし、自分もその幾つかに呼んで戴き演者としても参加した。

旧店舗のイメージは深夜の"人間最終処理場"だった(笑)

昨年に移転してあの薄暗い怪しい雰囲気は無くなったが店主のキャラは健在で夜な夜な酔狂が集い居心地の良さは抜群である。

atmosphäreについてはある程度、闇のベールに包まれている方が良いと思うので、俺がこれ以上語る事は無いし気になる方は是非ともお店に足を運んで体感して欲しい。

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(三重ELEVENにて、2004年 
Hanochi、 大井戸猩猩、森昇平)

D: 今回のワンマンも、もちろん自主企画の”Channel Zero Reality”です。24回目と言う事で、私も遊びに行って心象的だった日があります。ハノチ君自身が特に印象に残っていると思う日を3つ教えてください。

2005.9/10 [Channel Zero Reality Vol.4] at 難波Bears 
Ferocious X / Corrupted / Abraham Cross / Struggle For Pride

2015.8/16[Channel Zero Reality Vol.13]at 難波Bears 
Svart Att Overleva - CD発売記念FEROCIOUS XワンマンGIG-

2019.3/10[Channel Zero Reality Vol.20 ]at 難波Bears
Masonna vs Ferocious X

D: Vol.4は僕もめちゃくちゃ記憶にあります。
死ぬほどパンパンで酸欠になったのと、全バンド最高すぎて死にそうでした(笑) 

ワンマンと同時にデザイナー/イラストレーターの072の個展も開催されます。
Ferocious Xにとって彼の存在は今や無くてはならないと思いますが、彼のアートに触れるきっかけはなんですか?

H: 数々のライブのフライヤーやバンドのアートワークは以前から拝見していて、個人的にはassembrageのLPのジャケットを特に気に入り、2019年Ferocious XオーストラリアツアーのEP/Tシャツのデザインで初めて依頼した。

それ以降、カナダ・モントリオール・ツアーのTシャツもお願いした。

今回の個展は個人的に072の作品を関西アンダーグラウンドの聖地ベアーズで鑑賞出来たら贅沢だなと思い、個人的にオファーしたら快諾してくれて...。

今度の5/2のワンマンライブのフライヤーも、この人しか考えられないと思いお願いした。

是非とも会場にて072の荒廃した現代社会に一石を投じ、親の仇の如く爆裂する憎悪を作品を通して体感して欲しい。

D: Fear Of Godのカバーをされてますね。
個人的に大好きなバンドで、Running Through The Bloodは私が昔やっていたバンドでレコーディングして、Cacofonia / Anarchusのミゲル主催の Fear Of Godトリビュート・アルバムに参加予定でしたが、リップオフされました(笑) 

Fear Of God はグラインドコアのカテゴリー中でもノイズが強く、Napalm DeathやAgathoclesみたいなデスメタルの要素が少ないと思うのですが、ハノチ君の見解としてはどういう系譜にあると思いますか?

H: 同じく。200%ノイズ・グラインドだと思う。Ferocious XがFear Of Godをカバーしたのもその理由!(笑)

072: グラインドコアって言うよりかは当時の自分達が愛聴してきたPUNK/HCのみならず、メタルやノイズとかをファックして最高にエクストリームでブルータルなハードコアをやろうとした結果がああなったのではないかと。
InfestやMorbid AngelをリリースしてたOFF THE DISKのカタログの嗜好からも同じようなことを感じますし。Napalm Deathもそやろし、グラインドコア自体もそうなのでは?知らんけど(笑)

D: 知らんのかい(笑) ここ最近の話で言うと、来日ライブを見れるという状況ではないので、国内に限った話になりますが、最近見たライブでこれは!というのはありましたか?

H: 2020.11.07 (sat) at Socore Factory ”Fareast Death Cult 2020 vol.03”のトリで出演したAnatomiaが、正にオールドスクール・デスの何者でも無く凄く脳裏に焼き付いてる。

あとは2月にSecond To Noneと一緒に西横浜El Puenteにライブに行ったんだけど、ソレも道中含めて最高だった。

D: あの時のAnatomiaぼくも観てましたが、めちゃくちゃ最高でしたね。ドラムとボーカルが凄まじくデスメタルで、久々に見たのもあって感動しました。ドゥーム・デスという括りもありますけど、彼等は速いパートも徹底的にデスメタルを極めているので、細かいカテゴライズは不要だと思います。日本で1番最高のデスメタルですよね!

El PuenteでのSecond To Noneも一体どんな事になるのか興味津々だったのですが、コロナ禍という事もあり断念しました。生々しい音の環境と言う観点で、Second To Noneをベアーズで観るのをいつも楽しみにしてるのですが、El Puenteという更に特殊な環境で彼等を観てみたいのでまたやって欲しいです。

D: 最近お気に入りのレコードを教えて下さい。

H: Goat Vulva - Goatvulva LPかな。
アナログ盤は本当に待ちに待ったリリースだったので未だ余韻に震えてる。

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(Goat Vulva - Goatvulva, Werewolf Records, 2020)

あと、最近のお気に入りというか永遠のマスターピース、97年リリースのGloom-Recomendation Of Perditionは完全に人生を変えられた一枚だし、未だにこの作品を超えるハードコアパンクのレコードを知らない。一生聴く大名盤!

D: Recomendation Of Perditionは僕も人生の十枚に入りそうですね。
今後のライブ予定や、リリース予定などあれば教えて下さい。

H: 今のところは7/22の難波ベアーズにて”Channel Zero Reality Vol.24”Ferosious X One Man Gigのみ。

個人的には2020年に予定していた
Mob 47 with Ferocious X "Final Attack" Japan Tourをいつになるか分からないけど必ず実現させたい。

今後のリリース予定としてはStruggle For PrideとのスプリットEPがある。

D: Struggle For Prideとのスプリットは、現代のハードコア・パンクにおける金字塔になりそうですね。
ちょっと下の世代の私から見ると、こういう刺激的な事を現役で続けている人たちを見るとワクワクします。今の若い世代に対するガイダンスとして後世に残すべき文化なので、今それを目の当たりにできるというのは幸せですね。

~ナチュラルに「何かよくわからないけどすごいもの」~

D: 072にもお伺いします。
072と知り合ったのは20年近く前の事ですが、当時は絵を書いたりしてる事は全然知りませんでした。その後自分がバンドの世界を離れてからソーシャルメディアで活躍を知る事となったのですが、アートワークやフライヤーをデザインするきっかけは?

072(以下、N): 元々絵を描いたりコラージュを作ったりするのが好きでしたが、かつて在籍していたSex Messiahの音源以外で表立ってアートワークを発表することはありませんでした。たまにFacebookでグロテスクなイラストや落書きを投稿しては承認欲求を満たしていたくらいで(笑)

2011年から072がベースで参加しているDisturdの活動拠点を、津山から神戸に移してライブの企画(From The Darkside)を三ノ宮の108で始めて、メンバーのアゲちゃんに企画のフライヤーのデザインをやらせて欲しいと直談判し現在に至ります。

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(Disturd Live at Pit Bar 2020年  
撮影 : Teppei Miki )

072名義としての活動のターニングポイントとなったのは、やはり2014年にGuerrilla Recordsからリリースされたassembrage - A Wheel Of Wrath LPのアートワークを依頼された時でした。
この作品から徐々に認知され、色々とデザインの依頼が増え出したと思います。

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(assembrage - A Wheel Of Wrath 12” 
from Guerrilla Records, 2014)

後、よく聞かれることですが072と書いて「おなつ」と読みます。

D: 072というと私の地元の市外局番を連想するのですが、072という名前の由来はなんでしょう?

N: 最初は自身のアートワークやデザインが所詮自己満足の枠を出ないという自嘲と虚無の想いを込めて名乗り始めました。…というのは後付けで、以前から親しい友達からおなつと呼ばれてて、ある日誕生日ケーキに数字で072と蝋燭が刺さっていたのが666みたいでクールだと思い採用しました。

D: 自嘲と虚無の想い...
IMMORTAL DEATHや他で遮光マスクを被って、062と名乗っているのは何故ですか?

N: 覆面を被って謎の漢感を演出しているのではなく、顔を完全に隠すことで”無”の存在であることを表現したいからです。後、単純に馬鹿みたいだから。

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(IMMORTAL DEATH Live at Scorates, Kyoto. 
2020年12月27日 撮影: 44041644 )

D: イラストもコラージュも卓越したセンスと才能を感じます。アートの面でどういった人たちに影響を受けましたか?

N: たくさんいますが、強いて挙げるならHR. Giger、Aubley Beardsley、Authur Rackhum、コラージュやったら岡上淑子。
そして何と言ってもフランスのPierre Molinier。
彼の変態的且つ破滅的な作品や生涯に物凄く惹きつけられました。

最近の人だとアメリカのアーティストのAlex Ekman-Lawnの作品はどれもパクりたいくらい素晴らしいですね。後、海外のアーティストによる無慈悲且つ残酷なゼロックス・コラージュの作品はSNS等で常に注視しています。

言わずもがな自身の活動の血肉となった80~90年代の世界各国のアンダーグラウンドミュージックのレコード、デモテープ、フライヤー、Tシャツなどのデザイン・アートワークからは未だに刺激やインスピレーションを受け続けています。

音楽の嗜好と同じで大事なことはテクニックがあるかないかより、作品に抗い難い魔性があるかないかです。

D: 072はDisturdのベース、私と一緒にやっているIMMORTAL DEATHのヴォーカルとしても活動を頻繁に行っています。大昔にやっていたバンドも勿論知っていますが、こういう音楽をやろうと思ったきっかけとアートは深い関わりがある様に見受けます。
どういった要素が072を構成していると思いますか?

N: 高校生の時Bearsで初めて観たCorruptedのライブの衝撃が、自身の表現活動を始めるきっかけとなったことは間違いありません。それから20年ほど経ち、現在バンド活動に加えてアートワークやデザインという手段でアンダーグラウンドシーンに関われていることはこの上なく光栄なことだと思っております。

自身のアートワークのテーマとしてちょっと前までは「Grotesque and Elegance 」と銘打って醜さの中にある美しさ、またはその逆みたいなものを追求していましたが最近はあまり意識してないですね。ナチュラルに「何かよくわからないけどすごいもの」を目指してます。とは言うものの単純にカッコよく、見た者を畏怖させる作品を作りたいという気持ちは絶対的にありますね。

D: 神戸在住という事で、私が生まれ育った大阪とは距離は近いですが、文化的にはかなり違います。072が、ここは他府県の人に推薦したいというところはありますか?
アートや音楽ではなく衣食住に関わる事でも何でも構いません。
神戸という町はミステリアスな魅力に満ちているので、制作に行き詰まった時など車でフラっと足を運んでしまうので、街に魔力があると思っています。

N: 強いて言うなら西神戸の新興住宅地から漂う如何とも表現し難い鬱屈とした雰囲気ですね。 

D: 姫路に住んでいた頃、須磨で高速を降りて三宮近辺まで向かうまでの空気感がヒリヒリして好きでした。

N: 姫路だとホルモン竜と太陽公園が好きです。

D: 姫路は長浜ラーメン構店とジャパンラーメン高嶋がお気に入りです。
ところで、Disturdはメタル・クラスト、IMMORTAL DEATHはデスメタルと世界観の違うバンドで活動されていますが、072はパンクですか?メタルですか?
勿論、両方好きなのを承知で聞きます。
自身のスタンスはどう言った流れで形成されたのでしょう?

N: 好きな音楽や、やってるバンドがハードコアだったりデスメタルだったりってだけで今更自分自身の属性をパンクorメタルの二元論で分けるのはちょっと無理があるというかナンセンスだと思っています。今も昔も単純に通俗的なものに興味がなく、基本的な価値観は17歳くらいから変わっていません。
072個人としてアティチュードは自称したりファッションで可視化するのではなく自然と滲み出るクソ感を大事にしたいです。

D: 少し意地の悪い質問でしたが、自然と滲み出るクソ感というフレーズが072を象徴しててパンクでもメタルでもない事を証明していると思います笑

N: まあ、そんな深く考えたことないんですけどね(笑)
70%の黄金と30%のクソで出来た人間がカタストロフに向かっていく感覚というか…

D: 70%の黄金 (笑) ちょっと軌道修正しましょう。
今やかなりのバンドのアートワークやフライヤー、マーチャンダイズを担当し日本のアンダーグラウンドにおけるアーティストの代表格だと思います。
特に思い入れのある作品は?

N: 難しい質問ですが強いて特に印象深いものを選ぶなら、2018年にDaymare RecordingsからリリースされたSecond To NoneとCoffinsのsplit CDのアートワークになります。
耽美且つ殺伐とした世界観を表現している072の白黒デザインの中でも特に気に入っている作品です。

個人的にParadise LostやAnathema、Mindrotなどの最初期はデスメタルやけどゴシックに移行していくっていう流れが好きで、それらのバンドのアルバムリリース以前のデモやシングルのサウンドやアートワークからヒントを得てあのような形になりました。

様式美的なデスメタルのイメージやモチーフは避けて、本当に殺気だったモノを作ろうという想いはかなり強かったと思います。
それ故に当初の計画では表ジャケに手首を切ってべったり血糊を塗ってその雰囲気を出してやろうと思いましたが、色んな意味で痛そうだったのと、共同で作業していたutbs氏にいらんことするなって釘を刺されたのでやめました(笑)
結果、余計なギミックがない分バチ切れた仕上がりになったと思います。

さらに言うと、タイトルが2バンドのアナグラム(Nine Cocoons Of Dens To F)で繭(cocoons)という言葉があったのでトレイ内側や帯裏は赤にして繭の中身、生物感や肉体感を出せれたのがおもしろかったです。utbs氏がサンプル作って来られたのを見た時はその仕上がり具合に震えました。

さらに裏話を言うと、このSplitの前にassembrageのアルバムのデザイン作業がちょうど終わったところでタガが外れていて〆切一週間前になっても何も着手していなかった旨を伝えた時の44041644氏の顔は忘れられません。

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(Coffins/Second To None - 
Nine Cocoons Of Dens To F 
from Daymare Recordings, 2018)

D: その3つに加え、My Dying Brideも好きなので興奮するエピソード! 44041644氏の顔は想像がつきますね(笑)

N: 心斎橋のもつ鍋屋で、072「頭の中では完成してます!」44041644氏「大丈夫かぁ~?!」と押し問答の応酬でした(笑)

D: ちょうど44041644氏の話が出たところで、彼の存在は2人にとって様々な影響を及ぼしていると思います。端的に言ってどんな感じの人ですかね?

H: えーっ!仲良くし過ぎててもう客観的に見れないかも!(笑)

まあ、本当にココでは言えない話だらけだけど、いざステージに立つと完全に別人になると言うか何かとんでもないモノが憑依してる様な錯覚に陥いて俺も同調しちゃって、いつも最前の方で気が触れそうになってる。

一度もいやこの先も絶対に本人の前では言わないだろうけど、関西アンダーグラウンドシーンを担うキーパーソンであり兄貴分だと思ってる。

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(満面の笑みの44041644氏)

N: 何や言うとすぐおちんちんの話をするところと耳たぶを触ってくるところが玉にキズですが、最高に優しくて大好きな先輩です。

D: 概ね、同意です(笑) 
ライブのフライヤーを数多く手掛けていますが、80年代中頃から00年代前半のパンク/ハードコアのフライヤーを彷彿させる質感がありながら、決してオールドスクールとか懐古主義ではない新しいものを作り上げている印象があります。 
072ならではの統一感もありながら毎回新しい発見もあり、衝撃を受けています。
フライヤーのデザインの中で繊細な拘りが数多く見受けられますが、企業秘密もあると思うので話せる範囲でスタンスや世界観について教えて下さい。

N: 80年代、特にAmebixやUKクラスト勃興期のフライヤーのデザインには未だ果てしない憧れと尊敬の念があります。
なにがええかっちゅうと特にSFとかファンタジー的な壮大な世界観をヘタウマなイラストなどで表現していて結果ド渋なとこが最高だと思っていて、未だレイアウトから何から呪縛の如く影響受けまくりです。

072がオールドスクール的なビンテージ感やボロさを出しがちなのはある種フェチのようなものでいい加減に脱さなきゃと思いながらもなかなか脱せられません。
フライヤーに限らず音源のデザインにも言えるのですが、写真やイラストだけでなく文字類も大事にしています。バンドとライブハウスのロゴはあれば絶対使い、フォントは2、3種類使ってズラしたり傾けたり、木を見るだけではなく森全体を見る意識で。

コラージュもただ素材を切り貼りするのではなく、素材一つ一つに違った加工をするとかペン入れをするとかひと手間仕事を施すことがカッコ良い作品を作るコツだと思っています。泥酔した時に友達によく言うのがコラージュ=江戸前鮨論です(笑)

何にでも言えることですが、やはりこだわりを強く持ち、ある程度手間暇をかけないと良いものはできないと思います。

後、バンドやイベントのカラーを大事にしつつ自分なりのファニーさやジョークも盛り込むようにしてます。

今回のFerocious Xのワンマンフライヤーを例えで言えば右端の「Make Fun Of Them With A Hand Axe!!!」という手書きの一文が特に意味もないけど何か怖くて気に入っています。

個人的な見解になりますが、ライブの情報以外にバンドやイベントをする人のオピニオンやスローガンなどがあればデザインに膨らみが出て一辺倒なデザインにはならないし、フライヤーないしはライブから強い意志のようなものが滲み出ると信じています。

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(Channel Zero Reality vol.24フライヤーより抜粋)

捨てられないデザインのビラを日々目指して作っていますがまだまだですね。

D: 強く拘りを持ち、手間隙をかけるというのは激しく同意しますね。
簡単にノリでとか言いますが、そのノリを出す為には時間と手間がかかる。
一生かかってもたどり着けないかも知れない。そこに自分の人生を投影しているのはとても素晴らしいですね。
Ferocious Xのアート面も今や072が専属といっても良いと思うのですが、072にとってFerocious Xとは?

N: 十代の頃から何度もライブを観たり共演したりしてるけど、一切ブレないプリミティブさとノイズ!

2019年のFerocious Xのオーストラリアツアーのアートワークに関するミーティングと称した呑みの席で、あっちゃん(Ferocious X / Gt.)が開始早々日本酒煽りまくって一時間もしない内に撃沈したのと、ミヤ君(Ferocious X / Ba.)ちでMaster - Unreleased 1985 Album(激最高!)を聴きながら泥酔爆上がりで観葉植物の枝をぶち折ったのは良い思い出です(笑)

D: Masterは最高ですが、人の家で暴れるのはやめましょう(笑)
ここ最近担当したものや、この先リリースされる予定のアートワークを教えて下さい。

N: 昨年末Daymare RecordingsからリリースされたGREENMACHiNEのフルアルバムと、今年2月末に3LA RecordsからリリースされたSwarrrmのフルアルバムのアートワークです。
両作品ほぼ同時進行で作業を進めていたのでマジで発狂寸前でしたが初めて入稿データ含む全行程を一人で完結できたのでとても良い経験になりました。

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(GREENMACHiNE - st 
from Daymare Recordings, 2020)

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(Swarrrm - ゆめをみたの 
from 3LA Records, 2021)

目下の予定では、兼ねてから依頼されているGCのフルアルバムのアートワークと、名前は出せませんが某覆面ユニットとIntegrityのメンバーの別プロジェクト、Psywarfareのsplitテープのジャケ、ほんで北九州の惡AI意のTシャツのデザインになります。
これら以外の作品も遊撃的に発表していく所存です。

D: ここ最近の話で言うと、来日ライブを見れる状況ではないので、国内に限った話になりますが、最近見たライブでこれは!というのはありましたか?

N: DommuneでのGISM配信ライブですね。画面の前で緊張したのは言うまでもなく。

D: 今回初の個展ですが、アトリエではなくライブハウスであるベアーズで行われます。初の試みというのはアーティストにとって非常に重要な場面ですが、どんなモチベーションで取り組んでいますか?

N: 7/22のBearsではFerocious Xはじめ友人やFar East Screen(津山の最高なプリント工房!)の協力の下、自分にとってエッセンシャルな作品を展示出来ればと思っています。
何より大好きなBearsでやれるのが最高!自分自身初めての作品を展示する機会なので、魔物ような自己顕示欲が身体中を蠢いています(笑)

D: ここ最近のお気に入りのレコードは何ですか?

N: 去年出たHUMの復活作とPsychotic Reactionの未発表音源集をよく聴いてます。
Gutの新作も良かったです。

D: Gutの新作は最初音質どうやねんって思ってたけど、曲がめっちゃかっこいいですよね。よく聴きました。

N: まあ1st EPが一番好きなんですけどね(笑)

D: 言うと思った(笑)
最後に2人にお伺いします。
大阪の1番お気に入りの居酒屋はどこでしょう?

H: 梅田のビンゴヤとアメ村の村田酒店と難波の大ざわ。
人によってはコレと言って特筆すべき点は無いかもなんだけど好き過ぎる。
ソコで色々な珍友達と幾度も酒を酌み交わし数々のアイデアが産まれてるから。
まあ、大概、糞みたいな話だけど...(笑)

N: たくさんあるけど強いて言うなら、Bears裏のニ劫(R.I.P.)。
あと去年072お誕生日会でみんなで行った平野の串カツ屋いぬいと末広温泉は色んな意味で熱かったです(笑)

D: 大ざわは、もはやホーム感あります(笑) 
大阪以外の人で気になる!って人はチェックしてみて下さい。

末広温泉も平野区にある風呂好きには有名な、温冷浴の聖地ですよね。

西式温冷浴は素晴らしいので大阪以外の皆にも是非足を運んで欲しいです。
ちなみに息子さんがやってる支店も黒門市場にありますよね。

僕はハノチ君に教えてもらった森之宮のとり平も好きです!

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(とり平の手羽先。2021年4月6日 
撮影 : Dagdrøm)

また脱線してすみません。
先ほど最後と言いましたが、このインタビューを読んでいる人に二人からメッセージを!

H: 人間は狂気をはらんだ生き物だ!
柔和な表情の裏で憎悪を膨らませ、
私利私欲の為に他人の命を虫けらのように消し去る。

天使はいつでも悪魔に変身できる。
悪魔はいつでも英雄になれる。

今日どれほどの赤い血が流れても、それ以上に明日は赤く染まる。

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(Ferocious X Live at Earthdom 2018年 
撮影: Teppei Miki)

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(Ferocious X Live at El Puente 2020年   
撮影: Teppei Miki)

N: FREE your madman inside!

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(illustrated by Scum Prince, Bullshit 2020)


今回の取材は述べ一ヶ月余り、4回に及ぶ長時間のものとなった。
様々な自粛を強いられる状況なので、メールでのインタビューも考えた。

しかし、この二人の話をメールだけでは文章として伝え切る事は不可能だと判断し、強行させて頂いた。
我々はインターネットを通じて知り合った訳ではないので、やはりオンラインだけで物事を済ませてしまうのは苦手だ。
それ故、直に顔を合わせていないと聞けない話が幾多もあった。
ワンマンにあたって軽くインタビューでも、という形でスタートしたがどんどんヒートアップし、その熱量はこのボリュームとなった。

私は、熱量のある人間にしか興味がない。
今回インタビューした二人は、この音楽に心の底から心酔し、熱狂しきっている。
その熱量が、インターネットで完結させる事を許さなかった。

Ferocious Xというバンドが私にとって特別なのは、自分の熱量を限界まで上げてくれるからだ。

コルトレーンの至上の愛や、ジミヘンのウッドストックを聴いている時と同じ感情になる。
笑いながら人を殺し、泣きながらラーメンを喰らっては射精している様な、自分が音楽でしか得れない麻薬的快楽のような感覚を喚起させてくれる。

しかし、暴力や犯罪行為を推奨しているのではなく音楽を通じて人間が本来持つ負のエネルギーを解放できるのがFerocious Xだ。

生きていて現状に不満があるなら、Ferocious Xのレコードに針を落とし限界まで爆音で聴けばいい。
それでも物足りないなら、ライブに来ればいい。

解放しなければ、自分の限界を越える事は不可能だ。
ハードコア・パンクとは常識からの逸脱であり、体制に中指を立てる行為である。
それは自分自身に対してでもだ。
彼らの覚悟を決めたその日から、死ぬまでハードコア・パンクであり続ける姿勢には私も多大なる刺激を受けている。
自分自身の限界を叩き壊し続け、道無き道をゆくFerocious Xは偉大だ。

それに対し072のアートは常に予測不能で新しいが、情緒と洒落が効いている。
海外諸国に行った時に感じる様な不可思議な感覚は、実際自分の眼で見てインプットしなければ、知識だけあっても体験したことにはならない。
狂気なんて言葉は食傷気味になる程その辺で見かけるものだが、072は病魔と言ってもいい程、危険なアートを生み出している。

何が起きるか解らないというのは、人間にとってかなりの恐怖だろう。
072は正に恐怖を生み出す男だ。
何が起きるか解らない上に、想像以上の興奮を与えてくれる。
それもまた一種の快楽であり、072のアートにはいつも興奮させられる。
しかし、言語化出来ない存在であるので注意が必要だ。

今回のワンマンは、視覚的、聴覚的、環境的にも最高のお膳立てがされている。
刺激を求めているなら、これ以上至れり尽くせりのハードコア・パンクのライブはそうそう無いだろう。

072による恐怖と耽美のアートをMoenosが呪術的サタニック・ノイズで恐怖を倍増させ発振したところに、Ferocious Xの阿鼻叫喚の電撃ノイズ・マンゲルが鼓膜、眼球、筋肉、神経、脳及び全てを破壊する!
ベアーズを破壊せんばかりの強烈な歪みに身構え、そして己を解放せよ!
これに何も感じないなら不感症だ!

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イベントの開催延期を余儀なくされ、日を改めての開催となったので二人にもう一言づつ頂いた。

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(072 & Hanochi, 2021年7月8)
天王寺裏にて。撮影:Dagdrøm)

D : 緊急事態宣言により今回のワンマン及び個展が当初の予定から2ヶ月以上も延期になって、7月22日の開催となりました。
2人にとってこの2ヶ月余りの間に何か変化した事ってありますか?

H : 5/2に予定していたワンマンライブに向けて出演者一同、気合いを入れて全力を尽くしていたので開催直前の後手後手の阿呆丸出しのコロナ対策による緊急事態宣言により、やむ得なくキャンセルになったのは凄く悔しかったしメチャクチャ腹が立った!

俺達の溜まりに溜まったフラストレーションはこの2ヶ月で更に強度を増して完全に武器と化している!

延期日は我々の生活を顧みず菅政権、IOC、JOCが強行する泥々の利権塗れの祭典オリンピックの開会式の前日7/22に照準を合わせて大阪難波ベアーズから気が触れたサイキックなサウンド&演出で腐り切った糞野郎共の脳天に向けてぶっ放す!

俺達の大事な時間、空間をこれ以上潰されてたまるか!本当にふざけんな!Kiss my ass!!!

N : 自分自身は良くも悪くも特に変化はありませんでしたが、2ヶ月前と変わらないどころかますます狂気の沙汰になってきたコロナ惨禍にオリンピック。5/2のイベントの延期が決まってすぐフライヤーを作り直しました。残念という気持ち以上に延期せざる負えない状況に心底ムカついて。日付だけ変えるようなフライヤーにしたくなかったし、気持ちを刷新したかったから。作品には魔性を込めたい。SNSや酒の席でこの不条理な状況を言葉でボヤくことよりも新しい作品や表現を作り続け昇華させていくことが自分自身の性に合っていると再確認した2ヶ月余りでした。停滞は死!

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(Directed by 犬鷲<Inuwashi>)

■世界規模で依然COVID-19が猛威を振るい、鬱々とした日々が強いられる最中、7/22(木)にバンド結成から21年目にあたるFEROCIOUS Xがおよそ6年ぶりとなる戦慄と驚愕のワンマンGIGを老舗・難波BEARSで開催!

前回のワンマンGIG同様、PA YORIとVJ YAMATを迎え、聴覚・視覚を超えた悪夢の内臓感覚ステージを再現!!さらに072による初の作品展示、MOENOSやDJ REVENGEの悪魔的パフォーマンスで華を添え、BAR atmosphäreで泥酔阿鼻叫喚!!!
思わず漏す観客の絶叫!吹き出る嘔吐!!ショッキング且つスキャンダル、異常なテンションで迫る本格的ノイズ・マンゲル・ショー「CHANNEL ZERO REALITY vol.24」を見逃すな…!!! 
(text by 072/Disturd, IMMORTAL DEATH)

-FEROCIOUS X 21st Anniversary One Man Gig-

【CHANNEL ZERO REALITY Vol.24】

2021.7/22(THU) at 難波BEARS

LIVE:FEROCIOUS X 

DJ:Revenge
Exhibition:072
Ritual:Moenos
VJ:YAMATO SEKIGUCHI 
PA:Yori
Bar:atmosphäre

adv ¥2000 door ¥2500(*072個展のみ¥500)

【第一部】
072個展 17:00〜19:00
open17:00 
(Special Live Ritual by Moenos18:00〜)

【第二部】
open 19:00 start 19:30
(Ferocious X /DJ Revenge)

ご予約は
info@namba-bears.main.jp
nambabears@gmail.com

どちらかに
■氏名
■連絡先
■枚数
をご記入の上、メールをご送付ください。

*体調がすぐれないという自覚がある方は、ご来場をお控えください。
*ご来場者は必ずマスクをご着用願います。
*「マスクを外しての」会話は極力ご遠慮ください。
*受付にて検温をさせていただきます(一瞬で終わります)
*入場者数を公演企画内容に応じて、随時適正人数に制限させていただきます。
*転換時にドアを解放し、換気をいたします。その折、希望者には店外にいったん退出いただけます。
*写真撮影は可能ですがSNS等のご投稿はご遠慮ください。






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